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禍語 二ノ刻
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【present-day】
後悔は先に立たない。そんな言葉は何度も耳にしたがしかし、いつだって
梓 智依子
は反抗の意思を示し続けてきた。
何度だって言おう。口にしよう。伝えよう。
「……愛して……いるわ。いつ、だって、ママは……あなた、を……」
縊られ、呼吸を求めてあえぐ間も、硝煙と血の匂いの中で意思と命を手放すその瞬間までも、彼女は揺るぎなかった。瞳に映る愛娘がこの世に生まれ落ちた幸福を信じて疑わなかった。
「…………かえ、で」
母を見下ろし、楓は大きく息を吸い、吐いた。双眸は暗黒の中に灯り、歪ながらも晴れやかに、大願を果たしたとばかり天をあおいだ。星々のまたたきに、満足そうに、口元を歪め笑んだ。真なる邪悪がここに完成したのだ。
【2 hours ago】
荒く息をつき、全力で駆ける。折れた右腕の激痛に幾度も意識を失いかけ、ふらつき、殴打に閉じかけた右目の熱さにうめく。
「うう。ううう……うっ。う……」
言葉にならない嗚咽をもらしながらも、智依子は足を止めない。
成さねばならなかった。なんとしても。決意はいまだ揺らぎの中にあるが、その瞬間が来れば智依子はためらわないだろう。
愛するがゆえに。
「っ、ひ」
コンクリートの柱の向こうに、あの瞳の輝きが見えた。一瞬でそこへ現れ、そして消える。
廃工場に人気はない。智依子自身の足音と、詰まりそうな呼吸だけ。あの子の気配を察することはできなかった。望めば彼女は、いくらだって闇の中へ存在を溶け込ませることができるのだから。
「楓……楓」
「なあに? ママ」
「っ、あああ!!」
思わずトリガーを引き絞る、狙いも定めずに二発、三発と撃ち放つ。
「ひどいよ。あたったらどうするの?」
闇から姿をあらわす。彼女はもはや歩きもしない。すうと滑るように移動し、音もなく、震える手で弾を込めなおす智依子へ近づいてくる。
「……ごめんね。愛してる。楓。ごめんね。楓。愛してる。あなたを。いつだって。楓……」
うわごとのように繰り返しながらシリンダーを閉じ構えるも、視線の先にあの小さな身体はない。
首筋に吐息がかかる。振り向きながらに発砲すると、天井付近のすすけた窓ガラスが砕けて散った。しかし彼女の姿はそこにもなく、かわりに工場の遠く、どこかから無邪気な笑い声が届く。
「はあ。はあ、はあ。あああ。ああああ……」
想像を絶した。我が子を撃つという痛みは。弾丸は決してあの子の身体を傷つけることはないだろう、それでも対峙し決着をつけるのだと決めた心は揺らぎ、激しい動揺へ智依子を叩き込む。楓が街の人々へあんなことをしたのを目の当たりにした時よりもよほどに、智依子の胸を激しく苛んだ。あれほどの殺戮も、我が子へ弾丸を放つ懊悩煩悶にくらべれば、いささかかすんで思えた。
だが、成さねばならない。母として、人としての責任、常識や倫理、想うがゆえに、愛するがゆえに。すべてが智依子を責め立てた。成さねばならなかった。
「ごめんね。楓……」
灯る双眸。静かに闇へとたたずみながら、少女は母を見つめていた。
【1 years ago】
片親であることの困難や憂い、人々の冷たい視線も。たったひとりで小さな娘を育ててゆくことへ、相応の覚悟はできていたはずだった。
「ふう……」
心の疲弊が思わずこぼれ落ちる。はっとして、娘に聞かれなかっただろうかと見下ろすと、彼女は手をつないだままぼんやりと、火葬場に登る白煙を見つめていた。
頭を撫でてやると、楓はこちらを見上げて薄く笑みを浮かべる。先日のことがまだ尾を引いているのだろう。無理もない、一番の、数少ない仲よしの友だちを目の前で亡くしたのだ。智依子も良く知る子だったが、とても明るく快活で、楓と同じ年齢と思えないくらいに気立ての良い子だった。病気による突然死とのことだが、なんにせよ楓の小さな胸にきざまれた傷の深さははかり知れない。
心労は嵩む。ふたりで生きてゆくことの難しさ。突発的な不幸。同世代の子どもを持つ、口さがない親たちが寄せるあざけりの目。天蓋孤独の智依子には、頼る者もだってない。
時おり思う。たとえば……あの両親などは除外するとして、祖父母がまだ生きていたとする。優しい彼らはまだ幼くして身ごもった智依子を抱き止め、受け入れてくれただろう。智依子を愛し、楓を愛してくれたことだろう。
だが、ふたりはもういない。
「楓。そろそろ帰りましょう。千代ちゃんにお別れを言った?」
「うん。千代ちゃん、きこえてたかな?」
「ええ、きっとね。楓がきてくれて、喜んでいたと思うわ」
「そうかなあ。よろこぶかなあ。だって、かえでのせいなのに……」
小さな子がぽつりとつぶやいたそんな言葉に、胸がしめつけられる。
「違うわ、楓。あなたのせいなんかじゃない。病気のせいだって、千代ちゃんのママが言っていたでしょう?」
「うん、でも、かえでのせいなの。かえでが言ったから、千代ちゃんしんじゃったの」
びょうと強い風が吹いた。冷たく、どこまでもかわき切った風だった。
「……なんて言ったの? 千代ちゃんに」
「しんじゃえ、って。ケンカしたの、千代ちゃんと。かえでね、千代ちゃんのお人形がほしかったの。どうしても、どうしてもほしかったの。だからね、ちょうだい? って言ったの。でもダメだって。おかあさんにかってもらっただいじな子だから、絶対ダメって。かえでちゃんにはしんでもあげない、なんにもあげないって。かえでのこと、きらいだからって。だからね、かえでね、はらがたってね。千代ちゃんに、じゃあしんじゃえって言ったの。そしたらね」
「…………」
「千代ちゃん、死んじゃったの。かえでのせいだよね? ちがうのかな? 千代ちゃん、ゆるしてくれるかなあ?」
【5 years ago】
「はっ……はっ、は、はあっ、は、う、ううう」
トイレへ先に食べたランチを丸ごと還元する。吐き気は収まるどころか増すばかりだった。
「は。はっ、は、はあ、は、はあ。はあ」
ふくらんだ腹を撫でさする。
悪寒と、恐怖と、それらに相反する幸福を奥歯に噛みしめる。
すべては10ヶ月ほど前の邂逅に端を発する。男が人でないなにかだと知ったのは、運命の出会いと信じ、誘われるままにホテルで身体を重ね、なにもかもさらけだした後だった。
「はあ、はあ。あああ、大丈夫。ああ、大丈夫……大丈夫だから。大丈夫……」
情事を経て、男は先ほどまでウィットに富んだ睦言を吐いていたとは思えないほど、能面のような無表情で智依子を見下ろした。横にまばたきを二度してから、部屋の隅の暗がりへと後ずさりし、壁の隙間へ吸い込まれて消えていった。
いまだ鮮明な記憶が、吐き気を増大させる。
「大丈夫。大丈夫よ。ママがいるわ。パパがいなくたって関係ない。誰だろうと、知ったことじゃない。あなたは私の子……あなたは私の子。あなたは私の子。あなたは私の……」
胃液まで吐きちらし、黄ばんだタイルの上へへたりこみながらも、智依子は腹を撫でさすった。嘔吐に耐えながら、愛おしく。愛おしく。微笑み浮かべ、いつまでも。
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あとがき
担当マスター:
墨谷幽
ファンレターはマスターページから!
墨谷幽です。『禍語』のリアクションをおとどけいたします。
いわゆるジャンプスケア的な、ストレートな恐怖感も嫌いじゃないですし、こう、じわじわ怖い感じもいいですね。
書きやすいのはどちらかといえば後者かも。でもいろんなパターンを追求してみたいです。
ホラーの季節は過ぎてしまいましたけれど、定期的に書きたくなります。
よろしければまたお付き合いいただけましたら嬉しいです~。
それでは、今回もご参加いただきまして、まことにありがとうございました。
次のシナリオでもお会いできますことを、楽しみにお待ちしております。
お疲れさまでした~!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
神話・伝説
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
7人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年10月12日
参加申し込みの期限
2025年10月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年10月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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