夏だ！　海だ！　大雪だ？！｜リアクション

夏だ！　海だ！　大雪だ？！

「こんなもんかな」
　御剣刀は、ビーチパラソルをセットして、レジャーシートを浜辺に敷いて、ぱらぱらと膝についた砂を払う。
　抜けるような青空の向こうに、入道雲が見える。
（夏だな）
　すっきりとした気分で、刀が振り向くと、丁度、彼女――　小山内海が来た。
　白のビキニ姿で、胸元を飾るフリルリボンがより一層彼女を愛らしく彩っている。
「うん、よく似合ってるよ」
　刀が海と一緒に買いに行った水着だ。
　海が、砂浜に文字を描く。
『はれてよかった』
「絶好の海日和だな。日焼け止め塗った？」
『そういえばせなかのほう、ちゃんとぬれてないかも』
「手がうまく届かないしね。手伝うよ」
　刀が言うと、海はちょっとだけ頬を赤らめて、レジャーシートに横たわる。
　ビキニの紐が外れたのは偶然か故意なのか――。
『あまりへんなとこ、さわらないでね？』
「う、うん。気を付けるよ」
　ごくりと唾を飲み込んで、刀はどぎまぎと海の背中に手を伸ばす。
　触れた指先から、海も緊張しているのが伝わってくる。
　そうっと、そうっと。
　不慣れな手付きで、刀は海の背にオイルを塗ってゆく。
　どうにかこうにか塗れた時には、二人とも顔が真っ赤だった。
「泳ぎに行こうか」
　刀に促されて、頷く海。
　二人、駆け出す青い海は、これ以上ないほどに眩しかった。

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