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もうじき八月だが、ためらうことなくサマージャケットをハンガーから取った。
ポロシャツだけで行くのは、店に失礼な気がしたからだ。Tシャツ一枚などもってのほかだろう。
格式張ったレストランに行くわけではない。それでも、訪れる店にはそれなりの敬意を示したい。矜持とまでいうと大層かもしれないが、これが
八神 修
なりの気組みだった。
駅を出て折りたたみ日傘を開く。表面は白、内側は黒。これだけでずいぶん日差しが和らぐ。それでも、太陽が高くなる前には着いておきたかった。自然に歩みが早くなる。
鞄はやけに重い。医学雑誌に水筒、携帯用音楽プレイヤー、それにタブレットPCが入っていたからだ。必要だと思って入れたものの、こうしてひとつに詰めてみると少々多い。
タブレットはいらなかったかな──と考えはじめたあたりで、目当ての建物が見えてきた。
鉄サビの浮いた歩道橋を渡る。
取り立てて特徴のない雑居ビルだ。その脇に、地下へ降りる細い階段がある。入口には小さな店名プレートと営業時間の札。かたわらに、修の膝ほどの立て看板が出ている。『ジャズ喫茶 KOGUN』。知らなければ通り過ぎてしまいそうな店構えだ。
日傘を閉じて階段を降りていく。ようやく外の熱気から逃れられた気がした。
扉の向こうから音楽が聞こえてきた。ピアノ中心の楽曲。曲名も演奏者もわからない。それでも、この感じは好きだった。寝子島にいたころ、一度だけ年上の女性に
連れていってもらった店
を思い出す。
押戸を開く。地下の店にしては、意外なほど明るかった。
空いている。お好きなところへ、と女性の店員に言われ壁際の席を選んだ。荷物を席に置くと、ドサッとことのほか大きな音が立ってしまった。
内心肝を冷やして周囲をうかがうが、とがめるような視線はない。しかしこのとき、修は見覚えのある背中を目にしたのである。
まさか、と思いながら、修はコートラックに戻ってジャケットを手にした。彼の正面まで回ってみて口元が緩む。彼はまったくこちらに気づいていないようで、一心不乱に手元の本をめくっている。どうやらジャズの理論書らしい。
「市橋じゃないか、勉強中か?」
声をかけると市橋誉は、見知らぬ街で急に名前を呼びかけられた人、まさにその反応をみせた。
「え……? あ、八神か」
「久しぶり」
「ああ、どうしてここに?」
「それは俺の台詞でもあるな。よく来るのか?」
「二週間に一度くらいかな。八神は?」
「似たようなもんだ。むしろ、これまで会わなかったほうが意外かもな」
修は誉の向かいの椅子を指した。
「席、いいか?」
もちろん、と言って誉は修に席を勧めた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年09月14日
参加申し込みの期限
2026年09月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年09月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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