テスト勉強はスイーツと共に？｜リアクション

テスト勉強はスイーツと共に？

転：盛り上がれ勉強会？

　黙々とテスト勉強をしていた浮舟久雨と畑生言嗣は、休憩がてらにポトスの近くにある机でスイーツを楽しんでいた。最初は普段通りの会話が続いたのだが、ややあって久雨に異変が生じる。
（……なんだろう、このもやもやは）
　ちらり、と言嗣の横顔を見ていると胸の中に小さな欲求が生まれていく。それを頭の中でかき消そうとしたが、無意識に体が動いた。そして、久雨はすとん、と言嗣の膝の上に横向きに座っていた。
「む？　どうしたというのかね久雨君？」
　いきなりの事に目を丸くする言嗣ではあったが、内心ではこんな感じである。
（息抜きの名目で連れて来たのだが、やはり久雨君は疲れていたのだな。うん、やはり私の審美眼に狂いは無かったようだ）
　と、内心ぐっ、と「さすがは私だ」と拳を握っていたりする。久雨はというと顔を真っ赤にして慌てている。普段の冷静沈着な姿はどこへやら、すっかり乙女モードである。
（これは、どういうことだ！　わ、私がこんな事を……！）
　久雨は降りようとおもったのだが体が動かない。
「す、済まない！　今降り……」
「問題ない。私に委ねるといいよ、久雨君」
　謝る久雨の頭を優しく撫でて笑う言嗣。片一方の手は久雨が落ちないようにそつなくフォローしていたりする。「その手を離せ！」と久雨は叱るも、彼女の体は離れたくないというように動かない。
（解らん。何故このような事になっている？）
　思考回路が混乱しているうちに、久雨の手は更なる行動を起こしていた。彼女は、手にフォークを持っていた。そして、目の前には先程まで食べていたチーズケーキが。
（あ、あああああっ？！）
　一口大にそれを切ると、なんと言嗣の口元まで持って行っていた。それを笑顔で食べる言嗣。
（おや？　あーんまでしてくるのはいじらしいね？　これはリクエストには応えねばなるまいて）
　ニコニコと久雨を見つめ、言嗣は上機嫌に「お返しをせねば」とババロアをスプーンで掬い、久雨の口へと持って行く。
「はい、あーん♪」
「あ、ああ」（だからどうしてこうなっているんだ私は……！）
　手を添えて口に入れれば、久雨もぱくっ、とババロアを食べる。柔らかな感触と甘味に瞳を細めつつ……瞬時に赤くなって俯く男装少女。ますます可愛く思えた言嗣はくすっ、と笑った。
「お粗末さま……、ん？　違うのか？　口移しの方がよかったかな？」
「だから違う！　急に体が……いう事を聞かなくなったのだ！」
　久雨が誤解を解こうと必死になればなるほど、言嗣は楽しげに笑う。体の自由がきくようになるまで、久雨はわたわたと真っ赤になって焦っていた。
（必死で抗おうとしているのに…何故だ！　いつぞや素麺を食べた時にうっかり吐露してしまった様に、やはり私は『変』になってしまっているのか…特に、こいつの前で……！？）
　この事が原因か、久雨は暫くの間無意識にそれとなく言嗣と甘酸っぱい光景を繰り広げ、頭を悩ませる事になる。そして言嗣はそんな彼女の姿に対し実にいい笑顔をしていたのだった。

　その光景を見ていた橘千歳は思わず赤くなる。先程まで普通に勉強し合っていたのに、何故急にこうなったのだろうか？　因みに意識してしまったからか、ちらりと真面目に問題を解く御剣刀を見、妙にドキドキしてしまう。
（それにしてもちょっと暑いわね。冷房が切れているのかしら？）
　意識しないように別の事を考え、ちらりとエアコンを見るが特におかしい所はない。彼女はドキドキを押し殺して、刀に指導をしていく。
　先程も感謝の言葉を述べつつ「持つべき物は美人で頭の良い友人だよな！」と言われておだてても何も出ないと突っ込んだのだが、改めて思い出すと妙に照れてしまう。
「それにしても。さっき刀君の知識量を把握したくて幾つか質問してわかったんだけど……これはテストより相当骨がおれそうね」
「なにげに酷くないか、それ？！」
　千歳の何気ない一言にショックを受ける刀。
「どの教科も微妙に……ギリギリ赤点を免れるか否かってラインなのよ。基礎ができてるっぽいからまだ間に合う筈だけど」
　頭を抑えつつ千歳が言えば、刀はバツが悪そうな顔になる。彼は神魂絡みの伝説や寝子島での不思議な事等を調べる事に夢中になって授業をサボってしまう事があったからだ。千歳は「今日は徹底的にやるわよ」と言い渡しつつ……胸のドキドキが止まらなくて、悟られぬように振る舞おうと必死だった。

このページにイラストを設定する

テスト勉強はスイーツと共に？

シナリオ

シナリオデータ

シナリオスケジュール

参加キャラクター一覧