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[TOS] 狂気日食
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霧は深い。山のくびれに滞留した湿気が、音を押し殺している。
病葉(わくらば)を踏みしめる足音はなく、木すらも息をひそめているかのよう。
霧のなかを、ひとつの小さな影がよろよろと歩いていた。
「ママー……」
細く震える声だった。四つか五つほどの男の子だ。名を、陶太という。粗末な布を重ねただけの上着はほつれ、膝は泥で黒く染まっている。小さな手は冷たく、足どりはおぼつかない。けれどその目は必死に前を探していた。母を呼ぶ声だけが、霧のなかを頼りなく進ませていた。
やがて霧の奥に、ひとつの影が立ち現れた。女性の輪郭だ。
陶太は反射的に駆け出した。
「ママ!」
と声を上げたが、彼女に到達する直前で凍り付いたように足を止めている。
細身を包むは深紅の外套、裾は焔のように揺れ、内より赤い光を放つ。大胆に開かれた胸もとには、雪のごとき肌が艶やかに浮かび上がる。無造作に乱れを残した黒髪には赤布が巻かれ、耳に揺れる紅い飾りが霧をはじいてきらめいていた。
きれい。
陶太は一瞬そう思った。だがすぐに、刃を突きつけられたような恐怖に包まれた。女の瞳は鋭く、水晶のように透明で、心を見透かされているかのように思えたからだ。
女は冷たく告げる。
「ママじゃないから」
声は低く落ち着き払っていた。
「あたしは、新世界機構のガーナック、
ガーナックΩ(オメガ)
」
反射的に陶太は腰のブラスターを抜いていた。小さな手には余る大きさの銃を握りしめ、安全装置を外して引き金を引く。けれどカチカチと乾いた音が返るだけだった。何度試しても弾は出ない。壊れているのだ。恐怖にくわえて焦燥が陶太を覆った。目のはじに涙が溜まり、嗚咽が声にならず喉をふさいだ。
銃を目にした瞬間、オメガは身を強張らせたが、まもなく陶太の行動を静かに眺めるにいたった。淡々と事実をたしかめるように、霧のまわりを見渡した。
「こんなところに抜け道があったなんてね。驚いた」
霧の粒子を切るように、声が澄む。女は誰に言うでもなく告げた。
「ほとんどの住民は、この道のことを知らないようね」
陶太には意味がわからない。ただ女の言葉は、耳に残った。
「貸してごらん」
差し出された手に、陶太は抗えなかった。まるで夢の中にいるように銃を渡してしまう。女は銃を受け取ると、何度か銃把を握り直す。その動作は不思議と優雅だった。
突然、オメガは空に向けて引き金を引いた。乾いた音。銃口から赤い光が閃き、空気が震えた。
「銃、直ったみたいね」
女はしゃがみこみ、陶太の小さな手に銃を握らせた。言葉は優しいが、魔性の匂いを帯びていた。指をひとつひとつ導き、銃を抱かせるようにして言う。
「大事にしなさい。これから、きっと必要になるから」
オメガは立ち上がると、霧の奥を指した。
「ここをまっすぐ行って。ママがいなくても、別の集落にたどり着くまで歩いて。休んではいけない」
陶太は涙をぬぐってうなずいた。オメガは立つと、陶太に背を向けて霧に消えていく。
陶太の小さな手が、震えながら銃を構えた。背を向けたオメガに銃口を向ける。呼吸が乱れ、指が引き金にかかる。だが、どうしても引き絞ることができなかった。銃口は小刻みに震えるばかりだった。
最後にちらりと見えた赤い外套は、やがて霞のなかへ溶けた。
しばらくしてオメガは歩みを止め、道端に横たわるものを無造作に抱え上げた。ずしりとした重みが腕にのしかかるが、顔色ひとつ変えない。肩へと担ぎ直し、迷いなく崖縁へと運んでいく。
足先で地を探ると、担いだものを突き落とした。乾いた衝撃音を残して、荷は崖下へと転がり落ちていった。
転がっていったのは人間の死体だ。女性の。
オメガはさらに岩をいくつも押し転がし、次々と崖へ投げ落とした。崩れた石塊が積み重なり、下にあるものを覆い隠す。
見届けると、わずかに息を吐いた。感情の色は乏しく、ただ作業を終えた者の仕草にすぎなかった。
深紅の裾をひるがえし、オメガはまた歩き出す。
後に残るのは、立ち込める白い霧だけだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
前回シナリオ
[TOS] 戦蘭の世紀
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年08月29日
参加申し込みの期限
2025年09月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年09月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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