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Un peluche importante
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裁縫自体は不得意ではないものの、経験の少なさからかなり苦戦していた。小淋は実家で飼っている黒い兎のオズワルドの写真を見ながら、悪戦苦闘していたが、麗佳や牡丹、渚砂の助けがあって何とか出来てきていた。
オズワルドとの出会いは一年前だった。学校の帰り道で、酷く弱った状態で捨てられているのを見つけた。瀕死の小さな黒い兎を急いで家に連れ帰り、必死の思いで看病をしてなんとか一命は取り留めたものの、小淋の家の環境では飼う事はなかなか難しかった。他に飼い手も見つからず、放り出すわけにもいかず、小淋は母親を何とか説得してオズワルドを家族の一員に迎え入れた。今、オズワルドはどうしているだろうか。写真の中の黒兎はあどけない表情で小淋を見つめている。
「優妃ちゃんのご両親って、映画監督と女優さんだっけ」
一休みしている優妃にロベルトが声をかけ、小淋の手も止まる。優妃が「そうだよ」と短く呟くが、その声はどこか冷たかった。
「二人とも有名な人だし、忙しいんだろうな」
「そうね。家にあまり帰って来ないから、忙しいんじゃないかしら」
感情のこもっていない声だった。両親の話題を続けるのは得策ではないと判断したロベルトが、すぐに話を違う方向へと持っていく。
「それじゃ、普段は御陵と二人なんだね。普段はどんなこと話してるの?」
「お兄ちゃん、あんまり家にいないから、ロベルトさんが思ってるほど会話はないのよ。夜ご飯も一緒に食べないし」
「……別々に、食べるの?」
「お兄ちゃんは毎日外で食べてるの。お友達と食べてるって言ってたわ」
ロベルトの心の中で、違和感が膨らんで行く。優妃は、兄の口から友達の名前を聞いたのは、ロベルトが初めてだと言っていた。それなのに、王輝は毎日外で『友達』と夕食を食べている。
「……それで、君はなんとも思わないのか?」
「夕食を、兄妹別々にとる事が、そんなにおかしい事なのかしら?」
優妃の指先が、ロベルトの頬に伸ばされる。彼女の指は、ゾっとするほど冷たかった。笑顔のまま首を傾げる優妃の灰色の瞳は鋭く、視線を逸らす事ができない。
「どうしてそんなに家の事を聞きたがるのかな? ロベルトさんは何か、知っている事があるのカナ?」
優妃の様子がおかしい事は、その場にいた全員が気付いた。ロベルトが何かを言おうとするが、言葉が出てこない。
「ねぇ、ロベルトさんは何を知っているのカナ?」
瞳の奥を覗き込もうとするかのようにグっと顔を近づけられ、ロベルトは息を詰めた。優妃の目を見続けている事ができずにギュっと目を瞑った時、聞いた事のある明るい声がかかった。
「あら、優妃ちゃんじゃない? 私のこと、覚えてる?」
「早坂、さん……?」
「そう! 覚えていてくれたのね」
にっこりと微笑む恩に、優妃の意識がロベルトから逸れて行く。顔が離れ、頬に添えられていた冷たい指先が離れた時、詰めていた息をやっと吐き出した。
「その手元のぬいぐるみは、もしかして……」
「……お兄ちゃん、に……あげるの……」
はにかんだような笑顔だった。彼女が誰にあげるために作っているのか、恩は分かっていた。そうでなければ、彼女は頑張って参加しないだろう。一生懸命作っている様子は、さっきから見ていた。健気な様子は、可愛いと思う。だからこそ、あの事は秘密にしなければならない。何故王輝が殺したくなるほど妹を嫌っているのか分からないため、彼を頭ごなしに責める事は出来ないが、それでも良い方向に動いて欲しいとは思っている。
「っ……! 痛っ……!」
零葉が指を刺し、牡丹が手早く消毒をして、修が持っていた絆創膏を貼る。
「はぁ……私……本当に不器用で……嫌になります……」
シュンと肩を落としながら指先の絆創膏を見つめる零葉の背を、牡丹がそっと撫でる。
「大丈夫。例え形が歪になっても、一針一針真心を込めて縫えばその想いは伝わるから。一緒に頑張りましょう」
「そうだよ! 頑張ればきっと素敵なぬいぐるみに……」
自身も残念過ぎる不器用さを持っていた茉菜が零葉を元気付けようとして、指を刺す。再び牡丹が目にも留まらぬ速さで消毒をし、修が絆創膏をぺたりと貼る。息がピッタリの、驚きの早業だった。茉菜は二人にお礼を言いながらも、血のついたぬいぐるみを見て肩を落とした。自分の血がついているなんて、まるで呪いの人形だ。しかも、見れば修は既にタイガのぬいぐるみを作り終わっていた。と言うより、修だけではなく他の男子諸君も既に一体目を作り終わって、二体目に取り掛かっている。深雪の手元には白猫のぬいぐるみが出来上がった状態で置かれ、黒猫も着々と進んでいる。ロベルトも二体目の猫に取り掛かっており、裁縫スキルの高い渚砂は既に二体目の馬の最終段階に取り掛かっている。銀色の毛色で赤いビーズの瞳の馬と、それよりも一回り小さい淡い金色の毛色で灰色のビーズの瞳をした馬は、脚に針金が入ってポーズが変えられるようになっていると言う拘りっぷりにもかかわらず、だ。
一方女性陣はと言うと、不器用コンビの茉菜と零葉は言わずもがな。若干手元が危うい小淋と優妃も未だに一体目が作り終わっていない。裁縫の得意な牡丹は、作っているものがわんこ系ショタ彼氏のぬいぐるみなだけに時間がかかっている様子だが、作り終わっていない主な原因は周りのフォローに時間を割いているからだろう。一体目が作り終わり、二体目に取り掛かっているのは万里だけだった。牡丹は仕方がないとしても、女子力って何だっけと考えずにはいられない。
ションボリする茉菜に気付いた修がカードを取り出し、彼女の前に置く。
「血が乾くまで、書かないか。無理に縫おうとすると、傷口が開くかもしれない」
「ありがとう……」
自身の不器用さに落ち込んでいた茉菜の心が、少しだけ救われる。
「維都月はノインを作るのか。……ノインは幸せなんだな。良かった」
写真の中のノインは元気そうで、修の顔が綻ぶ。茉菜なら大丈夫だと分かっていたが、それでもあの日、タイガと一緒にいた子猫達のその後は心配だった。
「八神くんはタイガを作ったんだね。凄く上手くて、羨ましいなっ。わたし、もう一体、犬のぬいぐるみを作ろうと思ってるんだけど……難しいかな……」
出来上がったタイガのぬいぐるみをタイガに見せていた修が、茉菜の手元で形になろうとしているノインのぬいぐるみに目を向ける。
「沢山お世話になっている人に、プレゼントしようと思ってるんだ。その人はね、一緒にいて安心できるかと言われたらきっと出来ないけれども、とても頼りになる人だよ。……受け取ってもらえるかは、別だけれども……」
贈り物なのだから、一滴も血はつけないように気をつけないと。と、儚く微笑む茉菜の背中を、ポンと優しく撫でる。
「維都月が心を込めて作ってるんだ、絶対受け取ってもらえる」
力強くそう言われ、茉菜は「ありがとう」とお礼の言葉を呟くと修の顔を見上げた。修はいつも茉菜に力をくれる。優しくて、頼りになる、一番の友人。この先も、ずっと。
穏やかに友情を育む茉菜と修の前で、ロベルトは難しい顔をしたまま考え込んでいた。何故優妃が急にあんなに強い感情を見せたのかは分からないが、彼女の口からもう少し王輝の事が聞きたい。優妃の瞳を見ないようにしながら、ロベルトは口を開いた。
「優妃ちゃん……実は僕、御陵と喧嘩して、仲直りがしたいんだ。御陵の事よく知らなくて、怒らせて……だから、もっと知って仲良くなりたいと思ってる。御陵とも、優妃ちゃんとも」
「……お兄ちゃんと、喧嘩? ……ロベルトさんって、本当にお兄ちゃんと仲が良いのね」
優妃の手が、ロベルトの手に乗せられる。小さな手は、温かかった。
「お兄ちゃんって、社交的に見えて、実はそうでもないと思うの。喧嘩するほど仲の良いお友達なんて、始めて聞いたわ」
そこまで把握していながら、何故兄の『嘘』を見抜けないのだろうか。否、もしかしたら気付いていて、あえて目を逸らしているのかも知れない。そこを突っ込んで聞くとまた先ほどと同じ展開になりそうで、グっと抑える。
「お兄さんは、家ではどんな感じ? ご両親とは、どうかな?」
「別に仲は悪くないと思うの。家では私はピアノを弾いて、お兄ちゃんは絵を描いているから、ずっと一緒にいるわけじゃないけど、でも優しいわ」
「小さい頃の、思い出とかは?」
『私も聞いてみたいです』
小淋がスケッチブックを開き、更に言葉を綴る。
『一人っ子だったので、兄妹に少し憧れてるんです』
「思い出って言っても、私、身体が弱くてほとんど病院にいたから、話せるような思い出はそれほど多くないのよ」
その言葉に顔を見合わせたのは、修と茉菜だった。病弱で長期間入院しているような妹を、例えふざけていたとしても海に落としたりなどするだろうか?
『今は大丈夫なんですか?』
「入院するほどじゃないの。お兄ちゃんは、よくお見舞いに来てくれたわ。いつも、ぬいぐるみとか持って来てくれたの」
「ぬいぐるみ、好きなのか?」
「大好き」
深雪の質問に、輝く笑顔で答える。見ている方も笑顔になるような、不思議な力があった。
「他には、何か好きな物はあるのか?」
「いっぱいあるのよ。お菓子も好きだし、動物も好き。お花も、白い百合以外なら大好き。……ところで深雪さん、手、どうしたの? さっきから、縫い難そう」
灰色の視線が右手へと注がれる。怪我をしている事を悟られたくなくて、咄嗟に手を握り、思いついた言葉をそのまま口にする。
「何でも……」
優妃の目を見た瞬間、息が詰まった。心臓が大きく脈打ち、背筋に冷たいものが落ちる。深雪の脳裏に、数日前に王輝に言われた忠告がよみがえる。何故王輝が言ってはいけないと言ったのか、今なら分かる。
「何でも、の、先は、なに?」
強い感情を宿した灰色の瞳は鋭く、怒りが滲んだ声は低い。
「ゆう、ひ……?」
「何て言おうとしていたの!?」
声に苛立ちが混じり、語気が強くなる。ロベルトは優妃の腕を掴むと、自分の方へと向けさせた。
「優妃ちゃん、落ち着いて」
噛み締めるように、ゆっくりと言葉を紡ぐ。王輝が止めろと言ったのは、きっとこの事なのだろう。優妃が我に返ったように目を見開き、ロベルトを見上げる。一瞬だけ苦しそうな表情を浮かべ、小さく「ごめんなさい」と呟くと、俯いた。
「……嘘を、ついたら……分かるのよ」
今にも消え入りそうな声は、それでも近くにいた人の耳には届いた。その言葉は、深雪と修には聞き覚えのあるものだった。
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日常
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30人
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30人
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シナリオガイド公開日
2014年03月10日
参加申し込みの期限
2014年03月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年03月17日 11時00分
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