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禍語 二ノ刻
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【潜在】
「たすけ……」
暗い廊下の先へ飲み込まれてゆく
馳 つるぎ
へ、
綾辻 綾花
は手を伸ばす。手を伸ばす。全力で駆けるも、青ざめた彼女の顔は潮が引くように遠ざかってゆく。
「つ、つるぎさん!!」
胸が不快な拍動を刻んでいる。どうやら尋常でないなにごとかに巻き込まれたようだが、理解が追い付かない。
つるぎの姿が見えなくなると、綾花の足はもつれて立ち止まり、肩を大きく上下させた。
「綾花さん、彼女は!?」
「っ、珪さん……」
駆けつけた
早川 珪
の目も周囲の異様な光景をようやくにしてとらえたらしく、見開き息をのんだ。
「これは……」
「珪さん。こ、ここは、『OLDLYNX』だったはずですよね? つるぎさんは、すぐそこにいたはずですよね?」
旧市街のなんの変哲もない古書店だ。そろそろ付き合いも長くなってきた、店主であり友人のつるぎが今日もカウンターでふたりを出迎えてくれた。
それがいつのまに、こんなことになってしまったのだろう。
「まるで……迷宮じゃないか」
「はい。私たちが入ってきた入り口も、で、出口もありません……」
閉鎖的な空間に、本棚がならぶ。一冊を手に取ったのは興味本位であり、手がかりを手繰るためでもあったが、ともかく表紙も開いたページも、記された文字のすべても、乱暴に黒く塗りつぶされて読み取ることはできなかった。
内装は『OLDLYNX』に似て非なる。照明は灯っているがうす暗く、廊下の奥まで見とおすことはできない。棚の並びや調度品はつるぎの好みを思わせるが、どこか、なにか……えもいわれぬ奇妙な違和感がある。人の意思が介在していないかのような、無作為にコピー&ペーストされて作られたような、まるで空虚な空間だった。
そんなものが左に右に正面にと伸びている。多くは長い廊下によって構成され、時おりそこに接続される小部屋が散見された。いずれもが同じ構造であり、読めない本の装丁も一見雑多なようでいて、確かめてみるとほんの数冊をひとくくりとし、同じものがいくつも並べられているだけのようだった。
寒くはないが、どこか寒気をおぼえる。綾花は思わず珪の手を取り、両手で握りこんだ。つくりものめいた空間において、そのぬくもりだけが本物と思えた。
「ともかく……つるぎちゃんを探そう。出口があるとしても、僕らだけでは帰れない」
「はいっ……」
つるぎはどこへ連れ去られたのだろうか。そもそも連れ去るようななにかが存在するのか。危険があるのだろうか。
なにもかも分からないまま、廊下の向こうへつづく暗がりへ、はやる心で足を運んだ。
どこまで続くのか。果てなどないのかもしれない。廊下を抜け、廊下を通りすぎ、小部屋を探り、廊下を歩んだ。空間はどこまでも、代わり映えもせず広がっている。
今のところ、綾花や珪の身の安全をおびやかすようななにかが現れてはいない。にもかかわらず、今にも物陰から飛びかかる怪異に襲われるのではないか、この世ならぬなにかが目に映り始めるのではないかという予感は拭えない。
珪が物言わぬまま綾花の肩を強く抱く。いつだって冷静な彼も四肢に力が入り、緊張を隠せなかった。
「珪さん……」
「彼女。最近、小説を書こうとしてた」
ふいに彼がそう口にした。
「綾花さんには話していたのかな。話していなかったかもね、僕も執筆しているのをちらと見かけただけだから」
「つるぎさんが……小説を」
珪と彼女は高校の文芸部で出会った。先輩後輩の間柄だ。ふたりが執筆した作品を批評し合っていたことは知っているし、綾花も読ませてもらったことがある。
珪は綾花の手を離さないまま、かぶりを振る。
「けれど、上手くはいっていないようだった。あの焦りには僕も身に覚えがある」
「珪さんにも、ですか」
「うん。重苦しくて、先が見えない焦燥だ。もどかしくて、息ができないような……前へ前へと進もうとしても、ちっとも前に進まないような。少しばかり進行したと思っても、振り返ってみれば自分の残した足跡の汚れがひどく醜いものに思えて、消しては戻り、消しては戻り……」
見上げた彼の横顔が、かつて見たことのないほどに暗く落ち込んで、張りつめて見えて、綾花はぴくりと肩をふるわせた。
「すべてがどうしようもなく、くだらなく思えて……誰かと自分を勝手にくらべて、嫉妬して。自暴自棄になり、なにもかも捨ててしまいたくなる。破り捨てて、破壊して、踏みつけ、蹴倒し、なにもかも……なかったことにしたくなる」
「珪、さん……?」
はっとして、彼は綾花を振り返る。瞳をのぞき込み、そしてひとつ大きく息を吸い、吐いて、綾花を抱きしめた。
「そうしなかったのは、つるぎちゃんのおかげだったんだ。あのあけっぴろげな明るさや、意外な内面の繊細や、時どき意地悪そうに笑うところにも、その愛嬌にもね。救われていたんだと思う。だから……」
彼は指を差す。いままで空間に見えていなかったぼんやりとした光がその先にはあり、そこには簡素な木作りのデスクに腰かけて頭をかかえる、セーラー服を着た若い彼女の姿があった。
「今、その立場にあるのはきっと、綾花さんなんだと思う。寄りそってあげてほしいんだ」
綾花はうなずくと、彼女へ歩み寄った。『OLDLYNX』の床へ足を踏みしめるたび、書架の本たちが光を帯び、黒塗りはほどけるように溶けていった。
メールとお電話をありがと、ぜひ話を聞いてみたかったのよ。
ええ、そう。そう。うん。ああ……それは大変だったわね。
それで? ああ、それじゃ、お友だちは無事だったのね? それは良かったわ。
心の迷宮ってやつは、案外とね、迷い込んでしまいがちなものなのよ。たとえランクはCだとしても、その体験は時としていつまでも本人をとらえてしまうことがある。いわゆるトラウマってやつね。
そこから、怪物が生まれることだってある。今回は、なにか見かけなかった? 得体の知れない影とか。奇妙な生き物とか。そう、運が良かったわねえ。お友だちを連れ去ったなにかと遭遇しなかったのは。
家族や友人、恋人を大事にね。あなた自身も、いつとらわれてしまうか分からないのだから。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
神話・伝説
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
7人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年10月12日
参加申し込みの期限
2025年10月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年10月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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