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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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寝子高七不思議シリーズ：存在しない教室の存在
『まず、このまま黙って座っていても、この“授業”は終わらない』
御剣がそう書くと、美野梨が思わず教室の時計に目をやった。
『あの時計は、秒針と長針は動いているけど、短針は動いていないんだ』
制服姿で教室にいて教師がいるのだから、授業を受けていればそのうち終わるだろうと、教科書まで広げて待っていた御剣は、長針が２度回った時点で、受身のままでは授業が終わらない事を理解した。
御剣は、考えながらノートに文字を続けた。
『そもそも、何で俺達は猫扱いなんだ？ あの牛のような黒い影はなんだ？ どうするにしても、情報がないと今後の対策も立てられない』
そこで夏朝が、クラスメイトの民谷の席に、今の自分達のように人が集まっていたのを思い出す。
『筆談ノート、見せてもらえないか頼んでくる』
夏朝は、机と椅子に触れないよう気をつけながら立ち上がり、後ろの席の民谷の元へと歩いて行った。
それを見送りながら、御剣はもうひとつ、疑問に思っていた事をノートに書いた。
『この教室では、一人出たら別の一人が追加される。つまり、この授業では生徒が欠けるのは赦されない。
このこだわりが教師のものか、生徒のものかは判らない。弁天を満足させればいいのか、生徒に紛れたナニカが一緒に授業を受けていて、そっちを満足させれば解放されるのか』
『私も、怪しい生徒がいないか観察したけど、良く判らなかったわ』
美野梨が書き足す。
『ところで、十条寺はずいぶん落ち着いているんだな』
御剣は、鋭い眼差しで達磨を見た。
そういえばと美野梨もじっと達磨を見つめた。
『え？ 俺、疑われてんの？ 勘弁してよー』
真央達が消えた時の教室の反応を見た限り、教室に不審な人物は見当たらなかった。途中から加わった達磨がその関係者の可能性は低いと御剣は思っていたが、達磨の余裕のある態度がずっと気になっていた。
『もしかして、何か知っているんじゃないのか？』
御剣の疑問に、達磨がもったいぶるような笑みを浮かべた。
『知っているっていうか、俺、ちょうどこの教室の噂を実際に生還した先輩から聞いてたトコだったんだよね。だからすぐ状況が理解出来たってハナシ。いやぁ、運命感じちゃうよね』
達磨が、美野梨と民谷にノートを借りて戻ってきた夏朝に微笑みかけた。
夏朝は民谷のノートを御剣に渡すと、達磨の書き込みを読んだ。
『その先輩は、どうやって教室から出たの？』
夏朝が達磨に筆談で尋ねると、達磨は困った顔をした。
『それが、話が盛り上がった所で、先輩、友達に呼ばれちゃって。続きは明日聞く予定だったんだよねぇ』
夏朝が肩を落とす。
『でも、生還した生徒がいるんだから、きっと俺達も大丈夫だよ！』
達磨の笑顔を見ていると、なんとなくそんな気がして来る。
『そういえば、先輩が皆で弁天さまを教室から出したって言ってた』
教室から出すと言ってもどうすればいいのだろうか。
『シンプルに、頼んでみる？ あの弁天、コミュニケーションとかできるの？』
達磨の質問に、夏朝が悩む。
『反応するけど、こっちに興味ないみたい』
『じゃあ、ちょっと試してくる。ついでに、仲間も募集して来るよ』
達磨はポケットに入っていた風船ガムを取り出した。
『これで協力を頼もうと思うんだ』
達磨がすでに協力者と認定した御剣にガムをひとつ渡す。
静かに噛んで、鈴の隙間から詰め込み、余った部分を鈴に巻き付けるのだと達磨が教える。
動くなら鈴対策は必要だ。御剣はそっと包み紙を開け、ガムを口に入れた。
ひふみの替わりに席に座る事になった桜庭 円は、斜め前の席のアリーセから状況を教えて貰うと、すぐに首の鈴を押さえ、もう片方の手で机の上の鉛筆を胸ポケットにしまった。
それから机の中をゆっくりと探ると、液体ノリを見つけた。ひふみが座っていた時には無かったので、消えた生徒と一緒に机も変わっているようだ。
（これ、使えるかも）
液体ノリを握り締めた円は、少しでも弁天さまに音が聞こえないようにと、ゆっくりと席を立ち、教室の後ろへ行った。音が鳴らないよう気をつけながら鈴の穴に液体ノリを流し込もうとしたが、鈴がよく見えないため、手探りでは上手く行かなかった。
新しく利平の席の生徒となった八神 修は、同じ事をしようとしている円の様子を見て、身振りで助け合おうと合図した。
向かい合い、相手の鈴に液体ノリを充填するのは、そう難しい事ではなかった。
２人は自分の首元の鈴を押さえ、周囲に注意を払いながら、ノリが鈴の中で固まるのを待った。
その視線の先で、達磨が教壇に向かって歩いて行くのが見えた。
御剣がそう書くと、美野梨が思わず教室の時計に目をやった。
『あの時計は、秒針と長針は動いているけど、短針は動いていないんだ』
制服姿で教室にいて教師がいるのだから、授業を受けていればそのうち終わるだろうと、教科書まで広げて待っていた御剣は、長針が２度回った時点で、受身のままでは授業が終わらない事を理解した。
御剣は、考えながらノートに文字を続けた。
『そもそも、何で俺達は猫扱いなんだ？ あの牛のような黒い影はなんだ？ どうするにしても、情報がないと今後の対策も立てられない』
そこで夏朝が、クラスメイトの民谷の席に、今の自分達のように人が集まっていたのを思い出す。
『筆談ノート、見せてもらえないか頼んでくる』
夏朝は、机と椅子に触れないよう気をつけながら立ち上がり、後ろの席の民谷の元へと歩いて行った。
それを見送りながら、御剣はもうひとつ、疑問に思っていた事をノートに書いた。
『この教室では、一人出たら別の一人が追加される。つまり、この授業では生徒が欠けるのは赦されない。
このこだわりが教師のものか、生徒のものかは判らない。弁天を満足させればいいのか、生徒に紛れたナニカが一緒に授業を受けていて、そっちを満足させれば解放されるのか』
『私も、怪しい生徒がいないか観察したけど、良く判らなかったわ』
美野梨が書き足す。
『ところで、十条寺はずいぶん落ち着いているんだな』
御剣は、鋭い眼差しで達磨を見た。
そういえばと美野梨もじっと達磨を見つめた。
『え？ 俺、疑われてんの？ 勘弁してよー』
真央達が消えた時の教室の反応を見た限り、教室に不審な人物は見当たらなかった。途中から加わった達磨がその関係者の可能性は低いと御剣は思っていたが、達磨の余裕のある態度がずっと気になっていた。
『もしかして、何か知っているんじゃないのか？』
御剣の疑問に、達磨がもったいぶるような笑みを浮かべた。
『知っているっていうか、俺、ちょうどこの教室の噂を実際に生還した先輩から聞いてたトコだったんだよね。だからすぐ状況が理解出来たってハナシ。いやぁ、運命感じちゃうよね』
達磨が、美野梨と民谷にノートを借りて戻ってきた夏朝に微笑みかけた。
夏朝は民谷のノートを御剣に渡すと、達磨の書き込みを読んだ。
『その先輩は、どうやって教室から出たの？』
夏朝が達磨に筆談で尋ねると、達磨は困った顔をした。
『それが、話が盛り上がった所で、先輩、友達に呼ばれちゃって。続きは明日聞く予定だったんだよねぇ』
夏朝が肩を落とす。
『でも、生還した生徒がいるんだから、きっと俺達も大丈夫だよ！』
達磨の笑顔を見ていると、なんとなくそんな気がして来る。
『そういえば、先輩が皆で弁天さまを教室から出したって言ってた』
教室から出すと言ってもどうすればいいのだろうか。
『シンプルに、頼んでみる？ あの弁天、コミュニケーションとかできるの？』
達磨の質問に、夏朝が悩む。
『反応するけど、こっちに興味ないみたい』
『じゃあ、ちょっと試してくる。ついでに、仲間も募集して来るよ』
達磨はポケットに入っていた風船ガムを取り出した。
『これで協力を頼もうと思うんだ』
達磨がすでに協力者と認定した御剣にガムをひとつ渡す。
静かに噛んで、鈴の隙間から詰め込み、余った部分を鈴に巻き付けるのだと達磨が教える。
動くなら鈴対策は必要だ。御剣はそっと包み紙を開け、ガムを口に入れた。
ひふみの替わりに席に座る事になった桜庭 円は、斜め前の席のアリーセから状況を教えて貰うと、すぐに首の鈴を押さえ、もう片方の手で机の上の鉛筆を胸ポケットにしまった。
それから机の中をゆっくりと探ると、液体ノリを見つけた。ひふみが座っていた時には無かったので、消えた生徒と一緒に机も変わっているようだ。
（これ、使えるかも）
液体ノリを握り締めた円は、少しでも弁天さまに音が聞こえないようにと、ゆっくりと席を立ち、教室の後ろへ行った。音が鳴らないよう気をつけながら鈴の穴に液体ノリを流し込もうとしたが、鈴がよく見えないため、手探りでは上手く行かなかった。
新しく利平の席の生徒となった八神 修は、同じ事をしようとしている円の様子を見て、身振りで助け合おうと合図した。
向かい合い、相手の鈴に液体ノリを充填するのは、そう難しい事ではなかった。
２人は自分の首元の鈴を押さえ、周囲に注意を払いながら、ノリが鈴の中で固まるのを待った。
その視線の先で、達磨が教壇に向かって歩いて行くのが見えた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2014年03月07日
- 参加申し込みの期限
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- 2014年03月14日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2014年03月14日 11時00分
