「ああっ、最近開けてないっすワー。袋とじ開けてないッスわー」
その大声に、
串田 美弥子はビクッと雑誌を取り落とした。とあるコンビニでの出来事だ。
恐る恐るそちらを見れば、せわしなく独り言を言っている、出っ歯の小男が1人いる。
(わわっ、恐いよ〜。声が大きいの……気付いてないのかな?)
ファッション誌をラックへと戻し、そそくさとその場を離れる美弥子だ。
(このコンビニ、学校に近いから、よく寄っちゃうんだけど……うぅ。
奥に
えっちな雑誌のコーナーがあるのが、ちょっとニガテなんだよね〜)
お目当てのアイスを買って、こっそりレジから振り向けば、オジサンは、その袋とじとやらの中身をどうにかして見てやろうと、雑誌をためつすがめつしているところ。
「あの格好……タクシーの運転手さん、なのかな?」
ヨレヨレの制服をだらしなく着ている、そのネズミじみた風貌の男から視線を移すと、やはり店の外に、空のタクシーが1台停まっていた。
「休憩中なのかな? それとも、サボり……」
うーん。ともかく店を出ようと、美弥子がドアを押し開けた、その瞬間だった。
バサバサ……
アホー アホー
「……えっ、カラス?」
その隙間から、突然舞い込んできたカラスにびっくりして、思わずドアを閉めてしまう美弥子。
『
てめえこのっ、待ちやがれクローネ……ってぷぎゃ!』
続いてびたーーんとその扉に激突した灰色猫が、ガラスに貼り付いたまま、わめき散らす。
『おい、そこのやつ! 何してやがる、さっさとここを開けやがれ!』
「わわっ、猫がしゃべってるぅ……って、よく見たら
テオ!?」
ポカンと立ちすくむ美弥子の頭上で、アホーアホーと小馬鹿にするように旋回するカラス、
『やだわ〜ぁテオくんったらもぉ、そんなにカッカしちゃってぇ〜。
こないだのこと、まぁ〜だ根に持ってるのぉ〜?』
『ったりめーだ! だがこれでもう、てめえは袋のネズミ……
今日こそは逃がさねぇからなっ!』
するとそのカラス──追い詰められたはずのクローネが、なぜか余裕たっぷりに笑った。
『あ〜ら、この私が何の策も無く、こんな場所に逃げ込んでくるワケ、ないじゃなぁ〜い?
ウフフ、まだ気付かないかなぁ〜?
ちょっと面白いネズミ……いえ、もれいびがこの店にいることに』
『何だと……?』
虚を突かれたように、外から店内を見回すテオ。ハッとその視線が、あの立ち読み中の出っ歯男を見て止まった。店内に闖入したカラスと店員の騒ぎなど気にも留めずに、そのネズミ顔の小男は、やおらビリビリと雑誌のページを破り始めたではないか!
「ああっ、もうこれ以上ガマンできないッス!
俺っちは今スグ、この袋とじの中身が見たいんスよおおおっっ!」
そして最後に、美弥子は目撃した。そのネズミのオッサンの脳天に、ぷっすりと
カラスの羽根が突き立つ所を。
瞬間、世界がぐんにゃりと明転し……
「……へっ?!?」
気が付くと美弥子たちは、見知らぬビーチに立っていた。
ざざーーん。
「こ、ここは……?」
彼女だけではない、先ほどまでコンビニの店内にいた客たちも、キョロキョロと戸惑い顔で、そのやけにトロピカ〜ルな海と砂浜を見回す。
「あぁ〜らヤダ、余計な連中まで、くっ付いて来ちゃったのねぇ〜」
含み笑いの声に振り向けば、そこに妖艶な色香を漂わせる、女が1人立っていた。
「ここはどこ……ファッ!? ハダカのオネーサンがいるッスよ!」
その破廉恥な格好に、さっきのネズミおじさんがウッヒャ〜イ!と歓声を上げる。何とその女、濡れ羽色の羽根マフラーで全身を飾り立てている他は、一糸纏わぬあられもない姿なのだ!
「ん〜まぁいっか。
うるさいテオくんからは、これで逃げられたしぃ〜。
あなた達もこの世界でゆっくり、遊んでいきなさぁ〜い。ウフフ……楽しいわよぉ〜」
「あっ、ハダカのオネーサン、どこに行くんスか!?」
ヤシ林の方へと消える女を追って、ワーーとネズミのオッサンも、砂浜を走り去っていき……。
『おいコラ、てめえら……俺の声が聴こえるか?』
ポカンとそれを見送っていた美弥子たちの脳裏に、続いて苛立たしげな声が聞こえてきた。
「えっ、その声はテオ? でも、どこにいるの?」
キョロキョロと砂浜を見回す美弥子たちもれいび、けれど声はすれども猫の姿は見えず。
『やられた。クローネの野郎を、取り逃がしちまった。
あのオッサンの
ろっこんを暴走させて、別の世界に逃げ込みやがったのさ。
店内にいたてめえらはどうやら、その暴走に巻き込まれちまったようだな……
あいにく俺の方は、現実世界に置いてけぼりだ。そっちの世界には、声を届けるだけで精一杯らしい』
「ふぇ? べっ、別の世界って……?」
その美弥子の戸惑いをさえぎるように、重々しくテオが説明する。
『
いいか、てめえらが連れて来られたのは、袋とじの世界だ。
そこの世界では、時間が経つたびに1枚ずつ、お前らの服が脱げていく』
「……へっ? Σ って、きゃああああああああああああっ!?」
そこでようやく、自分の衣服の異変に気が付き、悲鳴を上げる美弥子だ!
「わたっ、
私のスカートが消えてるよぅ! どどどどうなってるの!?」
『雑誌グラビアのページの中に入る……まさか、こんなろっこんが存在していようとはな(まがお)
あのもれいびの能力に、スグに気付けなかった、俺様もウカツだったぜ……(痛恨)』
「ひぃ〜んっ! ちょっとテオ、何言ってるのか全然分からないよっ!?」
シャツのスソを必死にずり下げ、涙目になっている美弥子に、さらにテオが続ける。
『いいか、そっちの世界で
クローネを見付けても、奴には構うな。
今のてめえらの力じゃ、あの性悪女には敵わねぇからな……。
そのフザけた世界から脱出したかったら、
あのオッサンもれいびの方を捕まえて、ろっこんの暴走を止めるんだ。
さもなくば、お前ら全員──、全員…… んっ?』
おや、そこでテオの声が、ハタと投げやりになったぞ。
『いや、
すっぽんぽんになって一生をその世界で過ごすだけだからな。
大したコトじゃねぇよな……
解決しなくても、それはそれで別にインジャネ?』
「Σ 絶対ヤダよ!? とばっちりで私達を巻き込んどいて、何言ってるの?
ふぇ〜〜ん! みっ、見てなさいよ!?
必ず元の世界に戻って、テオに文句言ってやるんだからああああああぁ!」
美弥子たちの悲愴な叫び声が、ビーチの青空に響き渡った。
こんにちは、担当マスターの鈴木二文字です。
もうすぐ寝子島は、待ちに待った海開きの季節! ヒャッホイ!
ですが皆さん、何か……忘れてやしませんか?
海が開く前に、もう1つ……開けておかきゃいけない物が、あることを!
そう! 賢明なプレイヤーの皆様なら、もうお分かりですね!
袋 と じ だ よ ッ ! !
それでは魅惑の袋とじシナリオ=別名:脱衣シナリオ、
もう一度、状況からご説明いたしましょうッ!(うれしそう)
▼かんたん状況まとめ:
・事件発生時、たまたまコンビニに居合わせたPCたち。
・オッサンのろっこんの暴走に巻き込まれ、袋とじの世界に閉じ込められてしまった。
・この世界では、時間が経過する毎に、1枚ずつPCの服が消えていく。
・具体的には、リアクション1ページ毎に1枚ずつ、PCの服が脱げます。
最終的に全裸になったPCは、以後リアクション内で描写されなくなります。
らっ!倫の力鈴木がとても倫理的なマスターだからです。▼シナリオ目的:
・全裸になる前に暴走もれいびを捕まえ、このえっちな世界から脱出しよう!
▼AC(アーマークラス)について:
・PCの皆さんは、着ている服と、その服が脱げていく順番を、アクションで指定できます。この記入は必須です。
・「着ている服の残り枚数」を、本シナリオではAC(アーマークラス)と呼称します。
・このACは、リアクションが1ページ進むたびに、1ずつマイナスされていきます。
・ACが0、つまり全裸になるとそのPCはゲームオーバーとなり、以後描写が無くなります。袋とじの世界には居ますが、何らかの理由で行動できなくなった、という扱いになります(恥ずかしくて身動きできないとか)。
●アクション記入例……NPC串田 美弥子の初期AC(コンビニ店内時):
AC7【スカート→ベスト→リボンタイ→革靴→靴下→シャツ→チェック柄のパンツ】
リアクションの1ページ目が始まると、このACは以下の例のようにマイナスされます。
●串田 美弥子のAC(リア1ページ目):
AC6【
スカート→ベスト→リボンタイ→革靴→靴下→シャツ→チェック柄のパンツ】・美弥子の場合は説明の便宜上、ガイドの後半時点ですでに脱げておりますが、以後はPCの皆さんと同様、1ページにつき1枚ずつのペースで、ACが減っていきます。リアクション2ページ目でベストが脱げ、3ページ目でリボンが消えて……Σ ああっ大変だ! このままだと、7ページ目で美弥子は全裸になってしまう運命ですよ!?
・このACは、左に書いた服から順番に消えていきます。逆に言えば、1番右端に書いてある服が、そのPCさんに残される最後の服になります。この服が消えるとゲームオーバーの扱いとなり、以後シナリオからは脱落します。
・ACが減るのは、リアクションが次のページに移る瞬間です。次のページに入った途端、PCの服は自動的に消滅しています。これはこの世界のルールであり、どんなに抵抗しようが恥ずかしがろうが脱げます。
・ですが、アクションで別キャラに服を貸し与える、服を借りる、剥ぎ取るなどの行動は可とします。アクションが成功した場合は、得た服1着ごとにACが+1されます。(逆に服が減った方のキャラは、その分ACがマイナスされます)
・この新たにゲットした服は通常、ACの1番左の枠に加算されていきます。(つまり、次のページに移った時に、優先的に消えていく服となります)
・例えば、もしリアクションの1P目で、親切なPCさんが美弥子に服を貸してくれた場合、彼女のACは以下のように変化するワケですね。
●串田 美弥子のAC(アクション補正時):
AC7【スパッツ(NEW!!)→ベスト→リボンタイ→革靴→靴下→シャツ→チェック柄のパンツ】
・PCの初期状態(コンビニ店内時)のACは、AC2〜7の範囲で設定できます。着込める服は最大7枚までで、リアクションの1ページ目が始まった時点で、この服が6枚に減ります。
・メガネやネクタイ、リボン、アクセサリー類などもそれぞれ、AC1と数えます。
・靴や靴下など、通常1組で使う物は合わせてAC1として扱います。消える時は1セットまとめて消滅します。
・ACは、すでに身に付けている衣服と同じ種類の物を、重複して装備することはできません。例えばシャツの上にシャツを着たり、パンツを重ね履きしたりするのは不可です。
・服や下着の色やディテールをアクションに書いておくと、描写が充実しますのでオススメです。女性PCは是非とも設定をお書き添え下さい。(あ、男子PCはべつに書かなくてもどっちでも良いです)
▼NPC情報1・ネズミ顔のオッサン:
●AC7【制帽→よれよれの背広→ズボン→垢じみたシャツ→革靴→白手袋→白ブリーフ】
・40代のスケベなタクシー運転手。強い者に対しては滅法弱く腰の低い、小心なオッサンです。
・手楠マサ吉(てぐす・まさきち)という名前が一応ありますが、出っ歯野郎とかネズミのオッサンとか呼んで頂ければ構いません。もれいびの自覚無し。ろっこんが発動したのは、今回が初めてです。
・20歳以上のセクシーな女性が好み。高校生のハダカには、全く興味を示しません。
◇オッサンのろっこん設定:
・ろっこん名:魅惑の袋とじの世界
・発動条件:コンビニで雑誌を買わずに袋とじを破る。
・能力の内容:袋とじの世界に入ることができる。
・第6のパラメータ:綺麗に破れる度
・一番手っ取り早く、このろっこんの暴走を止める方法は、オッサンを気絶させることです。
▼NPC情報2・クローネ:
●AC1【羽根マフラー】
・テオと敵対している、悪い神様。この世界では、妖艶な人間女性の姿になっています。
・クローネのみ、この袋とじ世界の脱衣ルールを無効化(キャンセル)できます。その上で、思わせぶりに自分の肢体をチラつかせ、オッサンを誘導して楽しんでいるようです。
▼NPC情報3・テオ:
・袋とじの世界には登場しません。ガイドの声を最後に、テオからの通信も途絶えました。
・現実世界に帰還できた後に、テオと話せるかどうかは、皆さんのアクション次第!
▼NPC情報4・串田 美弥子:
●AC7【スカート→ベスト→リボンタイ→革靴→靴下→シャツ→チェック柄のパンツ】
・ACは前掲の通り。ノーブラです。んっ……?(AC設定を見直し)ええ、ノーブラですとも。
▼その他の注意:
・PC達がいるビーチは、30分ぐらいで1周できる、小さな無人島です。南国を思わせるトロピカルな植生。魚や動物はいません。(ガイドTOPのイラストの背景は、イメージです)
・突発的に起こった事件のため、衣服以外の物品の持ち込みは不可です。鞄などの持ち物も、消えてしまっています。また、この世界で新たに得た物を、衣服として活用することも不可とします(葉っぱで股間を隠すとか)。
・ちなみに、変身系のろっこんをお持ちのPCさんが、衣服込みで動物などに変身した場合は、ACが0=全裸になったという判定で、以降は描写がなくなります。何か衣服を身に付けていれば、動物の姿のままでも構いません。判定のご参考までに。
それではまた、リアクションでお会いできたらいいですね! 鈴木二文字でした。