this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム /
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
[TOS] 狂気日食
<< もどる
1
…
4
5
6
7
8
…
28
つぎへ >>
「〈蘭付き〉に対抗できそうな人材がいるとすれば……諸君だけか」
閉じかけた喉を通ったせいか、声はひどく細かった。
水車小屋の地下室。湿り気を帯びた石壁と、薄く灯されたランプの光が、病床に伏す
新島 義弘
──レジスタンスの精神的支柱『教授』の姿を淡く照らし出している。
義弘はもはや起き上がることもままならず、肩で息をしながらふたりの若者を見すえていた。しかし彼の瞳にはなお、強い光が宿っている。
ひとりは
叢雲 あおい
。華奢な体躯でありながら、その背に宿す意思は岩のごとく動かない。口数は少なく、ただ瞳だけが雄弁に彼女のすべてを語っている。
そして、もうひとり。
エリオン・ルマーレ
。
黒い髪、黒い瞳、夜の深みを閉じ込めたかのような光彩。彼の容貌はあまりに整っていた。
ただ美しいというだけではない。頬の線は端正にして鋭く、長い睫毛に縁取られた瞳は深海の闇を想わせる。彫像のような顔立ちながらも、どこか危うさ抱えているようで、その落差がかえって目を惹く。
エリオンを初めて目にした者はしばしば、「物語の王子のよう」と評する。だが彼自身はその評価を好まない。なぜなら、その外見は彼が歩んできた現実とは、あまりにも不釣り合いだから。
十八歳。
まだ若年に過ぎない。
されどエリオンの半生は、決して恵まれたものではなかった。
かつて、彼はただの音楽好きな少年だった。
生まれたときにはすでにシザクラの世界計画ははじまっていたものの、幼少期、戦火という災厄はまだエリオンのもとに到達していなかった。父母と故郷に暮らし、安全な環境下でピアノを弾き、喝采や笑顔を集める。ささやかながらも満ち足りた日々だった。
しかし新世界機構の波が、彼の故郷を無慈悲に呑み込んだ。
炎と、死。創造のためには破壊が必要だと、殺戮者は嘯(うそぶ)いたものだ。
シザクラがもたらした暴風は大量の生命を消し去った。両親も、兄弟も、隣人も助からなかった。エリオンだけが焼け跡に取り残された。耳に残ったのは、最後に聴いた母の歌声。そしてピアノの音色が一瞬にして断ち切られる破壊音だった。
その日からエリオンは、ただ生き延びるために歩いた。
心の奥にはひとつの誓いが生まれていた。
──もう二度と、同じ思いをする人を増やしてはならない。
復讐心はあった。煮えたぎるような怒りもあった。だがそれ以上に、エリオンは未来への執念に取り憑かれた。
人類には生きる意味があるはずだ。たとえ嘲笑されても構わない。自分は必ずハッピーエンドをつかむのだと。
何年かの放浪を経て、エリオンは新島義弘のレジスタンスに加わった。
そして、そこで彼は己に眠る殞脈を知った。
名は〈奏でるモノ〉。
エリオンが指先で線を描けば、その場所に淡い光を帯びた鍵盤が現れる。
触れれば実際に音が鳴り響き、旋律となる。
やがて鍵盤は空気を震わせ、空間を変える。仲間の疲労を和らげることもあれば、敵の精神を乱すこともできる。旋律次第で、戦場の空気をすら塗り替えることもできる。
エリオンにとって音楽は、ただの趣味ではない。生き残る理由であり、他者を支える術となった。
しかしこの力は万能ではない。
鍵盤はあくまで一回性のものであり、音を立てれば消滅する。しかもわずか一箇所、描いた場所にしか現れない。あらたな場所に鍵盤を生じさせれば、前のものは消えてしまうのだ。合図という意味では役立つものの、戦場で鍵盤を展開することは、同時に『己がそこにいる』と敵に示す危険行為でもあった。
それでもエリオンは迷わず奏でてきた。味方を鼓舞するために。旋律がある限り、仲間の心は折れないと信じているからだ。
教授の前に立つエリオンの姿は、ランプの光に照らされ、なお闇を背負っているように見えた。
「エリオン・ルマーレ」
義弘は彼の名を呼んだ。
声には病苦がにじんでいたが、たしかに若者の心を射抜く力があった。
「きみの瞳に宿るものが何か、私は理解しているつもりだ。怒りだけではない……諦めぬ光だ」
エリオンは黙ってうなずいた。
「敵は、日が昇ってから攻撃することに決めたらしいな」
「大黒ミオの援軍は」あおいが言った。「間に合いませんでした」
「即断するものではない」
義弘は首を振る。
「タイミングを測っているだけかもしれない。寡兵をもって大を驚かす。大黒ミオというのはそういう人物だ」
エリオンは息を飲んだ。義弘の言葉の表面にある判断だけでなく、かすかな含意をも瞬時に把握する。長年、彼のそばにあって蓄えた経験が、体の奥で反応するのだ。義弘が「即断するものではない」と言えば、それは単に時間稼ぎを是認する意味ではない。むしろ、相手の出方を待ちつつ、こちらからも仕掛ける余地を残す──彼が常に好んできた二段構えの思考が働いているのだとエリオンは理解した。
あおいの目が小さく細まり、唇の端にかすかな動きがあった。彼女にも通じたようだった。
義弘はゆっくりと体を寝台に寄せ、かすれた声で告げた。
「エリオン、あおい、聞くがいい」
短い耳打ちだった。だが義弘の言葉には、病床に在りながらも戦況を読み切った理知と、死にゆく指導者が若者に寄せる一片の慈愛が同居していた。
あおいは無言でうなずき、唇を噛んで決意を固める。
エリオンは一瞬だけ目を閉じ、瞼の裏に母の歌と、ピアノの鍵盤を思い浮かべた。
<< もどる
1
…
4
5
6
7
8
…
28
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
[TOS] 狂気日食
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
前回シナリオ
[TOS] 戦蘭の世紀
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年08月29日
参加申し込みの期限
2025年09月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年09月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!