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[TOS] 狂気日食
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リオの背後から、ひとりの男が杖をついて現れた。
「ガーナックの制御機能を麻痺させる特定の周波数だ。長年の試行錯誤の末に見つけた……いわば音響爆弾」
杖を支えに姿を現したのは、新島義弘だった。レジスタンスの指導者。
四十にも満たぬというのに、骨ばった頬は老人のようにやつれ、唇には血の気がない。長くつづく病が、その身を少しずつ侵してきたのだ。それでも瞳だけは、青白い炎を宿していた。
「義弘さん……!」
サツキが振り向く。
「これは、エリオンの殞脈だ。〈奏でるモノ〉と、彼は呼んでいる」
彼の手には金属板が握られていた。幅二十センチほど、中央にピアノの鍵盤のような刻印が浮かんでいる。
「この板の内部に、エリオンの殞脈が封じられていた。発動条件は叩くこと。一度きりの切り札だ」
彼の言葉を裏付けるように、鍵盤の刻印が淡く光り、やがて消えていった。
話しながらも、義弘の息は荒い。肺の奥から乾いた咳が洩れる。
「まだ試作段階だった。調整が間に合わず、ぶっつけ本番で実戦に投じるしかなかった。だが、効果は……見ての通りだ」
リオが口を開くより先に、デルタのうめき声が響いた。
「これ……は、なんじゃ……」
吐息はかすれ、膝を折り、地に手をついた彼女の指先が砂をつかんで震えている。
桜色の髪は汗に濡れ、頬に張りついていた。立ち上がろうとして、すぐにまた崩れ落ちる。
「効いている。蘭付きにも」
義弘の声は静かだった。
「ガーナックの脚部制御を麻痺させる原理だが、上位個体にも共鳴するとは。予想以上だ」
サツキは目を細め、息を整えた。
耳の奥に、さきほどの低音がまだこびりついている。
自分の身体をたしかめる。
筋肉も神経も、いつも通りに動く。
たしかに心地よい音ではなかった。だが、悪影響は出ていない。
私は……影響を受けてない?
もし自分がガーナックならば、デルタに近い状態になっていたはずだ。
では私はガーナックではない? あるいは、別の系統に属する何か……?
デルタが顔を上げた。青白い唇のあいだから、笑みのような歪みが生まれる。
「……やはり、そちは特別か」
眼には確かな光が戻っていた。
「ドクター・サワザキの……忘れ形見」
その名を聞いた瞬間、サツキの心臓が跳ねた。
息が止まる。血の気が頬からすっと引いていく。
「何を……言ってるの?」
刃を構える手が、かすかに震えた。
デルタは嗤う。苦痛と陶酔が入り混じった声で。
「わらわがその名を知る理由、知りたかろう? ならば──」
その言葉を最後まで聞かせるつもりはなかった。
サツキは地を蹴っていた。
青白い光弧が走り、デルタの眼前に閃光が咲く。
咄嗟にデルタは防御姿勢をとる。地面が盛り上がり、土塀となってサツキの一刀を防いだ。
「わらわは量産型ではない! この程度で、事切れるはずがなかろうぞ!」
しかしサツキには見えた。着地の瞬間、デルタの脚が痙攣したのを。音響爆弾の余波だ。
なのにデルタは嘲笑をやめない。
「ふふ……その眼、その動き。やはり、人間ではないな」
「黙れ!」
サツキが叫ぶ。
このときサツキの身体は、理性という名の枷を外していた。
脳が命令を下すより早く、肉体が動く。
技術でも型でもない。
動きに秩序がないのに、そこには確かな殺意の流れがあった。
腕を振るたび空気が唸りを上げ、蹴りを放つたび砂煙が噴き上がる。
デルタの前にあった土壁が、ひと薙ぎで粉砕される。
すでにサツキの動きは獣のそれだった。
理屈ではない。ただ『敵を滅ぼす』という一点だけを目的としていた。
これが〈完殺〉。
かつて二度発動したときは、意識が途絶えた。
だが今回はちがっていた。サツキは目の前のすべてを理解している。
自分の身体が異形に近づいていく感覚も、痛みも、すべてを感じている。
それでも止められない。
どうして……私は、まだ意識があるの?
その驚きが、むしろ心を冴え渡らせた。
恐怖も痛覚もない。
思考は異様に静かで、外界の一切がゆっくりと見える。
デルタの筋肉が収縮する瞬間、呼吸の間隔、視線の揺れ。
そのすべてを利用して、突き、刺し、斬る。
さらにデルタを追い込む影があった。リオだ。
十秒目を閉じ、そこから殞脈〈静止眼〉を解放している。
サツキが、またあの状態になった──リオは理解していた。
だが、彼女は恐れなかった。
あたしは決めた。
正体が何であれ、あたしはサツキを愛し抜く。
相手が蘭付きデルタであれ、殞脈をひらいたリオには止まった標的だ。
弱々しい反撃をかいくぐり、刃を突き込む。
デルタは辛うじて避けた。ペイルメアを変形させた矛を用い、攻撃を受け流す。
しかし、サツキとリオの同時攻撃を防ぐのは難しい。
デルタのうめきは断続的だった。
膝が震え、脚部の関節がノイズを撒き散らす。
紅の外套が砂塵をはね、彼女の身体はもはや立つことすら困難だった。
それでもデルタは嗤う。
「滅びぬ」
歯を食いしばり、壊れかけた喉からかすれ声を絞り出す。
「わらわは、滅びぬ……滅びなど、ありえぬ……!」
瞳は狂信の光を放っていた。
ついにサツキの蹴りがその首筋をとらえ、デルタの身体が弧を描いて宙を舞った
デルタが落ちた先は、撃破された量産型の残骸の山だった。
燃えさしの金属がぱちりと弾け、短い光を散らす。
その瞬間、空気がねじれた。
ブツ、と乾いた音。
サツキは反射的に顔を上げた。
義弘の額の中央に、小さな黒い点が咲く。
一拍遅れて、血の花が静かに開いた。
杖が倒れ、金属板が手から滑り落ちる。
リオの悲鳴が届くよりも早く、義弘の身体は地へ沈んだ。
だが義弘の頬には微笑があった。
唇が、静かに動く。
──終わらせるな。
風が吹いた。
血の香りが、焦げた砂の上で薄れていく。
「見たか、これぞ人の限界じゃ!」
日食の終わった空に、デルタの高笑いがこだました。
サツキは地に膝をついた。
胸の奥で、何かが音を立てて崩れていく。
私は、守れなかった。
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担当ゲームマスター
桂木京介
前回シナリオ
[TOS] 戦蘭の世紀
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年08月29日
参加申し込みの期限
2025年09月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年09月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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