サンマガチャ、ガチャガチャ｜リアクション

サンマガチャ、ガチャガチャ

●【Ze Pet】の危機

　サンマさんガチャ達がカプセルから飛び出し、逃げ出してしまう出来事が起こった直後。
　眠っていた如月庚は、八重崎五郎八からの電話で叩き起こされた。
「今すぐ【ZePet】に来てくれないか？　大急ぎで。詳しい話は着いてから話すから」
「はいはい、行きゃいんだろう？　今行くって……」
　嫌だと言っても拒否権が無いので、庚は眠気を堪え、大急ぎでホビーショップ【ZePet】へ。
　低血圧な庚にとって、従姉の呼び出しより、寝起き後、すぐ行動を起こすほうがしんどかった。

「五郎八姉ちゃん、朝っぱらから呼び出しといて何だよ一体……」
　大あくびをしながら、店内で待つ五郎八に事情を聞く。
「……神魂の影響で、今日発売の『サンマさん行進曲　真夏のサンマさん編』のサンマさん達が一斉にカプセルから飛び出して逃げ出してしまったんだよ……」
　開店前までに、すべてのサンマさんを回収しないと非常にまずい。
　並んで買いに来た客が知ったら、大騒動になるだろう。
　それだけでない。【ZePet】の信用ガタ落ち、ということにもなりかねない。
　アルバイトとはいえ、五郎八は【ZePet】の店員だ。そのような危機は、絶対に避けたい。
「俺を呼んだのは……サンマさん探しを手伝わせるためか……？」
「そうだよ」
　持っているカプセルの中にある真夏のビキニサンマさんを見せ、残りを探して欲しいと頼む。
　中身が判明しているのは、赤いビキニを身に着け、片手を腰、もう一方の手を頭の後ろに持ってきたセクシーポーズなビキニサンマさん他４種類。
（サンマのくせにセクシーポーズでビキニ着てやがる……気色悪い……）
　庚が口元に手を当て、そう思うのは仕方ない。
　外洋堂はウケ狙いで作ったのか？　と追及したいほど、ビキニサンマさんは本物そっくりの精巧さだった。

　まだ見つかっていないのは以下の５種類。

・白く濁った目、全身青白い、額に三角の白紙の額烏帽子、白衣姿の幽霊サンマさん。不気味ですね～。
・バニラアイスに頭部だけを出しているソフトクリームサンマさん。サンマさんは食べないで！
・イェーイ！　とドヤ顔でサーフィン中の波乗りサンマさん。小麦色の肌の海の男、もとい、サンマさん。
・七輪の上に寝そべり、七輪で焼かれるサンマさん。日光浴をしているようです。
・シークレットはお楽しみ♪　こうご期待！（シルエットなので何かわからず）
（外洋堂商品紹介パンフレットより抜粋）

「……シークレットだけど、私にも、どんなものなのかは……。これを探すのが一番苦労するだろうね……」
　ここに来た時、店の前に並んで待っている子供達を見かけた。
　サンマさんガチャを楽しみにしている子供達のため、庚もサンマさんを探すことに。
「ったく……しょーがねぇなぁ……手伝うか……。子供を泣かせたくないしなぁ……」
　庚だけでは人手が足りない。
　五郎八は人手を増やすべく、知り合いの何人かにサンマさん探しを手伝ってほしいと頼むことに。

　母からの頼まれ事でキャットロードに来た薄野五月は、【Ze Pet】の前を通りがかった時、店の前で携帯で誰かと話をしている五郎八を見かけた。
「何かあったんでしょうかー？」
　声をかけようとした時、キャットロード付近を散歩していたら、【Ze Pet】前に客が並んでいる客の様子をじっと見る恵御納夏朝に会った。
「ここで……何かあるの……？」
「そのようですねー。私、八重崎さんに話を聞きに行くところなんです。一緒に行きますかー？」
「うん……」
　連絡を終え、店内に戻ろうとした五郎八に五月は声をかけた。
「おはようございます。何かあったんですかー？」
　困っている表情をしているので、何やら大変なことが起きたのかもしれない。
「五月ちゃん、夏朝さん、私の手伝いをしてくれないか？　実は……」
　周囲に聞こえぬよう、今日発売の新作サンマさん５種類が神魂の影響で逃げ出したことを話した。
「それはお困りですねー。私もお手伝いしますー」
「神魂の仕業……？　早めに収拾つけないと……。僕も手伝うよ」
「ありがとう、助かるよ。捕まえたら、このカプセルに入れてほしい。そうしないと元に戻らないから」
　ふたりにカプセルを手渡した五郎八は、私は店内を探すからと【Ze Pet】に戻った。
「目撃証言がないか、キャットロード内を探してみましょうかー」
「うん……そうしよう」

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