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[TOS] 狂気日食
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●それから
梓 楓
がレジスタンスを離れたのは、ガーナックΕ(イプシロン)を討ち取ってからまだ一週間も経たない頃だった。
ある夕暮れ、野営の準備に追われるなか、「抜けたい」と楓が告げると、
大黒(おぐろ)ミオ
は思いのほかあっさりとこれを認めた。
「そうか。楓にはもう、戦う理由はないからな」
「ちょ、ちょっと!」
その場に居合わせた
佐藤 英二
が慌てて声を張る。
「僕たち仲間じゃないですか。もっといえば同志でしょう!? ミオさん、説得くらいしてくれたって」
「無理強いはできない」
英二は楓に顔を向ける。
「楓さん、あなたのお母さんのことは聞いています。イプシロンを倒したことで敵討ちが終わった──それはわかる。でも僕たちだって、これまで何度も死線をくぐり抜けてきた間柄じゃないですか。イプシロンとの戦いだって……」
「我々はいずれ、死ぬ」
ミオが告げた。静かだが、有無を言わせぬ口調だった。
「それが早いか遅いかの話でしかない。こんな時代だ。さして差はないだろう。だったら死に場所くらい選ばせてやれ」
「でも」
なおも食い下がる英二をミオがさえぎった。
「無理に楓を縛りつければ、彼女の命を縮めることになりかねない。私には、それを強いるつもりはない」
それに、とミオは冷然と言いはなった。
「いまの状態の楓が残っても、我々ごと危うくなるだけだ。……誰のためにもならない」
英二は助けを求めるように
ターヤ・トイヴァネン
を見た。だがターヤは口を閉ざしたまま、目を伏せていた。
「今後、連絡は取らないから」
楓は短く言い、ライフル銃を担ぎ直した。
「我々もそのつもりだ」
ミオが淡々と応じる。
一礼すると楓は身をひるがえし、迷いなくその場を後にした。足音が遠ざかっていく。
しばし沈黙の後、ミオも背を向けて持ち場に戻った。
残された空間には、重苦しい静けさが残るばかりだった。
英二は拳を握りしめ、喉奥にたまった言葉を吐き出せずにいた。
説得の余地はあったはずだ。もっと別の言い方も、あったはずだよ。
思いが胸を締めつける。
「英二くん」ターヤが沈黙を破った。「ミオさん、あんな言い方をしてたけど、本当は──」
「わかってるよ!」
思わず声が荒くなった。自分の声に驚き、英二は深く頭を下げた。
「ごめん、ターヤ。大きな声出しちゃって。僕だって、わかってるんだ」
ターヤは小さくほほえんだ。
「謝らなくていいのですよ」英二の肩に手を置いて言う。「英二くんがどれだけ仲間を大事にしてるか、私にはよくわかってますから」
「ありがとう……ターヤ」
英二は目を閉じる。
そうだ。僕はただ、失うのが怖いだけなんだ。
けれど現実には、すでに失ってしまったものばかりだ。
結集地点へのガーナック量産機の急襲、さらに、ガーナックΕ(イプシロン)との死闘。
あの戦いは、勝利をもたらしたはずなのに、むしろ深い爪痕を残した。
古参の七枷陣さんは戻らず、ラムさんは心を閉ざした。
戦場で鬼神のごとき力を見せたサツキさんも……自身の力に恐怖したのか、いまは沈黙を守るばかりだ。
僕らは楓さんの変化に気づくことができなかった。
皆それぞれに痛みを抱えて、余裕を失っていたから。
楓は振り返らなかった。
夕陽が路の向こうの瓦礫を淡く染め、風が焼けた土埃を巻き上げる。足元の長靴はまだ砂とオゾンの匂いを帯びていて、歩くたびにそれが鼻をついた。
体の芯は妙に冷たい。戦いの余韻とも、痛みともちがう、抜け殻のような冷たさだ。
ミオがあっさりと離脱を認めたことは意外だった。けれど拒まれていたら、楓はきっと隙をうかがい、いずれは抜け出しただろう。場合によっては、かつての同志に刃を向けることすらあったかもしれない。
そうならなかっただけ、まだ幸いだったのかもしれない。
ミオはきっと、わかっていた。わかっていたから、容易にレジスタンスからの離脱を認めた。
楓は思う。
イプシロンを討ち、ママの仇を討った。
でも同時に、私はすべてを失った。
イプシロンの首が飛んだ瞬間、私が感じたのは達成感じゃなかった。むしろその反対……深い虚無だった。
長年燃えつづけていた火種が、ふと消え去ってしまったかのような。
目の前でママを奪われて、私は最初に『悲しみ』を喪い、その空洞を『憎悪』が埋めた。やがて憎悪は私のすべててとなり、行動の理由になった。
でも憎悪の対象を失ったいま、私のなかに残るものはない。
ガーナックの創造主ドクター・シザクラを狙おうと考えたこともあった。思考実験は幾度か試みたけど、姿も声も知らぬ人物に怒りを向けつづけるのは難しかった。物心ついたころからこの世界の現実しか知らない私は、「自由を取り戻す」と叫ぶレジスタンスリーダーたちに共感できなかったし、彼らが新世界機構に粛正されても、特別な感慨は湧かなかったくらいだから。
七枷ラム。陣にずっとくっついていた子。蘭付きガーナックだったっていうけど、ぜんぜんそんな風に見えなかった子。
ラムは復讐心を糧に立ち直るだろう。あの子なら、悲しみを怒りに、そして強さに変えることができる。
楓はそれを羨ましいとすら思う。自分にはその燃料がもうないから。
無限につづく空虚の中、楓は自分だけがぽつんと浮かんでいるように感じた。誰かに寄り添われることを避け、壁を築き、深い溝を掘って自ら閉じ籠もったのは自分だ。皮肉にも、憎悪という穴を埋めていたのはイプシロンだった。それを自分の手で葬ったのだ。
「我々はいずれ、死ぬ」
ミオが言っていた。
そうだね。「絶対に生きて」ってママの言葉があるから、私は自分で人生を終わらせたりはしないけど。
でも正直、これからどうすればいいのかわからない──。
楓は振り返らず、ただ足を進めた。
未来は白紙だ。復讐の次に来るのは、日常を取り戻すことかもしれないし、新しい目的を探すことかもしれない。あるいは、ただ静かに消えていくことかもしれない。だがいま、たしかなのは一歩ずつ足を前に進めていることだけだった。
歩くことで風景は少しずつ変わる。変化が必ず救いになるとは限らないが、立ち止まっていても虚無は埋まらない。
楓の影が長く伸びる。舗道のひびに生えた小さな草の緑が、夕闇に溶けていく。
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担当ゲームマスター
桂木京介
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[TOS] 戦蘭の世紀
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ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年08月29日
参加申し込みの期限
2025年09月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年09月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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