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それで、と誉は言った。
「俺ばかり語るのもな。八神の夢についても、その理由もあれば聞かせてくれよ」
まさか質問を返されるとは思わなかった。だが修が答えに迷うことはない。
「医師だよ。それも、研究者としての医師だな。小学生のころから決めている」
「そんな昔から?」
「ああ。それと理由だったな?」
修は一度、言葉を切った。
「病気は、大切な者や親しい者を奪った敵だから」
最初に思い浮かぶのは、やはり母のことだ。
仇討ちというのは直情に過ぎる表現かもしれない。それでも、そう呼ばれることを修は否定しなかった。好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、急性骨髄性白血病──とりわけ倒したい敵には、すでに名前がついている。
「やつらの決定的な根絶、とまではいかずとも有効な治療法にたどりつきたい」
「すごいな」誉はしばらく黙ってから言った。「八神なら、きっとたくさんの人を救える医師になれる。心からそう思う」
「買いかぶらないでくれ。俺はまだ医学部ですらない」
「それでもだよ。俺が患者なら、絶対八神に診てもらいたいと思った。お世辞でも、友人だからでもなく」
「そうか」
それ以上うまい返事が見つからなかった。でも、誇らしかった。
「よし八神、今日は俺が奢るよ。好きなもの頼んでくれ」
「どういう流れでそうなるんだ?」
「いまのうちに八神にいっぱい恩を売って、いざというときに助けてもらう」
「前言を撤回したくなってきたな」
「もう遅い」
誉が笑うので、修もつられて笑った。
「でも八神、政治家になるんじゃないかって昔から言われてなかったか? お父さんのこともあるし」
「……大学でも友達に言われたよ」
修はコーヒーカップを置いた。
父は衆議院議員だ。自分にも期待する者はいるし、看板も地盤もある。
「考えたことがないわけじゃない。たぶん、普通の人間が一から目指すよりは勝算もある」
「やっぱりそうなのか」
「ただ、俺が政治家になるとしたら──」
修はそこで少し考えた。
「医療全体に働きかけたいと思ったときだろうな。研究環境とか、患者の保護とか、医師とは別の立場でなければできないこともあるだろう」
口にしてから、自分でも意外なほどすんなりと言葉が出てきたことに気づく。
「でも、まずは医師であり、研究者でありたい。それが俺の夢だよ」
「そっか」
「ああ」
修は答え、それからほんの少し間を置いた。
「少なくとも、いまはな」
誉は何も追及しなかった。それがありがたかった。
「今度はこんな偶然じゃなくて」誉は言う。「ちゃんと遊ぼう」
「そうしよう。大学の友達も紹介したいな」
「それもいいな」
修の脳裏に、佐伯と小山田の顔が浮かんだ。市橋とは案外、話が合うかもしれない。
「そのときは俺が誘うよ」
「頼む」
修はそう言って、すっかり冷めてしまったコーヒーを飲んだ。
おかわりと、あとは何を注文しようか。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年09月14日
参加申し込みの期限
2026年09月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年09月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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