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[TOS] 狂気日食
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遠方から低く、規則正しい鉄の踏み音が鳴り響く。山の斜面を埋め尽くす黒い列の先端に、赤い光が瞬いている。
ガーナックの群れだ。新世界機構……やはりあれは、単なる威圧ではなかった。
梓楓の表情が曇る。
数週間ほど前にこのコロニーに流れ着き、働き、眠り、いくらかは人と交わった。誰かに名前を尋ねられれば短く答え、荷を運び、夜には焚火のそばで笑ったこともある。即興で踊りを披露し喝采を浴びたことも。
ヴァロラ峡谷、ようやく確立しかけた自分の居場所、それが失われようとしている。
中央広場に近づくにつれ、迫り来る破滅の影が人々を直撃しているのがわかった。ざわめきは波紋どころか、押し寄せる奔流のように広場全体を揺らしている。子どもが泣き叫び、母親が抱きかかえながら走る。年寄りは問いかけの声すらかき消され、鍋や棍棒を抱えた男たちが互いにぶつかり転倒する。軍勢の近づく音が腹に響き、誰もがそれを意識しながらも口に出せない。
鍬や鎌を握りしめた即席の防衛隊が声を張り上げ、人々を引き止めようとしていた。だがその必死の叫びも、迫り来るものの前では虚しいだけだろう。楓には、蟷螂の斧という言葉すら贅沢に感じられるほどだった。
楓は足を速め、見知った顔が怖れを浮かべているのを見つけるたび、立ち止まり低い声で呼びかけた。
「落ち着いて。屋内に戻ったほうがいい」
数人が楓に目を向け、うなずく者も少なくなかった。幾人かは心を鎮めたかもしれない。住民との距離を作らずに暮らしてきた日々が、多少なりとも信頼を築いていたのだろう。
けれど楓がもたらしたものは、あまりに脆かった。
群衆のざわめきの中、広場の片隅から甲高い声が突き抜けた。老婆の叫びだった。
「そこのあんた! あんたのこと、知ってるよ! レジスタンスだろう!」
その声は瞬く間に近くの耳へ届き、次の瞬間には別の口が反芻する。
「聞いたぞ。レジスタンスは形勢が悪いから、住民を見捨てるってな」
「いや、そうじゃねえ。住民と敵をぶつけて、自分らだけ逃げるって話だ」
「俺はこう聞いた。新世界機構は殺戮が目的じゃない、レジスタンスを差し出せば、住民は助けてくれるんだと」
「あいつがいるから新世界機構が来たらしいぞ」
「そうだ、レジスタンスが呼び込んだのさ!」
言葉は次々と重なり合う。しかし細部は微妙に食いちがっていた。流言は同じところへ落ちていかない。ねじれ、歪み、少しずつ別の色を帯びていく。
誰もが「どこかで聞いた」と言いながら、出所は曖昧なまま噂が増幅される。それは声に姿を与えられた憶測にすぎない。この星ではかつて、無責任な囁きが惨劇を呼び寄せた。何度も繰り返された悲劇だ。いまも誰かが意図的に、混乱の種を蒔いているのかもしれない。
そのどれもが真実ではないと楓にはわかっていた。
気がつけけば楓は人垣に取り囲まれている。数人、十数人、やがて二十、三十。輪は分厚さを増していく。
いくつもの顔が迫り、視線は疑惑と恐怖と打算でぎらついていた。手を伸ばしてくる者、譲歩を迫る者、腕を組んでただ見つめる者。わずかに「冷静に」と告げて楓を庇おうとする者もあったが、それは圧倒的に少数だった。
楓は息を整え、群衆の中のひとりに視線を据えた。最初に声を上げた老婆だった。
老いの濁りをたたえているはずのその目は、恐怖と憎悪でぎらぎらと燃えている。
「レジスタンス、出て行け! このコロニーから出て行け!」
細枝のように痩せた腕が楓を指差し、放たれた声は鋭い槍となって群衆の胸を突き刺した。
「私がレジスタンスだとして──」
楓は低く、しかし群衆全体に響くような調子で言った。
「私を差し出したところで、あれが止められると思う?」
楓のまなざしの先に、人々の目が吸い寄せられる。峡谷の斜面をほとんど埋め尽くす灰色の軍勢。赤い光が列をなし、地響きが唸りを上げる。もはや雪崩れだ。コロニーを埋め尽くすような。
息を呑む音。誰かが「無理だ……」と漏らした。
しかし、すぐに別の声がかき消す。
「でも、でもだ! 俺は聞いたんだ! 投降すれば、命は助けてくれるって!」
「そうだ、俺も聞いた! あんたらを差し出せば……!」
言葉は断ち切れず、次から次へと連なっていく。恐怖は理屈をねじ曲げ、望む結末だけを真実に仕立てあげる。
楓はほんの一瞬、瞼を閉じた。
脳裏に浮かんだのは、笑っていた子どもの顔。焚火の明かりの中で踊りをせがんでいた人々。短いながらも確かに存在した、あたたかな夜の記憶だった。
──だからこそ、退けない。
瞳を開いた楓の視線は、鋭かった。
そのとき。
大気を裂く轟音とともに、巨石が弧を描き、灰色の群れへ叩きつけられた。コロニーを守る投石機だ。ひとつ、ふたつ、巨石がガーナックを押しつぶしていくのが見える。群衆は歓声を上げた。
しかし歓声は一瞬にして悲鳴に変わった。どこからともなく低い熱と焦げる匂いが立ち上り、突如、斜面の一角で投石機の車輪が赤熱したのだ。次の瞬間には火柱が噴き上がり、まもなく投石機は炎に包まれる。
人々がどよめく中、楓は一瞬の隙を見つけた。
楓は肩をひとつ振り払い、足をねじ込むようにして、人垣の裂け目へ身を滑り込ませる。
人々の手が空をかく。誰かが悲鳴を上げるより早く、楓はざわめきの縁を抜け出した。
走りながら楓は気配を探る。
流言の発生源があるはず。
どこ?
自然発生的な噂にしては緻密すぎる。情報がちぐはぐなことにも意図を感じた。
誰かが、ヴァロラを内側からかき回しているのだ。
かつての自分だったら、躊躇なく住民の首根っこを掴んで問いただしていただろう。しかし、いまの楓は違う。ここには子どももいる。これ以上の恐怖と混乱は見たくなかった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
前回シナリオ
[TOS] 戦蘭の世紀
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年08月29日
参加申し込みの期限
2025年09月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年09月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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