夏だ！　海だ！　大雪だ？！｜リアクション

夏だ！　海だ！　大雪だ？！

「良い天気だね。ブルーもそう思うだろう？」
　ビーチパラソルでほどよく紫外線を遮りながら、八神修は愛猫のロシアンブルーの背を撫でる。
　片手には英単語帳。
　修は夏を満喫していた。
（いい風が吹いてくるね）
　海風が修の前髪を揺らした。
　英単語帳をしまい、ブルーを抱っこして、修は浜辺を散策する。
　砂浜の砂が太陽の光りを乱反射して、修の無駄のない身体を輝かせる。
「ブルー、見てごらん。あれは海、seaだよ。お前の名前と同じ、青い海だ」
　修の腕の中で、ブルーはにゃーんと返事する。
「空はsky、砂浜はSands、かもめはSea gull、恋人達はSweethearts」
　ブルーに教えるように、修は目に付くものを英訳してみる。
　にゃーんにゃーんとそのたびに頷いているブルーは、理解出来ているのかいないのか。
　飼い主の修が嬉しそうなのが、一番嬉しいのだろう。
　修の顔を眺めて、幸せそうに喉を鳴らす。
（Sweethearts……あおいは今、何をしているのかな）
　ふと、想い人の事を思う。
　彼女とは、恋人などではまだなくて。
　でも、とても大切な人で。
「にゃぁん？」
　どこか遠くに意識が行ってしまっていた修を、ブルーの声がこちらに引き戻した。
「ああ、大丈夫だよ。お前は本当に賢い子だね」
　ブルーの背を撫でて、修は海辺の散歩を再開する。　

「ここのカキ氷は美味じゃのう」
　夏神零はしゃりしゃりとカキ氷を頬張る。
　夏の海といえばやはりカキ氷だろう。
　その隣で、魂行凪も一緒にカキ氷をしゃりしゃり。
　浜辺にぺたんと腰を下ろし、零に寄り添う。
「……美味しい……」
　恋人と二人だからだろうか。
　何気ないカキ氷が、この上なく美味しい。
　食べ終わると、零が持ってきていた浮き輪に空気を入れる。
　ぷうっと膨らませると、浮き輪は可愛らしいシャチの姿になった。
　愛らしさに、嬉しそうに目を細める凪。
　零と凪、シャチの浮き輪を挟んで抱きしめあう。
「これに掴まりながら泳ぐとするかの」
　零に促され、凪はこくりと頷く。
　手を握り、抱きしめあって。
　二人は、シャチの浮き輪で海辺を漂う。

　