サンマガチャ、ガチャガチャ｜リアクション

サンマガチャ、ガチャガチャ

●ドタバタ捕獲

「小さいのに素早い……このままじゃ猫さんに捕られちゃうよ！　虫取り網を持ってくれば良かった……！」
　店内と靴を散乱しないよう、必死に追いかける恵御納夏朝と沓冠梢太朗も奮闘するが、シークレットが陳列棚の下に潜り込んでしまった。
「俺に任せてくれ。強硬手段だが」
　そう言うと、龍目豪は棚を隙間に手を入れ「ファイトー！」と叫んで持ち上げた。
「今だ！　早く捕まろ！」
　抜け出した隙をつき、夏朝はカプセルに閉じ込めた。
「見せてください！」
　シークレットはアロハシャツ姿、ウクレレを弾いている『アロハサンマさん』だった。
「店員さん、協力ありがとう。これ【ZePet】って店の新商品で、開店までに返さないといけないんだ」
「そうでしたか。でしたら、早く持って行ってください。後片付けは私がします」
　私が店長ですと梢太朗は訂正したかったが、緊急事態なのでせず。
　夏朝はカプセルをハンカチで包み、誰にも見られないように運ぶ。
（楽しみにしてる人達のため……中身は内緒）

　シークレット捕獲騒動と同時刻。
　御剣刀も、ねこったーを確認しつつサンマさんガチャの情報をチェック。
「幽霊、波乗り発見か。まだ見つかっていないものは、壊さないように捕まえないと」
　楽しみにしている子供を悲しませたくない。その思いは強いが、休みなく動いていたので疲れた。
　休憩のため目についた喫茶店に入るが、何やら様子がおかしい。
「おかえりなさいませ、ご主人様」
　メイド服姿の桧垣万里に迎えられ「ここメイド喫茶か！？」と気付くが、まあ、いいやと入り、お勧めセットを注文し一息つくことに。
　万里に案内された席に向かう途中、モーニングを頬張る後木真央を見かけたので相席を申し出た。
「刀ちゃんもモーニング食べに来たのだ？」
「それ、ここのお勧めか？」
「この時間だとモーニングがお勧めなのだ」
　ここでバイトしている真央が言うのなら、と、刀はそれを注文。

　その後、サンマさんガチャの話をしていると何かがテーブルの上に。
　虫かと思った真央は、おもいっきりそれをぶっ叩く。
「虫……じゃなくて、サンマさんストラップなのだ！？」
「それ、見つかっていないソフトクリームサンマさんだ」
「こんなもん見られたら、崩壊の序曲っていうか街角ホラーなのだ。こんなところでＵＭＡは冗談じゃないのだ！」
　起き上がったソフトクリームサンマさんは店内を飛び回るが、良く転ぶサンマさん本人の特性が反映されているのか、何度も壁に激突。
　そのショックでコーヒーカップに突っ込む、モーニングのサラダに落下と様々な騒動を引き起こす。
　真央はテーブルの下に隠れ、両手を丸め、小声で「にゃにゃにゃがおー！」と叫び、三毛猫のがおーを召喚。
「がおー、動いてるソフトクリームサンマさんストラップ捕獲なのだ。迷惑かけないよう、そっとなのだ」
　お願いされたがおーは、のっそりと歩き出す。

　店が騒がしいと、店長の橘さんが万里を睨む。何とかしろ、と言わんばかりに。
「店内ではお静かにお願いします。ご主人様のご迷惑になりますので」
「わかっている」
　ソフトクリームサンマさんを早く捕まえ、モーニングを食べようと張り切る刀にそう頼む万里。
　お静かにと言われても、店内を飛び回るソフトクリームサンマさんは我、関せず。
「申し訳ございません。ただいま、新しいものをお持ち致します」
　ご主人様がコーヒーを飲もうとしたら、ソフトクリームサンマさんが突っ込んできた。
　それを見逃さなかった万里は、急いでコーヒーを淹れ直した。
　がおーと刀が捕獲に苦戦している間、真央はのんびり、万里はご主人様対応で大忙し。
　格闘すること約１０分。
　がおーがソフトクリームサンマさんをねこパンチで壁に叩き付け、床に落ちる直前に刀がカプセルに閉じ込めたことで捕獲終了。

　どういうことだ！　と、ご主人様のひとりが怒鳴り込んできた。
「……ななな何のことなのだ？　真央ちゃん、何も知らないのだ！」
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません、ご主人様。たいへんご迷惑をおかけしました」
　そのお詫びとして、本日、『ねこのて』全メニューを１０パーセントオフにすることに。
　万里の迅速かつ、丁寧な対応により『ねこのて』は大騒動に至らなかった。
「捕まえたソフトクリームサンマさんは、俺が【Ze Pet】に持っていく。後木、ねこったーに書き込み頼む」
「わかったのだ」

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