夏だ！　海だ！　大雪だ？！｜リアクション

夏だ！　海だ！　大雪だ？！

「ふぅ。やはりこの季節は大変だね」
　哀坂極夜は海の家で額の汗を拭った。
　見上げる太陽は、今日もさんさんと眩しく、極夜は緑の瞳を眩しげに細める。
　目線を下ろせば、広がるのは太陽の光りを反射して輝く青い海。
　そして透き通る澄んだ海の青さよりも、もっと極夜を喜ばせるもの――　それはカップル達の幸せそうな笑顔。
（やはり、幸せそうな笑顔というのは、喜ばしい事だね）
　彼女彼らの幸せそうな笑顔を見ているだけで、海の家でのハードな仕事疲れも吹き飛ばせそうだった。
「おうおう、にーちゃん頑張るな。少しぐらい休んでも構わないよ」
　マスターの葛西一義が声をかける。
　最初こそ、極夜はひょろっとしてやさしげで、きちんと仕事がこなせるか心配だった一義だが、極夜はなかなかどうして、気は利くし仕事は速いし、女受けもいいしでいうこと無しだった。
「ありがとうございます。でも大丈夫ですよ」
　にこやかに極夜が答えると、お客から声がかかった。
「おーい、そこの格好いいにーちゃん、こっちにカキ氷一つ！」
　そんなちょっと酔っ払ったおじさんの呼びかけにも、極夜は笑顔で応じ続ける。
（いやー、ほんといい人材雇えたな）
　極夜の働きに大満足な一義は、厨房に戻る。
　厨房からはアイスピックで豪快に氷を割る音が響きだした。
　筋骨隆々の一義自らが氷を砕いているためだ。
「あ、そこのおにいぃちゃん、こっちにもジュースもらえますか？」
　せわしなく働く極夜に、瑠璃条ベガも注文する。
「お一つでよろしいですか？」
「ううん、２つ！　だーりんの分も♪」
　愛するだーりん八十八旗信彦の分も注文するベガ。
　極夜からルンルン気分で受け取って、信彦の元へと去ってゆく。
　……無事に辿り着けないかもしれないなんて、夢にも思わずに。

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