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[TOS] 狂気日食
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eclipse phase 3
銃弾で木の枝を折ることは、見た目ほど単純ではない。
枝は、ただの棒ではないからだ。木材は長いセルロースの繊維と、それを固めるリグニンという接着剤のような成分でできており、この組み合わせが幹から先端へと放射状に走って、枝の曲げ応力を分散する。さらに枝にはノードと呼ばれる節があり、年輪や枝の取り付き角度によって曲げ応力が複雑に伝わる。性質も一定ではない。外側は水気を含むやわらかな辺材、内側は硬く締まった心材、さらに枝に応じて反応材が生まれれば、強さのバランスはいっそう片寄る。
要するに、ただまっすぐ撃ち抜けば折れるというものではないのだ。
ならば、どうすれば銃で枝を折ることが現実的になるのか。
理屈だけなら最適解はある。まずは支点と力点を見極める。枝の付け根近く、幹に近い付け根は支点でありここを狙う必要がある。繊維の方向を意識する必要もあろう。木の繊維を斜めに切断すれば、局所に応力集中が生じ、割れが広がりやすい。最後に衝撃力が必要だ。高速弾で局所を破壊し、内部のリグニンを粉砕して繊維結合を断つ——そうすれば、枝は折れる。
以上、長々と書いてきたが、容易ではないことだけはたしかである。
だが、
ガーナックΙ(イオタ)
にはそれができた。
彼女は迷わない。狙ったのは動く標的ではなく、エリオンの足場だった。
灰白色の制服は郵便配達員のように素朴、しかし彼女は、小柄な身には不釣り合いなロングライフルを構えている。冷ややかにスコープを覗き、浅く呼吸する。
引き金がわずかに震えた刹那、銃弾は枝の繊維を縫う一点を正確に撃ち抜いた。
短くて単純な音。
張り詰めた応力が弾け、枝はあっけなく裂け落ちた。
かくして、エリオンの足場は消えたのである。
エリオンは落ちた。
風が耳を裂き、峡谷の匂いが肺を満たす。視界が回転し、岩壁と空と新世界機構の列とが天地逆さまに映り込む。
だが落下は、結末ではなかった。
細身の影が割り込んだ。叢雲あおいの姿だ。唇を噛み、殞脈(エンミラ)を発現する。
あおいのエンミラは〈瞬間移動〉。距離を跳躍するというより、空間の一点をつかんで自己の現在地と位置を入れ替える。
視覚で追えない速度で、空間を切り貼りするかのようにあおいは移動した。
落ちるエリオンを見たあおいは、ためらうことなく飛び込み、彼の背中を抱きとめたのである。空中で二人の身体が交わり、膝が宙を切る。
もう一度、瞬間移動。
視界がひしゃげ、音が遅れ、時間そのものが折れ曲がる。
土煙が舞い上がる。次に世界が正位置を取り戻したとき、二人は地上に転がっていた。
死の淵からの救出。
エリオンは胸を打つ衝撃よりも、腕に触れる温かさに驚いていた。
「あおい……来ていたのか?」
声は震え、思考も追いつかない。
だが当のあおいは、荒い息を吐きながらも、奇跡を起こしたとは思えぬほど静かだった。
汗に濡れた睫毛の奥で、彼女は薄く笑う。
「枝が折れたのは、不運? それとも」
「後者だな」
エリオンは言葉を絞り出した。
「俺など比較にならないほどの狙撃手がいる」
言いながらも、エリオンの心には妙な苛立ちが渦巻いていた。
狙撃の才を持つ自分が撃ち負けた、そう解釈せざるを得なかったからだ。
「奴はきっと──」
その先は言わない。死神とあだ名されるガーナック、『イオタ』の名はレジスタンスの間では忌むべきものとされている。
次の瞬間、エリオンは身をひるがえし、地に伏せた。銃撃はつづくはずだと直感したのだ。あおいも即座に倣い、彼の背に沿うように身を低くする。
ふたりは呼吸を殺し、木陰へと転がり込んだ。
胸の鼓動がやけに大きく響き、どこかから照準の気配が迫ってくる錯覚さえある。
しかし、弾丸は飛んでこなかった。
沈黙。風に擦れる葉の音だけが耳をかすめる。
あおいが小声でささやく。
「撃ってこない……見逃してもらった、ってこと?」
エリオンは目を細めた。
「離れたか。何か意図があるのか」
不気味な静寂が、かえって銃声以上の圧迫をふたりの背にもたげていた。
峡谷の向こうから甲高い咆哮が突き抜けた。
巨岩の崩落、連鎖する銃声、量産型ガーナックの重脚が大地を踏み鳴らす。
ざわめきは渦を巻き、戦場そのものが怒涛と化していく。
エリオンとあおいは互いの目を一瞬だけたしかめ、即座に前線へ跳んだ。
あおいがエリオンの肩を叩き、顎をしゃくった。
イオタはまだ──と、視線だけで伝える。
だが、その名を考える余裕すら消し飛んだ。
稲光が峡谷を裂き、白刃の閃きのように戦場を照らし出したのである。
光の中心に立つのは、少年の姿をした異形のガーナックだった。
「また会ったねフィン……いえ」あおいの声がかすかに震えた。「ガーナックϜ(ディガンマ)!」
やはりか、とエリオンは思った。
あれがディガンマ。
デルタの狙撃を遮った男、あきらかに常人ではないとは思ったが。
エリオンは無言で、背の鞘へ手を伸ばした。革紐を引き解く。背から外したのは、ずっしりと重い日本刀だ。左手で柄を握る。鯉口をわずかに切った瞬間、空気が震え、風が刃に吸い寄せられるように集まった。
対するディガンマは、無言のまま腕を振り下ろした。
流体金属がはじけ、破片弾と化して散った。飛沫は蛇の群れめいて尾を引き、あおいを絡め取ろうとする。
だが気づけば、あおいの影は煙のように消え、ディガンマの目前に迫っていた。
肌の匂いを感じ、息がかかるいほどの至近距離。あおいはショートブレードを振り上げている。
「──っ!」
だが、あおいの瞳は焦点を喪い、空洞のように揺らいでいた。
「予測通りだ」
ディガンマは身をひねり、流体金属の右腕を変形させていた。拳でも刃でもない、無機質な杭のような突起であおいの鳩尾を一撃したのだった。
あおいの体は折れ、重力に引かれるまま崩れ落ちた。
「あおいを……ッ!」
エリオンの叫びが峡谷にこだまする。
「殺してはいない」
ディガンマの右腕はゆっくりと元の形に戻っていく。
──あおいを殺すことは、最初から選択肢に入っていなかった。
無力化すればいい、それ以上は不要。そう理屈をつけてはいた。
だがディガンマの胸の奥には、もやのようなざわめきが残っている。
どうして、俺は。
迷いを断ち切るように、ディガンマは顔を上げた。
「次は貴様だ、狙撃手」
目の前の敵に意識を集中する。
「エリオン・ルマーレ……その名、その姿、俺のデータベースに記録されている」
あおいは気絶したままだ。動かない。
エリオンは刀を抜いた。鞘を投げ捨てる。
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担当ゲームマスター
桂木京介
前回シナリオ
[TOS] 戦蘭の世紀
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年08月29日
参加申し込みの期限
2025年09月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年09月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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