夏だ！　海だ！　大雪だ？！｜リアクション

夏だ！　海だ！　大雪だ？！

「え？　砂浜が吹雪いてるって、嘘でしょ……？」
　日暮ねむるは、携帯片手にがばっと飛び起きた。
　今日も今日とて茹だる暑さに辟易しながらごろ寝して、そして何とはなしに見たねこったー。
　
　――　異常気象発生！　浜辺が吹雪いてます！！
　――　凄まじい美人さんがぁ、暴れてるぅ～
　――　これ、まじっすよ、マジ。ガセじゃねぇッす。写真もＵＰするっす！
　――　吹雪になんてうちらは負けへんけど、凍える人もでるかも知れへんなぁ
　――　寒い寒いさむいっ。何で真夏に雪なの？！

　次から次へと書き込まれる呟きの中には、浜辺の写真まで掲載されている。
　そこには、青い海と青い空の中、信じられない猛吹雪と、別の意味で真っ白になっている浜辺が！
　慌ててねむるは部屋の窓に駆け寄って、浜辺の方角を見る。
　そこには、明らかに異常な重苦しい暗雲が。
　鉛色の雲は分厚く、今にも浜辺を押し潰しそうなほど。
（まるで異世界じゃないか。急いで助けに行かないとっ）
　ねむるは何を思ったか、ヤカンに火をかけてお湯を沸かしだす。
　待ってる間にすることは、自宅の物置をがさごそ。
（確かこの辺に防寒着がしまってあったはずなんだよな。何枚か……お、あったあった）
　きちんと片付けられた物置の奥にしまわれていた防寒着は、使用回数も少ない為か、古いわりにはとても綺麗。
　ねむるがそれをボストンバックに詰め込むと、ヤカンのお湯が丁度湧いた。
　慣れた手付きでコーヒーを作ると、マイ魔法瓶にたっぷりいれて、準備完了！
「よし！　これで準備万端だ……頼むから間に合って……」
　派手な蛍光オレンジの防寒着を羽織り、ねむるは大荷物を担いで浜辺に向かって走り出した。