サンマガチャ、ガチャガチャ｜リアクション

サンマガチャ、ガチャガチャ

●ビッグウェーブ発生！？

「サンマさんだらけだと、探すのは大変そうじゃ。サンマさんが隠れるにはサンマさんの中、かのぅ？」
　レンタルBOX 『ゆめゆめ』で開催する「夏のサンマさんフェア」の作品を見ながら、北美浜薫子はため息をつく。
「木を隠すなら森の中、みたいですねー」
「見つけるのは苦労しますが、探さないと【ZePet】さんが大変ですし、夏のサンマさんフェアも危ないです」
「急いでサンマさんを見つけましょうかー」
　夏のサンマさんフェア開催も危ういと心配する遠矢護、波乗りサンマさんの情報を得て『ゆめゆめ』に来た薄野五月の協力は心強い。
「感謝するぞ。皆で探せば早く見つかるのじゃ。夏のサンマさんフェア開催に向け頑張るのじゃ！」

　護は、サンマさんフェアの作品を眺めながら波乗りサンマさんを探している。
「これ、おもしろいなあ。この曲線、どうやってこんなに綺麗に出してるんだろう？　こっちはキラキラしてて綺麗だな」
　こんなのも作ってみたいなー、と目を輝かせながら、作品をひとつひとつ見ている。
「サンマさんガチャを探してるんだった。いけない、いけない」
　本来の目的を思い出し、波乗りサンマさん探しを再開。
「そうだ、僕もフェア用に作ってきたサンマさんの小さいぬいぐるみ出さなきゃ。ここにはいないよね」
　護はカバンの中を確認しながら、作ったぬいぐるみを出す。全部出した後にくまなく中を探すが、波乗りサンマさんはいなかった。

　五月は作品の陰や間、テーブルや椅子などの下をしっかり見て回る。
　波乗りなので海や水、波にちなんだ作品に紛れているかもと、それらの作品がある箇所を探している。
「サンマさん、いい波に乗ってますかー？　私にも、波乗りを教えてくださいませー」
　そう呼びかけるが、何の反応も無い。
　当たり前かと思った時、海のサンマさんコーナーの一角から、突然、何かが勢い良く飛び出した。
　波乗りサンマさんを発見した五月は、「乗ってるかーい！」と言うサンマさんの声が聞こえた気がした。
「いい波乗りっぷりですねー」
「夏のサンマさんフェアの邪魔はさせんのじゃ！」
「【ZePet】に帰ってください！」
　背後に大波が迫るような勢いで五月、薫子、護の３人は一斉に飛び掛かる。

　サーフィンをしているような動きで店内を縦横無尽に飛び交うサンマさんに、３人は大苦戦。
「逃げ足が速いのぅ」
　作品を壊されては『ゆめゆめ』も大変なので、作品を壊さないよう慎重に行動しなければならない。
「作家の方が作った作品、僕のぬいぐるみ、北美浜先輩が作った作品は壊させません！」
　頑張る護だったが、どんくささが災いして思うように捕まえられず。
「もっと大きな波に乗りたくありませんかー？」
　五月が言った一言に、波乗りサンマさんは一瞬動きを止めた。
「そのほうが目立ちますよー？」
　目立ちたがり屋な性格を利用した作戦なのか、何気なく言ったのかはわからないが、それいいかも、と五月に近寄る波乗りサンマさん。
「薄野、今じゃ！」
「は、はいー！」
　薫子の合図で、五月はカプセルを開け、近づいてきた波乗りサンマさんを閉じ込める。
「波乗りサンマさん、捕まえましたー！」
「サンマさん捕まりました！　お疲れ様でしたー！　良かったです！　やりましたね！」
　見届けた護は、ねこったーで『サンマさん１体発見』と書き込み、その後、拡散した宇佐見望月に連絡を。
『波乗りサンマさん、捕まえたんだな。さっき、修ちゃんからパワーストーンで幽霊サンマさんを捕まえたって連絡あった』
「そうですか。残るサンマさんも見つかるといいですね」

　波乗りサンマさんを捕獲したのは良いが、店内は捕獲騒動で散らかってしまった。
「片付けねばならんのぅ。薄野、遠矢、手伝ってくれんか？」
「お手伝いしますよー。私も、散らかしましたからー」
「僕も片付けます。皆でやれば、早く終わります」
　開店に間に合うよう３人が片付けをしている時、七音侑が『ゆめゆめ』にやって来た。
「こんにちにー。サンマさんガチャ、来たかにー？」
「ちょうど良いところに来たのぅ、七音。これを【Ze Pet】に持って行ってくれんかのぅ？」
　薫子は、侑に波乗りサンマさんが入ったカプセルを手渡し、自分の代わりに持っていくよう頼んだ。
「わかったに！　ちゃんとお届けするにー」