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- 種族
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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
Geheime Maske
綺麗なだけで心のない絵。けれど王輝はあの時、黒く塗りつぶした絵こそが完成した姿だと言った。きっと、彼の描く美しい絵の元は、彼女なのだろう。包帯を巻き、マミーとなった牡丹は、薄く開いた扉から優妃を見つめた。穢れのない、純粋な少女。誰かに守られ、大切にされる存在。守っている人の苦悩も葛藤も、何も知らない。無邪気さの刃で人を傷付け、無垢さを言い訳に人を盾にする彼女は、とても残酷。
牡丹は部屋の中に入ると、大またで優妃に近づいた。怯えて泣き出しそうになる優妃の口を押さえ、大きな灰色の瞳から流れ落ちる透明な涙をじっくりと見つめる。きっと彼女なら、泣くだけで誰かに助けてもらえるのだろう。泣くことすら出来ない彼を尻目に。
「一つアドバイスするとね、愛という『狂気』を持って演奏すれば、もっといい音が鳴るわよ……将来有望な音楽家さん♪」
牡丹は笑いながらそう言うと、急いで部屋を出た。お姫様が泣けば、泣かせた相手が悪くなる。そこにどんな理由があろうとも……。面倒事なことになる前に、姿を消した方が良い。
心に秘めた狂気と、無邪気さの刃。どちらがより悪いかなんて、そんな事は知らない。けれど、先にはきっと破滅が待っている。簡単に予想できる未来が可笑しくて、牡丹は低い笑い声をあげた。
唐突に途切れたピアノの音色に、アリーセは廊下を足早に進むと開いた部屋の中を覗きこんだ。ピアノの前には可愛らしい少女が蹲っており、アリーセの姿を見た瞬間にビクリと肩を上下させると部屋の隅に走って行く。灰色の瞳からは涙が溢れ、こちらを酷く警戒している。何があったのか聞きたいけれども、近づけばさらに彼女を追い詰めてしまいそうで、アリーセは小さく息を吸い込むと優しい旋律で歌いだした。
美しい旋律 怖がりな旋律
殻の隙間から見える 景色は綺麗で
憧れる旋律 臆病な旋律
心は狭間にて揺れる 怖れと憧れ
一歩だけ踏み出して
ほら 怖くない
少しだけ落ち着いたらしい優妃が、涙を拭う。アリーセは小さく微笑むと「こんばんは、お邪魔してます」と声をかけた。優妃が戸惑ったような表情でアリーセを見上げ、ピアノの前に座ると無言で曲を弾き始める。多分、弾くことで気持ちを落ち着かせようとしているのだろう。
「綺麗な旋律さん、前に音で出逢った事があるわよね。確か、隣のクラスだったかしら？」
優妃がコクンと頷き、か細い声で自身の名前を呟く。物悲しい旋律は繊細で、聴いているこちらまで悲しい気持ちになってくる。ピアノを弾く優妃の横顔もどこか虚ろで、アリーセはそっと目を伏せると、ピアノの曲線に指を滑らせた。
「哀しい気持ちの時に、哀しい歌を哀しいように歌うのも良いと思う。でも、哀しい時に楽しい歌を、楽しい嬉しいって気持ちを込めて、皆が笑顔になれるように願いを込めて歌うのも良いと思うの。そうしているうちに、自分もいつの間にか楽しくなるから。空元気も元気って事……とはちょっと違うかもしれないけれども」
「……ねぇ、愛という狂気って、どんな音？」
指が止まり、どこか虚ろな瞳がアリーセに向けられる。どうして急にそんな事を聞いてきたのか分からずに困惑していると、突然扉が勢いよく開いた。
「やぁやぁ、おじゃましてまーす！ 怪しいもんじゃないんで、お客さんなんで！ でも別に、お茶菓子出せとか言いませんぜ！ 持ってきたんでね！」
元気良くそう言って入って来た翠子だったが、すぐにアリーセと優妃の間に流れる不穏な空気に気付いた。優妃は泣いているし、アリーセは酷く困ったような瞳をしている。
「あ、なんかすっげー邪魔でしたね。うん、お取り込み中？ ……でもまぁ、帰らないけどね！ なにせお客さんなんで！」
どやぁ！ 物凄いドヤ顔でそう宣言し、アリーセと優妃の困惑を放置してズカズカと部屋の中に入り込むと、開いた窓から外を見た。未だに上がっている炎は赤く、逢魔時を過ぎた空は暗い。
「いやぁ、燃やすってのは結構派手ですが、なにせ焦げ臭くて！ あ、勿論ＫＹな感想だって分かってるんで、下では言いませんでしたがね！ ＫＹはＫＹでも、最低限の空気は読めるＫＹなんで！」
どやぁ！ 仮面つきでそんな自慢気な顔をされてもである。何となく勢いに押されてしまったが、優妃は人見知りだと聞いていたアリーセが不安になって彼女の顔を見て、青い瞳を丸くした。優妃は口元を両手で押さえ、くすくすと笑っていた。
「あ、お嬢さんもお茶菓子一ついかがですか？ 知り合いのオネエチャンから貰ったヤツですが、味は保証しまっせ！」
「……ありがとう……」
にっこりと微笑んだ優妃の瞳からは、先ほどの虚ろな光りは消え去っていた……。
牡丹は部屋の中に入ると、大またで優妃に近づいた。怯えて泣き出しそうになる優妃の口を押さえ、大きな灰色の瞳から流れ落ちる透明な涙をじっくりと見つめる。きっと彼女なら、泣くだけで誰かに助けてもらえるのだろう。泣くことすら出来ない彼を尻目に。
「一つアドバイスするとね、愛という『狂気』を持って演奏すれば、もっといい音が鳴るわよ……将来有望な音楽家さん♪」
牡丹は笑いながらそう言うと、急いで部屋を出た。お姫様が泣けば、泣かせた相手が悪くなる。そこにどんな理由があろうとも……。面倒事なことになる前に、姿を消した方が良い。
心に秘めた狂気と、無邪気さの刃。どちらがより悪いかなんて、そんな事は知らない。けれど、先にはきっと破滅が待っている。簡単に予想できる未来が可笑しくて、牡丹は低い笑い声をあげた。
唐突に途切れたピアノの音色に、アリーセは廊下を足早に進むと開いた部屋の中を覗きこんだ。ピアノの前には可愛らしい少女が蹲っており、アリーセの姿を見た瞬間にビクリと肩を上下させると部屋の隅に走って行く。灰色の瞳からは涙が溢れ、こちらを酷く警戒している。何があったのか聞きたいけれども、近づけばさらに彼女を追い詰めてしまいそうで、アリーセは小さく息を吸い込むと優しい旋律で歌いだした。
美しい旋律 怖がりな旋律
殻の隙間から見える 景色は綺麗で
憧れる旋律 臆病な旋律
心は狭間にて揺れる 怖れと憧れ
一歩だけ踏み出して
ほら 怖くない
少しだけ落ち着いたらしい優妃が、涙を拭う。アリーセは小さく微笑むと「こんばんは、お邪魔してます」と声をかけた。優妃が戸惑ったような表情でアリーセを見上げ、ピアノの前に座ると無言で曲を弾き始める。多分、弾くことで気持ちを落ち着かせようとしているのだろう。
「綺麗な旋律さん、前に音で出逢った事があるわよね。確か、隣のクラスだったかしら？」
優妃がコクンと頷き、か細い声で自身の名前を呟く。物悲しい旋律は繊細で、聴いているこちらまで悲しい気持ちになってくる。ピアノを弾く優妃の横顔もどこか虚ろで、アリーセはそっと目を伏せると、ピアノの曲線に指を滑らせた。
「哀しい気持ちの時に、哀しい歌を哀しいように歌うのも良いと思う。でも、哀しい時に楽しい歌を、楽しい嬉しいって気持ちを込めて、皆が笑顔になれるように願いを込めて歌うのも良いと思うの。そうしているうちに、自分もいつの間にか楽しくなるから。空元気も元気って事……とはちょっと違うかもしれないけれども」
「……ねぇ、愛という狂気って、どんな音？」
指が止まり、どこか虚ろな瞳がアリーセに向けられる。どうして急にそんな事を聞いてきたのか分からずに困惑していると、突然扉が勢いよく開いた。
「やぁやぁ、おじゃましてまーす！ 怪しいもんじゃないんで、お客さんなんで！ でも別に、お茶菓子出せとか言いませんぜ！ 持ってきたんでね！」
元気良くそう言って入って来た翠子だったが、すぐにアリーセと優妃の間に流れる不穏な空気に気付いた。優妃は泣いているし、アリーセは酷く困ったような瞳をしている。
「あ、なんかすっげー邪魔でしたね。うん、お取り込み中？ ……でもまぁ、帰らないけどね！ なにせお客さんなんで！」
どやぁ！ 物凄いドヤ顔でそう宣言し、アリーセと優妃の困惑を放置してズカズカと部屋の中に入り込むと、開いた窓から外を見た。未だに上がっている炎は赤く、逢魔時を過ぎた空は暗い。
「いやぁ、燃やすってのは結構派手ですが、なにせ焦げ臭くて！ あ、勿論ＫＹな感想だって分かってるんで、下では言いませんでしたがね！ ＫＹはＫＹでも、最低限の空気は読めるＫＹなんで！」
どやぁ！ 仮面つきでそんな自慢気な顔をされてもである。何となく勢いに押されてしまったが、優妃は人見知りだと聞いていたアリーセが不安になって彼女の顔を見て、青い瞳を丸くした。優妃は口元を両手で押さえ、くすくすと笑っていた。
「あ、お嬢さんもお茶菓子一ついかがですか？ 知り合いのオネエチャンから貰ったヤツですが、味は保証しまっせ！」
「……ありがとう……」
にっこりと微笑んだ優妃の瞳からは、先ほどの虚ろな光りは消え去っていた……。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2014年01月13日
- 参加申し込みの期限
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- 2014年01月20日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2014年01月20日 11時00分
