夏だ！　海だ！　大雪だ？！｜リアクション

夏だ！　海だ！　大雪だ？！

「さ、寒いけど、二人でいれば温かいねっ」
「吹雪になんて、負けないわ」
　ぎゅうっ。
　先ほどよりも勢いの増した吹雪の中、創と牡丹はより一層強く抱きしめあう。
　そしてそんな二人を見つけた麗子が、ただで済ますはずがなかった。
「リア充なんかっ、滅びなさいっ！」
　叫び、吹雪を撒き散らす。
　だが牡丹もそんなことをされて黙ってなんかいない。
「創君を傷つけさせたりなんか、させないっ」
　たんっと地面をけり、一気に麗子との距離を縮め、正拳突きを鳩尾に食らわした。
　身体をくの字に曲げて、その場に膝をつく麗子。
　そう。
　牡丹は大人しく控えめな少女に見えて、空手、八極拳、蟷螂拳を嗜む人間凶器といえる存在だったのだ。
　あわあわと成り行きを見守る創。
　尻尾が不安気に丸まっている。
「あなた、何者……っ」
「私？　私は何者でもないわ。ただの、恋する乙女」
　情け容赦なく、牡丹は立ち上がりかけた麗子に足払いを食らわす。
　無様に雪に倒れる麗子。
「創君を害そうとしたんですもの、これぐらいの罰は当然です」
　にこり。
　微笑む顔は、創に向けるものとは大違い。
　だがここで、創が止めに入った。
「危ないことしちゃ駄目っ」
　今まであっけにとられていた創が、牡丹をぎゅうっと抱きしめる。
　吹雪を放つ女性と最愛の牡丹が対決だなんて、そんな怖い事だめ過ぎた。
「ちょっとちょっと、創君？！　私なら大丈夫、今すぐ私達の障害を消し去って……あ」
「あ」
　一瞬の隙が命取り。
　麗子が必死の思いで放った吹雪に、二人仲良く吹っ飛んだ。