サンマガチャ、ガチャガチャ｜リアクション

サンマガチャ、ガチャガチャ

●『ゆめゆめ』に紛れ込み？

　捕獲用カプセルを受け取った薄野五月は、キャットロード内のどこを探そうか考えている時、スマホをいじりながら歩いている通勤途中の女性にぶつかった。
「ながらスマホは危ないですよ。気を付けてくださいねー」
　ごめんなさい、と謝る女性のスマホを良く見ると、サンマさんストラップがついていた。
　それに気づいた五月は、サンマさんガチャを見なかったか聞いた。
「これに関係あるのかしら？」
　そう言うと、歩きながら見ていた拡散ねこったーを見せてくれた。
（拡散されているということは、サンマさん探しをする人が他にもいそうですねー）
　そうだとしたら、思ったより早くサンマさんガチャが見つかるかもしれない。
「そういえば、サーフィンしているようなサンマさんガチャがレンタルBOX『ゆめゆめ』のほうで見たわ」
「教えてくれてありがとうございます。先ほども言いましたが、ながらスマホは危ないですよー」
　情報を得た五月は、さっそく『ゆめゆめ』に向かう。
「サーフィンということは、波乗りサンマさんですねー」

　その頃、遠矢護は『ゆめゆめ』に着いた。
「おはようございます」
　店に入ると、北美浜薫子が「夏のサンマさんフェア」の準備をしていた。
　食べ物かお中元商品のような名前だが、各ボックスの作家達に「サンマさん」というテーマで、作品を作ってきてもらうフェアだ。
　アクセサリー作家のサンマさんピアス、サンマさんが指に巻き付いたみたいなデザインの指輪。
　刺繍作家によるサンマさん柄のハンカチにワッペン。
　彫刻作家によるサンマさん箸置きとか置物など。
　様々なサンマさん作品を特設のボックス、各作家のボックスの展示販売も。
「いつもはバラバラじゃけど、たまには同じテーマで作品を作るのも楽しいのぅ♪」
　薫子はこっそり、サンマさんを咥えている木彫りの熊を制作している。
　木彫りの熊を作りながら、ここに来る途中に【Ze Pet】の近くが騒がしかったことを思い出した。
（あの時、なにかあったのかのぅ？）

　そう考えている時、護が薫子の肩をポンと軽く叩く叩いた。話しかけても反応がなかったからだ。
「おはようございます、北美浜先輩、作品の入れ替えに来ました」
「遠矢か。ご苦労じゃのぅ。玩具屋のほうが騒がしかったようじゃが、何かあったのかのぅ？」
「そのことですか。僕が聞いた話では……」
　護は、後木真央から聞いたことを説明する
「玩具屋のサンマさんガチャの中身が神魂で逃げてもうたんか。それは大変じゃのぅ」
　今日の『ゆめゆめ』には、数多くのサンマさん商品がある。
　その中に紛れ込まれたら、探し出すのは難しくなる。
「あいわかった、うちも探すのじゃ。玩具屋の危機を何とかせねば。遠矢も手伝ってくれるんじゃろ？」

「おはようございますー」
　話が終わり、サンマさんガチャを探そうとしたところに、五月が来店。
「お客さんかのぅ？　まだ開店前じゃよー」
「違いますー。こちらで波乗りサンマさんガチャを見た、というのを聞き、探しに来たんですー」
「先輩んとこのサンマさんガチャの中身、じゃな？　ご覧のとおり、うちにも今、いっぱいサンマさんがおるけぇ。どこかに紛れ込んどるかもじゃのぅ」
　薫子にそう言うので、店内を見ると、さまざまなサンマさん作品が店内にズラり。
（探すの、苦労しそうですねー…）
　そう思いつつ、五月は、何故、こんなにサンマさん作品があるのか訊ねた。
「夏のサンマさんフェアじゃよ。たくさんのサンマさんモチーフ作品があるぞ。良かったら、何か買っていってくれると嬉しいがのぅ」
「サンマさんフェアですかー。たくさんのサンマさんモチーフの作品が飾られておりますねー。見ているだけでとても楽しそうですー」
　そう思ったが、今は、作品に紛れ込んだ、かもしれない波乗りサンマさんを探さなければ。
「サンマさんガチャですが、捕まえたら、このカプセルに入れないと元に戻らないんですー。でないと、また逃げてしまいますー」
　八重崎五郎八から手渡されたカプセルを、薫子と護にも手渡す。
　誰かと探してくれるかもしれないと考えた五郎八は、あらかじめ複数のカプセルを手渡したのだった。
「捕まえたら、これに入れればいいんじゃな？　はよう見つけて返してやらねば」

　こうして、３人によるサンマさん探索が始まった。