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[TOS] 狂気日食
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●前奏曲 2
黒の濃度を失いつつある霧のなかを、数人の影が黙々と歩みを進めていた。
移動に自動車を使うことはできない。金属の塊が疾走すれば、敵の索敵機に捕捉されるのは明らかだからだ。そもそも乗用車にこなせる地形でもない。ゆえに彼らは、岩だらけの道を足で越えるしかなかった。足場は悪く、何度も転倒や崩落の危機に見舞われる。ヴァロラ峡谷が近づくにつれ、霧はますます濃く、行軍は重さを増していった。
東の方角から、腐りかけた卵のような光がにじむ。
「夜が明ける」
誰に告げるともなく、英二はつぶやきを漏らした。長時間の強行軍だ。人ひとりを背負って歩きつづけているような疲労が骨身にまとわりついている。とうの昔に足の感覚はなく、喉の奥は鉄粉を噛んだように乾ききっていた。見ないようにしているが、手は擦り傷だらけのはずだった。
「そうですね、英二くん」
応じたのはターヤだけだ。
「だから、急ぐのですよ」
短く告げるターヤの声にも、湿り気を帯びた重たい疲労がにじんでいた。そこには、拭いきれぬ諦めの色も混じっている。
──急いだところで手遅れかもしれない。
英二の胸中には疑念が芽生えていた。
間に合ったとして、この少勢が、いったいどれほど役に立てるだろう。
でもそんなこと、口にはしない。僕も、ターヤも、きっとみんなも。
ヴァロラ峡谷のコロニーが包囲された。『教授』こと新島義弘の居場所が突き止められたのだ。
その報せを聞き、大黒オは救援に向かうと告げた。反対する声はなかった。だが士気は決して高くない。数週間前、彼らは蘭紋ガーナックでも上位者であるΕ(イプシロン)を討ち取るという大戦果を挙げたが、犠牲もまた大きかったからだ。拠点を失い、古参メンバーの七枷陣も喪って、さらに梓楓も脱退した。
それに……ラムさんは。
英二は不安げに、ターヤと自分のあいだを歩く
七枷 ラム
を見やる。
ラムは足取りこそ遅れてはいなかったが、虚ろな瞳で前を見つめるばかりだった。声をかけても応じることはなく、感情の色もほとんど見えない。まるで、透明な殻の中に閉じこもっているかのように。
かつて、
ガーナックΛ(ラムダ)
と名乗っていた敵。
だけど陣さんにY.E.S.S.I.R.(イエッサー)を外されてからは、頼もしい味方になってくれた人。
そのラムさんは、陣さんを喪ってからというもの、ずっとあのままだ。
置いて行くわけにはいかなかった。ミオのグループにはもう拠点と呼べる場所はない。無気力な状態のラムは、放置されればたちまち新世界機構に囚われてしまうことだろう。「そうなればメンバー全員を危険にさらすことになる」とミオは言ったが、ミオも本心では、見捨てたくないと思っていることを英二は知っている。
サツキさんのことも気がかりだ。
何気なく振り返る。後方には
リオ
と
サツキ
がつづいていた。ふたりは互いに目配せして隊列を守っている。
リオの肩は息をするたびに上下しているのに、サツキの歩みはまるで疲労を知らぬかのようだ。霧に濡れてもなお、背筋は凛と伸び、足取りは揺らがない。呼吸すら一定で、ただ黙々と進みつづけている。
サツキさんに底力があるだけ、って考えることもできるけど。
だがどうしても英二は、イプシロンとの決戦時、彼女が見せた鬼神のごとき戦いぶりを思い返してしまうのだ。殞脈(エンミラ)と呼ぶにはあまりにも強靱で、あまりにも凶暴な能力だった。狂態ともいえるサツキの暴力を目の前にしてとっさに
「やっぱりキミ、特別な子だったんだ!」
とイプシロンが口走ったことも気になっている。
人間のふりをやめた、ってこと……?
よくない考えだ、英二は自分を叱った。
ターヤだってミオさんだって、もとはガーナック。仮にサツキさんがやはり人造人間だとしても、疑いの目を向けちゃだめだ。
それにしても、不安の種が多すぎる。
いくら否定しても不吉なものが出てきて、英二の胸中に淀みが生まれていた。
この先に待つ戦場で、僕たちは本当に生き残れるんだろうか。
サツキとて、英二の瞳をよぎった影を感じ取っていた。
彼は気づきはじめている。私が人と異なるものだということに。
不安なんだね。
わかるよ。
私だってそうだから。
心中の声は、血管を伝わるようにしてサツキの体内をめぐる。
だが、その流れを押しとどめるように、彼女はひとつの確信を胸に抱いていた。
生まれや由来がどうであれ、私の感情はここにある──ということを。
イプシロンとの決戦で解き放った〈完殺(エグゼキューション)〉の記憶が、まだ頭の片隅に残っている。狂戦士のように敵を叩き潰し、痛覚すら遮断されたあの時間。意識は薄れながらも、どこか遠い高みから自分を見下ろすような冷たい感覚があった。
あれが力であり、同時に私を蝕(むしば)む呪いであることも知っている。
だが、その思考は唐突に中断された。苔でも踏んだのだろうか、ぐらりとバランスを崩す。
「大丈夫?」
その腕を、ささえてくれる腕があった。
「ありがとう、リオ。平気」
「気をつけて」
「うん」
半秒にも満たぬ時間、リオの横顔を見つめて、サツキは前を向いた。
リオもまた前を向く。
とっさにやったことだけど、本当は支える必要なんてなかったのかもしれない、とリオは胸の奥で思う。
霧のなかを進むサツキの姿は、すでに人の領域を超えていた。髪先が濡れて首筋に貼りつき、白い息が吐かれては消える。歩調は乱れず、疲労の色を一切見せない。いや、見せないのではない。サツキはそういう存在なのだとリオは理解していた。
イプシロンとの戦いを経てサツキは変貌した。これまではむしろか弱い存在で、リオがフォローする場面も少なくなかったが、いまやサツキのほうがよほどタフであり、強健だ。
認めるほかないだろう。彼女が人間ではないことを。
ガーナック。
その名を心の中で唱えるだけで、過去の怒りが甦る。かつて、自分の仲間を殺しつくした敵。
あたしは決して有能なリーダーじゃなかった。でも、それでも仲間たちはあたしに付いてきてくれた。
怨みは決して消えない。
もしサツキがガーナックの眷属だとしたら、憎むべき、殺すべき対象……なのに。
リオは、毎夜のようにサツキの寝顔を見つめて煩悶してきた。体を交えた後、眠りについた彼女の頬に光る汗をぬぐうたび、その温もりが胸を締めつける。
あたしに向けられたその感情と、この温もりが偽りだなんて、思いたくなかった。
ふとした拍子に、リオとサツキの視線が交差した。
サツキはほほえむ。リオも、笑みを返す。
その一瞬の交錯に、リオは胸の奥が疼くのを感じる。どうしてこの人なのか、どうしてここまで惹かれてしまったのか、考えることすら怖くなるほどに。
サツキはサツキで、リオの視線を感じ取っていた。
リオがいる。リオが私のそばにいてくれる。それだけで十分。他には何もいらない──。
だが、リオもまた心の奥で思っている。
サツキが何者であっても、彼女の中にあるあたしへの気持ちは本物であってほしい。
もしその手が、仲間を滅ぼした眷属のものだったとしても、サツキがサツキである限り、あたしは隣にいるだろう。
あたしはもう、とっくに決めているのだ。
サツキの力は桁外れだったけど、だからこそ、ここまで来られたという矛盾もある。
リオさえ生きていてくれれば──サツキはそれでいい。
サツキが笑っていられるなら──リオは何度でも血を流す。
互いの胸に宿る思いが、どちらとも言わず、絡みあっていく。
自分がドクター・シザクラの人工物であっても、リオのそばにいる限り、それはサツキにとっての『生きる理由』になり得る。
サツキがガーナックであっても、彼女のそばにいることはリオにとって『戦う理由』になり得る。
思えば、そう願うこと自体が人間らしいのかもしれない。
正体にあらがうのでもなく、目をそらせるのでもなく、ただ一人の誰かを守りたいという単純な欲求に身を任せる──それが、サツキに残された自由であり、リオの誓いなのだ。
だから、彼女たちは唇を噛みしめて歩みを止めない。
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担当ゲームマスター
桂木京介
前回シナリオ
[TOS] 戦蘭の世紀
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年08月29日
参加申し込みの期限
2025年09月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年09月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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