テスト勉強はスイーツと共に？｜リアクション

テスト勉強はスイーツと共に？

起：テスト勉強の準備はOK

　――瓜山家。

「本日は、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
　生徒達より一足早くやってきた檜扇唱華は、瓜山メイと玄関であっていた。メイは彼女を早速スティルルームへ案内しつつ穏やかに言った。
「お手伝いに来て下さり、本当に助かります。私達だけでは手が回らないかもしれませんでしたし」
「いえ、私も寝子高のOGでございますので」
　メイの言葉に、唱華はにこり、と微笑む。彼女は仕えている主からの意向で、今回の勉強会を手伝う事になったが、OGとしても力になれる事が嬉しかった。
　２人がスティルルームにつくと、使用人のひとりだろう女性がコップを磨き終えたところで、よく見ると冷たいお茶も温かいお茶もある程度用意されているようだった。ただし、珈琲が見当たらない。使用人に聞いた所、準備中との事だった。唱華は持ってきた荷物から缶等を取り出して準備を行う。
「早速お湯を沸かしましょう。珈琲の豆とハーブティーの茶葉は持ってきております。妹ら調達部隊が厳選したものですので、味は確かでございます」
「それは楽しみですね。ありがとうございます！」
　メイがそう微笑むと、唱華も楽しげに頷いた。準備が整えば後は普段通り、誠心誠意を持って奉仕に励むだけだ。

　時同じくして厨房。御巫時子も早めにここへ来ており、きっちりと割烹着を来てお昼ご飯の準備を手伝っている。元々こういった事を得意としているので動きに無駄がなく、働きっぷりに瓜山家の使用人達は感心する。
「このような具合でいいでしょうか？」
「うん、ばっちりだね」
　シャツとジーンズにエプロン、というラフな格好の青年――瓜山レイが味見をし、サムズアップ。彼は楽しげに笑うと手早く仕上げをしてしまう。
　書道教室でレイを見たような気がした時子だったが、玄関で出迎えた彼は時子を覚えていなかった。そんな事もあったが、準備は順調に進んでいった。
「そろそろ生徒さんが来る頃かな？　ここはもう大丈夫だし、時子ちゃんもみんなと合流しておいでよ。後は俺達で大丈夫だからさ」
「良いのですか？」
　その言葉にレイが頷く。時子は一礼すると厨房を出、割烹着を脱ぐのだった。

　メイが教室へ来た頃、丁度玄関に勉強会へ参加する生徒達がやってきた所だった。
「先生、今日はよろしくお願いします！　これ、朝収穫したプチトマトですっ！」
　椿美咲紀が明るい声で挨拶し、タッパーを差し出す。彼女が愛情を込めて育てたプチトマトは色も形もよく、どれもとても美味しそうだった。
「ありがとうございます。早速お昼のサラダに使ってもらいましょう」
　メイが笑顔で受け取れば、美咲紀も嬉しくなって釣られて笑顔。その傍らに来た立井駒鳥は桐箱を持っていた。それを見てメイが不思議に思っていると彼が言う。
「毎度此方を御贔屓にして頂いていますので、勝手ながら桐箱に入れさせて頂きました」
「そういう事でしたか。こちらこそ、いつもありがとうございます」
　メイが丁寧に応対して受け取る。中を開けると、そこには綺麗に軸装された書道作品が数本収められている。
「お～、仕事が早いねぇ。父さん達も喜ぶよ」
「ありがとうございます。祖父に伝えておきます。……ん？」
　聞こえてきた言葉に駒鳥が返事をし、顔を上げる。と、そこにいたのは片手にエプロンを持ったラフな格好をした青年だった。生徒たちの声に気づいたレイは、出迎えようと厨房から足を運んでいたのだ。
そんな彼の顔をよく見るとさすが兄妹というべきかメイに似ている。美咲紀もきょとん、としているとメイが説明をした。
「あぁ、最近本土から戻った私の兄です。今回、勉強会を手伝って貰うことになりました」
「よろしくね。瓜山　レイといいます」
　レイがにこっ、と笑えば駒鳥と美咲紀も其々名前を返す。そうしている間にも、野々ののこと北風貴子、森蓮と桜庭円、後木真央も到着する。どうやら途中で合流したらしい。ちなみに、円の相棒である子猫のにゃーくんもまたちょこんと彼女の足元で姿勢を正している。

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