夏だ！　海だ！　大雪だ？！｜リアクション

夏だ！　海だ！　大雪だ？！

　そして一義と代真子は避難者の為のラーメンを全力で作っていた。
　元々作ってあった出汁は寸胴一本分。
　当然、次から次へと逃げてくる避難民にいきわたらせるには十分とは言いがたい。
　即座に出汁を追加で作っているが、短時間製法だとどうしても普段とは味が変わってしまう。
「おう、出汁加減どう？」
「完璧♪　激うまっていわれてるだけあって、コクと旨味はもちろんの事、この寒さに合わせた七味の入れ具合なんかもう、舌がとろけそう」
「ラーメン評論家のお前に認められるんなら、客に出せる味だわな」
「評論家って程じゃないけど、ラーメンに関してだけなら味の見分けには自信があるよ」
「頼もしいね。ついでに３番テーブルまでラーメン３つ運んでくれるかい？」
「お安い御用♪」
　極夜が事件究明に行ってくれたので、一義は集中して海の家を運営できた。
　ただ……。
（ちぃとばかし、帰りが遅くないか？）
　学校の先輩と吹雪の原因を探しに行った極夜だが、一向に帰ってくる気配がない。
　吹雪もやまない。
（こいつは厄介ごとに巻き込まれたってやつか？）
「なぁ、少しの間、厨房任せられるか？」
　一義は代真子を手招きする。
「高くつくわよ～？」
「ラーメン一年分でどうよ？」
「のった！」
「おう！」
　ぐっとサムズアップして、一義は極夜を探しに吹雪に繰り出す。　