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はたらくよ
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だが変化はその数分後に起こった。
「ええと、ではこの事件が起きた背景を説明しますね」
と、江戸幕府の仕組みを図に描こうとしたところで、七瀬の手が、わずかながら紅美の手をかすめた。
瞬間、
「!」
声にならない声とともに、紅美が右手をかばうようにして引っ込めたのである。
「え、ごめん、びっくりさせたですか!? わざとじゃ……」
「一緒なの!?」
紅美はまた、狼のような目をして七瀬をにらんだ。
「先生も、他の講師と一緒なの!?」
「待って、それ、どういう……」
「手を握ってきたり、肩を抱こうとしたり、住んでる場所聞き出そうとしたり……女の講師までだよ。マジキモいって。先生はまともかと思ってたけど」
声を張り上げたりしないが、あきらかに怒りがこもっている。
「待って待って! 僕はそんなんせんです!」
「講師、替えてもらう」
「誤解です。絶対そんな下心なかです!
だって僕には好きな人がいるから!
」
「……それ、関係ある?」
「あっ。いや、そうですよね。でも、ほんとにわざとじゃなくて僕は、ウ、ウォルターさんって人が好きなんです!」
言ってしまった。
勢いとはいえ、ほとんど話したことのない中学生に、僕は言ってしまった……!
紅美はすぐには答えなかった。引いた右手を胸元に寄せたまま、七瀬の顔を見ている。
「……マジ?」
「ううむ……はい……マジってことになりますね」
ウォルターさん、ごめんなさい。こんなところで名前を出してしまって──。
七瀬の悔恨の情など知らない顔で、紅美は胸元に引いていた手を机に戻した。
「じゃーつづきやんべ、先生?」
あ、バリヤーが解けたんでしょうか? 急に軟化したような。
怪我の功名なんでしょうか……でもやっぱり恥ずかしい。
「ところで先生ってマタ大だよね。高校は?」
「寝子島高校です」
「えっ、あたし寝子高行きたいんだ。第一希望!」
「じゃあ、後輩って呼べるように、僕も受験勉強を手伝いますよ」
あと、紅美が話した講師たちのことは、きっちり塾に報告しなければ。
授業の終わりに、七瀬は鞄から一冊の本を取り出した。自分も勉強し直すべく、読み返そうと思って持ってきていた本だ。
「江戸時代の基本は、これを読むとスルスル頭に入りますよ。なにより小説として面白いです。僕も中学時代に読みました」
紅美は本を受け取ってくれた。
人に勉強を教えるのって、なかなか難しいですね。
でもやりがいも感じるのは事実だ。なぜって、
「先生、また明日」
と紅美が言ってくれたから。
講師たちの件は、塾の経営部に報告を済ませた。塾側は警察にも相談するという。当然だろう。ただ、そのことで紅美がまた傷つくことのないよう、最大限の配慮を求めておいた。
荷物を鞄に詰めながら、ひと仕事終えた疲れを七瀬は感じている。
今日の指導はなんとも、アップダウンがあってくたびれました……。
正直、紅美が寝子高に受かるかどうかはまだ当落線上だ。それでも着実によくなっていると思う。匍匐前進、まさにそれかもしれない。
ちょうど今日は
ウォルター・B
も定時退勤の日のはずだ。
そうだ、ウォルターさんを誘って、何か甘いものでも食べに行きましょう。
名案! と思ってスマホを取り出したところで、七瀬は気づいた。
あの子、寝子高を目指してるって、言ってましたよね。
とすると……ウォルター先生の教え子になるかもしれんってことやなかですか……!?
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年09月14日
参加申し込みの期限
2026年09月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年09月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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