テスト勉強はスイーツと共に？｜リアクション

テスト勉強はスイーツと共に？

「よーし、ちょっとやっちゃうに～！」
　と、彼女は懐からピンを取り出すと耀の髪につけ始めた。実はこの辺りで密かに目を覚ました耀なのだが、様子を見ようと狸寝入りをする。そうしている間に彼の髪はピンやらお菓子の袋についていたリボンやらで可愛くセットされている。
　そして丸美と羽衣はその様子と、僅かに耀の頬がぴくっ、と動いたのに内心ヒヤヒヤしていた。
「そろそろやめたほうがよくないかしら？」
「大丈夫！　まだ寝てるから！　ふふーん、可愛くなってきた～」
　丸美が止めるも、侑は携帯を取り出した。そして耀を撮ろうとしたその時、かっ、と赤い目が見開かれる！
「ほぉ……。俺に悪戯とはいい度胸してんなぁ……？」
「うにゃあっ！！　な、何にもしてない！　悪戯とかそんなして」
「じゃあ、こ・れ・は何だ」
　怒りに満ちた耀の声にちょっと涙目になる侑。ふにふにしたほっぺを抓られれば「いたたたた！」と悲鳴を上げる。
「みぃ～～！　ごめんなさい！　ごめんってばー！！」
　傍から見ればじゃれあいにしか見えないので、丸美と羽衣はとりあえず様子を見守ることにした。
（うーん、悪戯って……やっぱこれは恥ずかしい）
　鏡を見た耀は、可愛く纏められた髪をみて少し頬を赤くしたのだった。その後、厳しいだけではない、と内心で呟き侑へシュークリームを持ってくる。すると、侑は嬉しくなってにっこりと微笑み返した。

　正午を回り３０分が過ぎた所で昼食となった。今回は時子とレイ、瓜山家の使用人たちによる力作がそろい、美咲紀が持ってきたプチトマトを使ったサラダもとても美味しかった。
　みんなが思い思いに食事をとる姿を見つつ、檜扇唱華は先程までの会場内の様子を思い出し、何気なく自分のろっこん『声無き声』を使ってみよう、と思った。
（様子を伺っていると、観葉植物ごとに効果が違うようですわ）
　唱華は徐にガジュマルへとウインクしながら『聞きたい』と願う。……しかし、植物は人工物ではなかった為、聞こえてきたのは植木鉢の声であった。しかも、植木鉢もあまりよく分かっていないらしい。けれども、『もれいび』である彼女は、何気なく植物から神魂の気配を感じ取る。
（やはり……）
頷くと、あくびを噛み殺して背筋を伸ばし、レイに相談しに行く事にした。

　昼食後も森蓮と桜庭円は野々ののこと一緒に勉強していた。問題がうまく解けたらハイタッチや拍手で雰囲気を盛り上げたりして楽しくやっていたが、やはりお腹が満たされると眠たくなってくるものである。
「ふぁ……、やっぱりお腹いっぱいだと眠たくなってくるねぇ」
「少し、気分転換をしましょうか」
　蓮はうつらうつらし始めたののこに保健体育で学んだ知識を活かして庭を走らないかと提案する。
「血糖値が増えるとその量を一定にしようとインスリンが分泌される為、強い眠気を感じるそうです。食後の軽い有酸素運動で血糖値の上昇を抑えられますから、どうですか？」
「うん、走る！　円ちゃんも走ろうよ！」
「そうだね！」
　傍らで遊んでいたにゃーくんも愛らしい声を上げてしっぽをぴん、と立てる。蓮はそれにもやんわり微笑み、席を立った。

　英語の問題を見てもらおうと、時子は瓜山メイの所へとやってくる。メイは出された問題を見るなり、よくそれを読んだ上で解説する。時子は礼を述べつつこう言った。
「先生、私は英語が苦手なのですが……好きになる方法はないでしょうか？」
「そうですね。私の場合は、文字を書くこと自体好きでしたから、自然と単語や英作文が得意になっていたけれど……。吹き替えでない映画や英語の歌を耳にする事とか、自分の好きなものと結びつけてみるのはどうでしょう？」
　好きなものに纏わる英語から馴染んでいったら、少しずつ好きになれるのではないか、という彼女なりの持論なのだそうな。時子はそれもありかもしれない、と小さく頷いた。
　一通り教えてもらうと、ある程度自力でやってみようと少し離れた場所で勉強を再開する。それと入れ違いにやって来たのは、苦手な公民の問題を教えてもらおうと考えた恵御納夏朝だった。
「政治の仕組みとか、長い法律の名前とか苦手で……。堅苦しくて難しいし……」
「そうですね。取っ付き難い科目と思われがちですが、生活に身近なものとのつながりがわかると、楽しいですよ」
　メイはそう言うと、夏朝が持ってきた資料集を開いた。
「政治の仕組みについてはこっちの資料集にある図が判り易いですよ。法律に関しては漫画を使った教材もあるので、読んでみてはどうですか？」
　夏朝は資料集とプリントを見比べ、少しはわかりそうだな、と小さく微笑んだ。

このページにイラストを設定する

テスト勉強はスイーツと共に？

シナリオ

シナリオデータ

シナリオスケジュール

参加キャラクター一覧