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禍語 二ノ刻
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【擬態】
残暑のきびしい夜だった。
「わたしだって……関わりたくはないんですよ?」
「じゃあ、なんだってついてくるのよ」
腰に手を当て
姫木 じゅん
が眉をひそめると、少女は唇をとがらせた。
「だって、あなたたちから……あのひとのにおいがするんですもん」
制服を着ている。高校生のようだが、寝子高のそれとはデザインが異なる。本土から遊びにでもやってきたのだろうか。年相応の仕草に、
朝鳥 さゆる
は微笑ましく目を細めた。
「あのひとって?」
「修司さん。九頭見、って。知ってますよね」
「くつみ?」
すぐに思い出した。もう先月のことだが、記憶には鮮明だ。特徴的なしゃべり方と、キャバクラへ金を握りしめてやってくるような客らしくない振る舞いに、彼のことは印象深く記憶へ刻まれていた。
それに、彼とかわした会話の異様も。じゅんがぱちりと両手を叩いた。
「ああ、あの時の! オカルト好きなお客さんよね」
「そうね。じゅん」
同意すると、少女も首が取れんばかりにこくこくとうなずく。いかにも子どもらしく、小動物めいて小柄で、なんだか庇護欲がわいてしまう。
「九頭見さんに言われてきたの? いいえ、ともかく、今日はもう遅いわ。駅まで送ってあげるから、帰りなさい」
「そ、そうはいかないんです……!」
さゆるが言うと、少女は今度は激しく首を振った。
「わたしが、おふたりを、送りますから。遠慮はいりませんから。さ、さあ、いきましょう!」
そう言って先に立って歩きはじめる。さゆるとじゅんは顔を見合わせた。今夜もまたこの島では、なにかが起こっているらしい。そんな予感がさゆるの胸をしめつけた。
シーサイドタウン駅への道をたどりながら、さゆるはたずねた。
「名前は?」
「え? 名前って……ああ。わたしの名前ってことですね? そうですよね?」
少女のどこか挙動不審に、さゆるは首をかしげる。
「教えたくないのなら、別にいいけれど……」
「つ、月村です。そう呼ばれてます」
「下の名前は?」
「えっ?」
あえて関わりたくはないのだと、少女……月村と名乗った彼女はこぼした。といって人ぎらいとかコミュニケーション下手というわけでもなく、少女自身はごくふつうの学生に見える。とりわけ人との関わりを忌避しているようには思えない。
「下は……ひ、ひみつです」
「そう。じゃあ、月村さんね」
「月村……月村。どこかで聞いたような……」
名を述べず、どこかうつむきがちな少女と、奇妙な道行きとなった。
夜は明るく星がまたたく。月がやけにまぶしい夜で、光の加減か、なんだか像がゆがんで見えた。
歩きながらに、じゅんは少女へ矢継ぎ早に問いを浴びせ、
「ねえ、あの九頭見ってひととどういう関係? 親子、じゃないわよね、兄弟とか? 似てたかな、似てないわよね。それでどうしてあたしたちを送ってくれるって? なあに、なにかヘンなモノでも憑いてる? オカルトな話よね、これって?」
「えっと、その……あの、その」
少女はしどろもどろだ。
「修司さんとは、その……わたしが、あの。一方的に……」
「えーなに、好きなの? 片思い!? へー、年の差! って、あたしたちも変わらないわね。あはは」
「ちょっとじゅん。彼女、困ってるじゃない。ごめんなさいね、月村さん」
「あの、いえ。大丈夫です。えへへ……」
方便かもしれない。さゆるはそう感じた。関わり合いたくないのではなく、むしろ逆ではないのだろうか。話好きな少女には、なにか人目はばかるような理由があるのかもしれない。大っぴらに誰かと、積極的にまみえるべきでないような、なにか事情があるのかもしれない。
そんなふうに考えた時、
「これ。持っててください」
少女はさゆるへ、紙片を手渡した。ひどく乱れてつたない文字で、『つきむら』の文字と電話番号が記されていた。
「なにかあったら、電話してください。起きてたら……わたし、なんとかするんで。えへへ」
「? なにかって? なんとかするって、なにを」
じゅんがそう問いかけた、ところで。
「それじゃ!」
少女はおもむろに、自分を脱いだ。かぱ、と大きくひらいた口から、裏返った、と表現すべきだろうか。
どこにそんな質量が収まっていたのか、少女だったものの内側からあらわれたモノは膨張し、みるみるふくれあがる。ふさふさと伸びた豊かな毛が波打ち始める。獣だ。巨大な獣には、前足が左右に二対ずつ、鳥のような後ろ足が一対、背にカラスのような翼があり、そして顔がなかった。
顔のない獣は翼を打って飛び立つと、ないはずの口を大きくひろげ、天にかがやく月を喰った。獣はそのまま、星空の中を羽ばたきどこかへ飛び去っていった。
「……えっ、と」
さゆるとじゅんは顔を見合わせる。どうやら今夜の月は、月ではなかったらしい。
夏の終わりに体験したそんな話を、『プロムナード』へ恐怖譚をねだりにきた九頭見に語ると、彼はどこか複雑そうに表情をゆがませた。
「あの子とは、それきりだけれど。電話番号はまだ持っているわ」
「かけてみた?」
「いいえ。特になにも起こっていないから」
「そう。かけてはダメよ。よほどのことが無ければね……シロウトがあれを起こすのはおすすめしないわ」
かぶりを振り、前回は飲まなかった酒をひと口含むと、大きなため息をつく。
向こうの席でトークの冴え渡るまみ子とは違い、さゆるは客のひととなりから話題を引き出したり、男の望むような軽妙さ、さりげないボディタッチなど苦手だ。聞き上手ではあるらしく、そうしたところが売れっ子の所以たるひとつではあるだろうが、ひとたび黙りこくってしまった客からふたたび饒舌を引き出すようなことは難しかった。
「その……あの子は」
弁の立つほうではないにしろ、沈黙には耐えかねてそう切り出す。
彼は肩をすくめて、
「なれの果て。かしらね……わたしの憧れたひとは、もう。見る影もない……」
なかばつぶやくようにそう言い、グラスをあおる。それ以上の言葉はなく、さゆるはしばし、空になったグラスへ酒を注ぐ作業をもくもくと繰り返した。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
神話・伝説
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
7人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年10月12日
参加申し込みの期限
2025年10月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年10月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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