●覚悟しなさい！●


　猫村 翡翠……ＡＣ１【靴下・ライムグリーンのブラ／お揃いのショーツ】
　八神 修……ＡＣ１【ズボン／パンツ】


「うわっ、猫村！？」
「って、きゃあっ！！」
　振り向きそうになるのをギリでこらえた八神 修に、慌てて胸を押さえた猫村 翡翠が叫ぶ、
「よかった見られてな……って、違ーうそれよりおっさんだ！　早く！」
「りょ、了解した！」
　走るオッサンの横から跳び出し、ヤシの実の栓を勢いよく引き抜く八神！
「ぷわっ！？　なっ、何するんスかーー！」
　中身の白濁液をいきなりぶっ掛けられて、オッサンがひるむ、
「臭い！　臭い！？　鼻がひん曲がりそうッスー！」
　そう、ヤシの実の腐ったジュースを、足止めに浴びせたのだ。驚きと臭さで一瞬止まるオッサンに、さらにそのヤシを鈍器代わりに、頭部へ振り下ろす八神！
「ギョエーーーーーーッ！？」
　これは効いた！　八神修、初めてオッサンにダメージを与えることに成功！
「待て、逃がさんぞ！」
　よろめき、それでも逃げようとするオッサンに、腐ってない残りの実を、さらに全力で投げる八神、
「一投必殺！　射撃部なめるな！」
　けれども射撃と投擲はちょっと違う。流石にこれは当たらず、フラフラと砂浜の方へと逃げるオッサン。
「いや、大丈夫だ！　後は俺たちに任せろ！」
「！！　御剣か！」
　その後方、ヤシ林から勢いよく飛び出したのは、御剣 刀と塔ヶ崎 璃亜の２人だ！


　御剣 刀……ＡＣ１【スニーカー／ネクタイ】
　塔ヶ崎 璃亜……ＡＣ１【ワイシャツ／コンビニ制服（スカート）】


「み、見ないでくださいーー！！」
　再び露出した胸をばってんに押さえながら、それでもけなげに頑張る璃亜。そして陽光きらめく砂浜、逃げるオッサンのさらに前方に、羽根マフラーの女を見つけ、御剣が叫ぶ。
「クローネ！　邪魔はさせない！」
「あら〜ぁ？　やぁだあんた、もうへばっちゃったの〜？
　も〜ぉ、だらしないわねぇ〜（ちらっ）」
　羽根マフラーを思わせぶりにチラッチラさせて、オッサンのしぶといエロ魂に火を付けるクローネ、
「ああっ！　ハダカのオネーサン、もう辛抱たまらん限界ッス〜！」
　フラッフラだったオッサンが、ウッヒャ〜イ！と万歳して、最後のラストスパート！
「くそっ、まだあんな脚を残してたのか！？」
「心配ないわ、御剣さん──まだ私達がいる！」
　そのクローネとオッサンを挟み撃ちにするように、砂浜の向こうからこちらに走ってくるのは、弘明寺 能美子と桜庭 円の２人だ！


　弘明寺 能美子……ＡＣ１【レースのブラジャー（紫）・お揃いのパンツ／Ｙシャツ】
　桜庭 円……ＡＣ１【スパッツ・ニーソックス／ワイシャツ】


「シャツとニーソって、畜生！　誰の趣味だ！
　Σ って、ニーソックスまで消えてるし！？」
「さっ、桜庭さん？　あんまり大きな運動は、その、見え……」
「とかいってられるか！　恥ずかしいけど、ボクは諦めないぞ！」
「そっ、そうよね……さあそこのネズミ男、覚悟しなさい！
　もうどこにも貴方に、逃げ場なんて無いわよ！」
　指を突き付け宣言する能美子、そう、ここは最初に彼女たちが連れてこられた、あの砂浜だ。一方は海で塞がり、その波打ち際にオッサンとクローネ。それを挟むように、能美子と円、御剣と璃亜が左右から回り込む。さらにはヤシ林への退路を、遅れて飛び出した八神 修と恵御納 夏朝が塞ぎ、もうどこにも逃げ場は無い。
「ってクローネ？　その体型は何？
　ずるい！　普段何食べてるのさ！？」
　あと、ばいんばいんなセクシー妖女を凝視して、地団駄踏むのも忘れない円だ。
「雛の時はあんなに可愛かったのに……
　って刀くんまでどこ見てるのさ！　ばかー！」
「敵に見蕩れるなんて……御剣さん、見損なったわよ！」
「いや違うってば！　誤解するな」
　もちろん御剣がガン見しているのは、クローネの揺れる巨乳おっぱいなどではなく、その手に引き抜かれた漆黒の羽根の方である。
「じゃあそろそろぉ〜、あなたのろっこんも……暴走させちゃおっかなぁ〜」
「！？　御剣さん、危ないっ！」
　にたり、とクローネが投げたその一閃が、御剣の眉間に突き刺さり──


　その残像を、むなしく羽根手裏剣が突き抜けた。


「なっ、何ですってええええええええ！！？」
　その残像の数歩先に抜け出た御剣 刀が吠える、
「そんな攻撃に、当たってたまるかああああぁっ！」
　ろっこん【加速】の慣性でそのまま延髄に叩き込む、オッサンへの渾身の飛び蹴りが──
　あっけなく弾き返され、少年はごろごろと砂浜を転がった。
（なっ、何いっ！？　何が起こった！？）
　鉄塊を蹴とばしたようなその重い衝撃に、驚愕の表情を浮かべる御剣……。
「アハ、なぁ〜んてね。ウソウソぉ〜ん」
　クローネが身をよじって嘲笑する、
「やったと思った？　勝ったと思ったぁ〜？
　あっはは、そぉ〜んなワケ、ないじゃなぁ〜い」
　芝居がかった仕草でその腕をスッと伸ばし、御剣の後方を指さすクローネ。何故か彼はそちらの方向を向くことができなかったが、能美子と円の２人は、そこで棒立ちになっている、あの少女を見ることができた。
　今御剣が躱したはずの羽根を脳天に突き立て、相変わらず身動きひとつできずに……
　けれど全身の肌を火照らせ、ますます恍惚の表情を募らせている、あのド変態女子は……
「おっ、忍足 春さん！？」


　忍足春のろっこん、【毛皮を脱いだヴィーナス】──　再　暴　走。


「ファッ！？　ななな何スかコレー？
　おっ、俺っちの身体がコッチコチに硬くなって……
　指先１本動かせないッスよ！？」
　そのオッサンの悲鳴に続いて、桜庭 円と弘明寺 能美子も、自分たちの身体の異変に気付く。
「わわっ、ぼ、ボクの足と手も動かなくなってるー！」
「桜庭さんも！？　私も足が固まって……あ、歩けないわ！」
「ヒィ、誰か助けてッスぅ……って、ぷぎゃっ！？」
　白ブリーフ１枚で砂浜に転がるオッサンを無慈悲に踏み、すたすたと春に歩み寄るクローネ。そうして、その硬直した全裸像をいやらしく撫でまわしながら、
「ウフフ、ど〜ぉ？　コチンコチンになったご感想は？
　このコのろっこんの効果対象を、今度はあなた達にも拡げてみたのぉ〜」
「なん……だと？」
　同様に、砂浜に倒れたまま身動きが取れない、八神たちがうめく。この時点でパンツ１枚の八神 修や、下着のみの恵御納 夏朝、スカート１枚の塔ヶ崎 璃亜などはさらに症状がひどく、
「肌の露出した部分が、全て硬化している……
　脱げている者ほど、関節の可動域に影響を受けているのか……！」
「あっは正解、そういうコト〜！
　最初に言ったでしょ〜？　いじり甲斐のあるろっこんだって〜。
　このコ１人を動けなくしたぐらいで、私が満足するわけないじゃなぁ〜い？
　あなた達全員の服が、イイカンジに脱げるのを〜、これまでずっと待ってたのよぉ〜」
　そして、相変わらず顔を上気させたまま、ウットリしている忍足 春に、
「ど〜ぉ？　楽しいお仲間が出来たご感想は〜？
　……あらら、固まりすぎちゃって、もうお返事も出来ないでちゅか〜（ぺしぺし）
　ウフフ、でももうこれであなたも、さみしくないわねぇ〜？（ちゅっ☆）」
　名残りのキスを刻印し、バサリ……再び変身したカラスに蹴られて、その全裸像も倒れた。
『今日はテオくんに追っ掛けられて、ツイてな〜いと思ってたけどぉ〜、
　思わぬ楽しいコトが見つかって、あ〜本当トクしたわぁ〜』
　空に舞い上がって、砂浜に倒れているもれいびたちを、悠々と見回すカラス。
『そのコの硬化ろっこん、暴走させたままにしておくわねぇ〜。
　残りの服が脱げて、すっぽんぽんになった時が、あなたたちの本当の最期。
　身動きひとつ出来ないその恥ずかしいポーズのまま、
　あなたたちは一生をこの島で終えるのよぉ〜ん』
　絶望の表情を浮かべる、もれいびたちの姿をひとしきり楽しむと、クローネは悠々とこの世界から去っていくのだった。

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　そして時間経過により、彼らの７枚目の着衣が消え去る。