奴隷戦線異常有り｜リアクション

奴隷戦線異常有り

●●●突撃は豪気と共に●●●
　静かに闘志を燃やす者はここにもいる。
　風雲児轟がろっこん【戦衣着装】で姿を変えたヒーロー、ザ・ストレイトだ。

「…いいだろう。そこまで言うなら戦ってやろうじゃないか」

　右腕に荷馬車から取り出した盾を装備して、源一達の前に立つ。
　そして、ザ・ストレイトは宣言する。

「ただし、結末は俺達の死ではなく、ゴブリン達の全滅で終わるがな！」

　一番数の多い中央のゴブリン集団へと向かっていく。
　その隣にはボロボロの剣を携えた御剣刀の姿があった。

「先ずは一撃をあたえよう。その後逃げて、一対一の状態を作る」

　剣術の心得えがある分、多数を相手にする事は避けたいのだろう。
　ザ・ストレイトとは既に何度も似たような状況を共にしてきたためか、ザ・ストレイトも快諾する。

「直拳貫徹！　ザ・ストレイト！　推していくぞ！」

　コロシアムに響く、力強い声も観客からは嘲笑が漏れていた。

●●●ライトサイド●●●
「ここは…一体何処なんでしょう？」

　琴代がゴブリンと対峙しているところを見た絹織真由良も盾を持って左側へ向かう。

（寝子島に着いたばかりだってのに、何でこんな目に…とにかくやるっきゃないな）

　そもそもどうしてここにいるのか、拭えぬ疑問はあれど、やらねばならない事も理解していた。
　そんな一種緊張状態にある真由良に八神修の声がかかる。

「無理はしないほうが良いぞ。こういう状況だから、尚の事、な」

　全員での生存を目指す修は真由良の状態を心配する。
　フツウではない事に関わり続けている修は冷静に分析をする。

「あ、ありがとうございます。えっと…あ、私、絹織っていいます」
「八神だ。全員で生き残ろう」

　フツウを意識したのか、自己紹介をする真由良と修。
　和やかな雰囲気になるも、瞬時に切り替える二人。
　目前には欲に逆らうことなく突撃をするゴブリンの群が近づいていた。

●●●衝突！ゴブリン達の猛攻！●●●
　右側へと攻め込んでいく陽太と彩斗。

「怪我、しないようにねぃ？」
「よーたくんこそ…！」

　麻布マントをなびかせながら向かう。
　近づく数体のゴブリンが粉塵を物ともせず、棍棒を振りあげたままだ。

「や…やーい！　お前らなんてよわよわだぞ…！」

　弱々しくもゴブリンを挑発する彩斗。
　挑発とは分からないであろうが、雰囲気は察したのか怒りの声を上げて彩斗を攻撃対象にするゴブリン達。

「わ、わ…！」

　慌てる彩斗に先頭のゴブリンが棍棒を振り下ろす。
　が、言葉とは裏腹にキレのある動きでゴブリンの攻撃を槍で受け流す彩斗。
　だが、やはり槍の耐久度は良くなかったようで、先端が壊れてしまう。

「さすがあやとー」

　彩斗の動きに感嘆を示す陽太。
　そして、彩斗に気を取られている後発のゴブリンの一体に麻布マントをかぶらせる。
　視界を奪われたゴブリンは体にまとわりつく虫を払うように左右に攻撃をし始める。

「よーた、あぶないぞ！　しゃがむんだ！」

　他のゴブリンからの攻撃を受け、槍とは言えないほどぼろぼろになった槍を持つ彩斗が叫ぶ。
　その声が届いたのか、陽太はしゃがんで攻撃を避け、目の前にあった足を殴打する。
　悲鳴のような鳴き声をあげるゴブリンだが、なおも棍棒を振り回す。

「どうだ、弁慶のなきーどこーろー」

　歌舞伎風にナレーションする陽太を見て安心をする彩斗。

「じゃあ、中央側に…」
「あぶなっ…！」

　言いかけた彩斗の死角から攻撃を仕掛けるゴブリン。
　それに気がついた陽太が彩斗に叫び、ポケットから取り出した粘土細工人形をつついた後、投げつける。
　つついた人形はろっこん【ＣＣＣ】で自由に操ることができる。
　が、別のゴブリンが猫を象った粘土細工人形も敵と判断したのか、たたき落としてしまう。
　振り向いた彩斗の目の前には振り下ろされる棍棒がやけに遅く見えた。

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