サンマガチャ、ガチャガチャ｜リアクション

サンマガチャ、ガチャガチャ

●仕事してサンマさん探して

「サンマさんの新作、ニャンプラ新作にTCG新弾パック……。今日は入荷商品が多いんだよね……」
　バックヤードから商品を売り場に運び、それらを陳列する八重崎五郎八は、サンマさん探しもしているので人一倍忙しい。
　陳列商品の中に新作ニャンプラがあるのを知った宇佐見望月は、俺様も手伝うと五郎八を手伝う。
「こういうところに……いるわけないか」
　ニャンプラの箱を開け、サンマさん紛れ込んでいないかと中身を確認しようとするが、ビニール紐で箱が固定されている。
　そーっと紐を解き後で結び直せば大丈夫、思ったが、五郎八や他の協力者に知れたらまずい。
「五郎八ちゃん、この箱ここに置くのか？」
「そこでいいよ」
　置き場所は新作ニャンプラコーナー。ニャンダム好きな望月にとって、いるだけで幸せな場所だ。
「うぉおおお！　こ、これは……『ニャンダムライデンボルト』の限定版！　おまけでコミックス付いてくるんだよな～」
　目を輝かせ、限定版を手に取る。
「こっちはライデンボルトの敵メカ『サンマーサ・スナイパーカスタム』じゃねえか！」
　ニャンプラを見て大興奮する望月に、五郎八は不安をおぼえた。
「五郎八ちゃん、『ニャンダムライデンボルト』限定版とっておいてもらっていい？　俺様、これを買いに来たんだ」
「そうだね……サンマさんガチャを見つけてくれたら考えてもいいよ」
「ホントか！？　よーし！　頑張って探すぜ！」
　ニャンプラ限定版ゲットのため、望月は店内を必死で探す。といっても、ニャンプラ置き場だけだが。
（……大丈夫かな……）
　五郎八は少しめまいがした。　

「まずはお店の中を探すにー。プラモの中とか、おもちゃの間にいるかもしれないにー」
　七音侑は、ぬいぐるみコーナーを重点的に探している。
　その近くでは、カプセルを持ちながら畑中華菜子が声をかけながら探している。
「サンマさーん、出ておいでアルー。怖くないアルよー」
「これ懐かしー！　ウチが小さい時にもあったなー！」
　玩具大好き、プラモ、ぬいぐるみ、ドールハウスなど興味がある侑が見つけたのは、ロングセラー商品の動物一家のぬいぐるみ。
「これ、。私も持ってたアル。侑ちゃんはどれが好きアル？」
「ウチはうさぎちゃんが好きだにー。畑中さんはどれだにー？」
「パンダさんが好きネ。ぬいぐるみの種類、増えたアルネー」
　懐かしくなってふたりは、ちょっとだけ……と、ぬいぐるみを手にすると遊びだす。
「そこのおふたりさん、遊ぶのは、サンマさんを全部見つけてからにしてね？」
　楽しんでいるところを邪魔するようで悪いけど、と付け加えて五郎八がたしなめる。
「ごめんアル」
「あ……えへへ、ごめんなさいにー。ここ、人手が足りてるようだから、他の場所に探しに行くにー！」
　ろっこんを使えばぴょぴょいのぴょーい、と空中移動ができるので、サンマさん探しで役立つだろう。
「他を探しに行くなら、サンマさん探しをしている人にこれを渡して」
　侑が店を出る前に、ガチャカプセルをいくつか手渡す。
「わかったにー。サンマさんを探している人がいたら、これを渡して入れるよう言えばいいんだにー？」

（八重崎さん、見事な働きぶりですわ！）
　五郎八の仕事ぶりを感心つつ、財前華蓮は店内を四つん這いで探す。
「サンマさん、いらっしゃいませんの？」
　華菜子に倣い声をかけるが無反応。
「財前先輩、パンツ見えてるネ」
「ど、どうでもいいですわ！」

　初島優は、素直に五郎八の指示に従い、他の店員を手伝いながらサンマさん探しをしている。
「お客さん、こっちもお願いしていいかな？」
「今行くねー」
　優が【ZePet】の客なので、五郎八はいつものように呼ぶが本人は気にせず。

「陳列したら……店の前で待つお客さんの応対かな……？　サンマさん探しながらこれらをこなすのはさすがに骨だね…」
　いやはや困ったものだよ、と肩を竦める五郎八に、華蓮が声をかける。
「八重崎さん、仕事はどうですの？　うまくやっていますの？」
「……ご覧のとおりだよ……」
「そうでしたわね。サンマさん騒動で大変ですものね」
　騒動のおかげで楽しめますわ！　そう思いながら、今後の展開を期待する華蓮だった。

　五郎八が目を離すと、望月と優はニャンプラ話で盛り上がり、興味を示した華菜子が、ニャンプラがどんなものか知りたいと話に加わる。
「そこ！　サボらない！」
　五郎八の気苦労は、サンマさんガチャがすべて見つかるまで絶えそうもない。

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