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[TOS] 狂気日食
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●ポストクレジット
雨だ。
見渡すかぎり、灰色の雨が降っていた。
間に合わなかった。
空と地面の境目がわからない。峡谷を埋めていたコロニーは、もう跡形もなかった。
溶けた鉄骨と、黒く焦げたコンクリートの塊が散らばっているだけだ。雨粒が、絶え間なく瓦礫を叩いていた。
簡単な埋葬はされているようだけど、放置されたままの死体も見える。腐臭が立つ前にたどり着けただけでも、まだましだったのかもしれない。
カラスが何かに群がっている。その下にあるものが何か、考えたくもなかった。
ヴァロラ〈valora〉──『勇気』という意味のラテン語か何かからとった地名だというけれど、いまとなってはヒドいジョークみたいに思えてならない。
僕はゆっくり歩いた。
歩いているつもりなのに、前に進んでいる気がしなかった。
足首まで浸かったぬかるみが、靴底を吸い込むように離さない。何度もつまずいて、そのたびに膝をついた。灰と泥が混じった冷たい水が跳ねる。手の甲の皮は、すでに破れていた。
痛みを感じているのかも、よくわからない。
でも、それでも歩く。
ここに、誰かがいるかもしれないからだ。
ラム。
英二。
ターヤ。
サツキとリオ。
楓。
……ミオ。
声にならない音が漏れる。咳が出た。黒い血の混じった痰を、泥の中に吐き捨てる。
全然回復していない。さすがに、無茶をしすぎた。
それでも、僕はまだ歩いていた。
爆風の記憶がふいに蘇る。
視界の端で、光が爆ぜた。音がなく、ただ世界が裏返るようにして消えた。
あの瞬間、たしかに僕は死んだと思った。
それでもこうして、まだ息をしている。
どうやって生き延びたのか、自分でもわからない。
たぶん、ただの運だ。
もしくは──。
まだ、何かをやり残しているということなのかもしれない。
倒れた物見塔の残骸を越える。焦げた金属の表面を手でなぞると、ひやりとした感触が指先に残った。そこに映りこんだ自分の顔は、もうほとんど人間のそれじゃなかった。
唇が裂け、片目の焦点が合わない。頬を伝うのは、血か雨か区別がつかない。
なんでここまでボロボロなのだろう。なのになんで、まだ生きていられるんだろう。
ひょっとしたら、僕……。
その先は考えまい。
それでも、歩く。
でも、思った以上に、ガーナック量産型の残骸が多かった。
多いなんてもんじゃない。大量だ。
すっぱり切断されていたり、腕だけが瓦礫に突き刺さっていたり、ひん曲がった金属がまるで花みたいに開いていたりする。どれも、よく知るシザクラ製の量産機だ。けれど、特に峡谷の出口付近の残骸には、見たことのない修繕跡があった。
焦げ跡のうえに新しい金属が重なっている。
焼けた継ぎ目を溶接したというよりは、傷がふさがったような痕跡。それも一度や二度じゃない。峡谷の入り口一帯に、リサイクルしたような残骸が大量に残されていた。
……直して再利用?
シザクラが、そんなエコな真似をするとは思えない。
あいつにとって機械なんて、使い捨ての駒だ。壊れたら捨てて、また新しいのを作る。それが常識だった。
なのに、こいつらは違う。
明らかに何度か“死んで”……それでも“起き上がろうとした”形跡がある。
僕はしゃがみこんで、ひとつの残骸を手にした。溶けた鉄と灰色の繊維が固まっている。有機物のようで、でも違う。まるで筋肉みたいに絡みあった金属だった。壊されて、直されて、また壊された……そんな戦いの痕が、いたるところに残っていた。
奥部では、目を引く残骸に出くわした。
巨体。バケモノみたいに大きい。噂に聞くタイタン型だろう。
だが妙だった。
タイタンの損壊は外部からではない。内側から破裂している。
腹部の装甲が裏返るように裂け、腕部の関節は自壊したみたいに折れている。
それにしても、シザクラがエコに目ざめたのだとすれば、これを回収せず置いて行ったのが不思議だ。
雨粒の音が、血の鼓動と混ざり合っている。
どちらがまだ生きている音なのか、判別できない。
「……ラム」
口の中で、名前をもう呼んだ。
風もないのに、どこか遠くで呼ぶ声を聞いた気がした。
幻聴かもしれない。
それでも僕は、その音の方向に向かって歩き出した。
足跡が、泥に沈む。
その跡もすぐに、雨に流されて消えていく。
「それでも僕は……」
息が切れた。
唇の端が、わずかに動いた。
「……生き、てる」
雨はやまない。
──『[TOS] 狂気日食』 了
【次回につづく】
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あとがき
担当マスター:
桂木京介
ファンレターはマスターページから!
ご参加ありがとうございました! 桂木京介です。
まずは、締め切りを大幅に過ぎてしまいましたことを、心よりお詫び申し上げます。長くお待たせしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。言い訳はいたしません。すべては私の実力不足が原因です。
いつもにも増して本作は、プレイヤーの皆様の熱量がリアクションの血肉となり、物語を動かしていったと感じています。
執筆は想像以上に大変でした。プロットの整理、勢力ごとの視点切り替え、能力設定の整合などなど……積み上げるほどに手間が増し、ページを重ねるたびに苦労も深まりました。
それでも、その苦労を上回る喜びがありました。皆様のアクションは常に斬新で、予想の斜め上を行き、「これは面白い!」とうなってしまうような内容が随所にあったからです。
驚いたのは、思った以上に多くの方が〈新世界機構〉側の選択をしてくださったことでした。
善悪の単純化を拒むプレイが、場面に複雑な陰影を落とし、私の想定以上に物語を深めてくれました。結果として相当量の調整・改稿を余儀なくされ、ご期待に沿えない箇所や説明不足が生じてしまった点があるかもしれません……だとしたら、素直に謝ります。ごめんなさい。
リアクション本文に退屈な箇所があったなら、それは私に責任があります。
でも、少しでも心が動いた瞬間があったなら、それは間違いなく皆様のおかげです。
企画やプロットの貯金、物語の整理を行う時間が必要なため、[TOF]はしばらくお休みとさせていただきます。再開の折には、今回の反省と学びを糧に、より応答性の高いシナリオをお届けできるよう努めます。
改めまして、参加してくださった十名のプレイヤーの皆様に心からの感謝を!
読み、考え、行動をぶつけ、作品を共に作り上げてくださったこと、本当にありがとうございました。
それではまた次回シナリオで会いましょう。桂木京介でした!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
前回シナリオ
[TOS] 戦蘭の世紀
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年08月29日
参加申し込みの期限
2025年09月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年09月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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