寝子島★トマト祭り｜リアクション

寝子島★トマト祭り

　★トマト競技参加者★

新井米太郎
後木真央
尾鎌蛇那伊
桐野正也
呉井陽太
剣崎灯子
冴木竜司
榊彩斗
椿美咲紀
藤堂月乃
鴇波羽衣
七葵冬馬
服部剛
ピーター・ビアズリー
毒島林檎
御剣刀
八神修
邪衣士
ルーシー・R・マクミラン
犬飼未央（NPC）

「以上、総勢20名じゃ！　……ゲホッ！！　ガハッ！！！」

　お爺ちゃん、無理しないでっ！

「お～し、じゃあ始めるか。まずは全員、トマトを一つ掴んで、向き合ってくれ」
　スタッフの実の指示に従って、皆がトマトを手に掴んだ。

　美咲紀も皆に混じって、トマトを手に取る。
「畑で完熟まで育てたトマトの味は、スーパーで売っている物とは段違いなのです。柔らかくて濃厚な甘さで凄いのです！」
　美咲紀は親戚が畑でトマトを育てており、そこのトマトの味覚えてしまってからは、買ったトマトでは物足りなくなってしまっていた。
　真っ赤なトマトさんを、愛おしそうに投げる前にすりすり。
　さらに２～３個もぐもぐ。
　すっかり熟れたトマトは、文句なしの美味しさだ。
「豊作すぎて、トマト出荷するたびに赤字になっちゃうのかしら？」
　こんな美味しいトマトが、今から投げられてしまうのかと思うと胸が痛んだ。

「せめてもの供養に、トマトを他の人のお口に向かって投げるのですっ。この美味さ前に沈むといいのですよ！」

　美咲紀が叫んだ、その時。

「その勝負、待ってー！　まだ、あたしがここに居るよー！！」

　少女の高らかな声が、響き渡った。
　そして皆が、声がした方の一本の樹に注目した。
　ももんが着ぐるみの、羽衣が「ふんす！」と腰に手を当てて、仁王立ち――と言うには、あまりにもかわいらしかったが――していた。
「ふっふっふ、トマト祭りにももんがが颯爽登場！　とうっ！」
　ももんが羽衣は皆が注目する中、四肢を広げて迷う事無く飛び降りた！

　あわよくば、ろっこん【ういのはごろも】で飛行を……と羽衣は考えていたのだが、ももんがの着ぐるみ効果による誤魔化しもあったとはいえ、群集の視線の中での事、飛行は余りにも頼りない。

「はわわわわぁぁああ――！！？」
「と、鴇波ちゃん――！！？　アブネエー！！！」
「ちょっ、鴇波ぃ――！！　無茶すんなー！！！」

　正也＆竜司の陸上部先輩ズが、滑り込んで羽衣を受け止め、下敷きになった。
　いくら華奢で小柄な女生徒とは言え、二人とも全力で滑り込んだダメージは計り知れない。
　あれ、どっちかというと自爆？
　特に褌一丁という漢らしさに満ち満ちたスタイルの竜司は、体の正面を擦り剥きまくって出血大サービス状態だった。
　お陰で羽衣はかすり傷一つ負わなかったが、競技が始まる前から先輩達が満身創痍である。

　何と言う、後輩への溢れんばかりの愛！

「正也せんぱい、竜司せんぱい、大丈夫ですかぁ～！！？」
　取りすがって泣くももんがに、先輩二人はムクリと起き上がると、がっちり肩を組んだ。
「このぐらい、何てことないさ！　なー、冴木？」
「ぜーんぜん痛くねぇよなっ、桐野！」
「ほ、ほんとに？　……ありがとうございます、あやうく顔面からずべしゃっと着地するとこでした～」

　顔面を血と埃塗れにして、半ばやけくそになって笑う、友人達を遠くから眺めて。
　救護班の望月は、あいつららしいなーと苦笑するのだった。