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[TOS] 狂気日食
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明け方の小径には、秘密の匂いが満ちていた。木の枝が織りなすアーチ、苔むした石の段差、風に揺れる小さな葉。それらがささやくように道行きを祝福する中、ガーナックΦ(ファイ)は鼻先をくすぐられたように顔をほころばせた。
こんなところに道があるなんて!
ファイの胸は弾んでいた。白銀の髪が揺れ、赤いリボンがかろやかに跳ねる。誰かに見せるためでもなく、デルタの命令に応えるためでもない。ただ、自分だけの発見を喜んで、ファイは純粋に顔を輝かせている。
きっとこの道の先、コロニーにつづいてるよね……Λ(ラムダ)ちゃんのところに!
ファイの胸の奥で、何かが疼いた。
ラムダの名を心に浮かべるだけで、息が苦しくなる。心のデリケートな場所が縮こまり、どうしようもなく熱く焦げつく。
あの子が笑ってくれれば、世界なんて滅びたっていい──そんな想いが、ファイの全身を占めていた。
ラムダはまるで猫だった。その日によって、いや、同じ日でも時間や機嫌によって、ころころと変わる小さな猛獣。
陽気なときは冗談まじりに活発に話し、語尾を伸ばしては誰かをからかう。けれどその笑いの裏には、ぽっかりとした隙間があった。
それゆえかときどき、なにかに怯えるように甘えてくる。抱きつくようにすがっては、声を震わせて「守って」と頼む。その脆さが、ファイにはたまらなかった。
ラムダのすべてが、矛盾のかたまりだった。残酷で、身勝手で、そしてなにより、可愛い。
だから、いつだってファイはラムダを許してきた。どんなに約束を破られても、どんなに冷たい目で突き放されても。ラムダの媚びるような声を、泣きそうな瞳を、忘れることができなかった。
ファイは知っている。ラムダが自分を姉妹のようにしか見ていないことを。
それでも、この胸の疼きはどうしようもなく『恋』だった。
「ラムダちゃん……」
木々の間を抜けながら、ファイは唇をかすかに開いた。
何度も唱えたくなる名前。呼ぶたびに胸が苦しくなり、頭がぼうっとする。
ねえ、ラムダちゃん。
あなたは私のものになってくれないの?
私だけを見てくれないの?
ラムダがレジスタンスの手に落ちた、そればかりか、レジスタンスと共に行動している──そう聞かされたとき、ファイは笑った。最初の一秒だけ。
でも、笑みはすぐにゆがんだ。冗談ではないとわかったからだ。
「ねえ、それ、どういう意味!?」
問い詰める声は、まるで母親が子どもを責めるように苛烈だった。
信じられない。ラムダちゃんが? 誰よりも『こちら側』のあの子が?
裏切った、という言葉が頭をかすめた。
でもファイにはそれが現実のものとして飲み込めなかった。飲み込んだ瞬間、自分の中の何かが壊れてしまう気がしたからだ。
「そんなわけないよ」
笑ってみせる。唇は笑っているのに、声が震える。
「ラムダちゃんはきっと、騙されているだけだよ! 洗脳されたのかも!」
それでも、現実は残酷に突きつけられた。監視映像。通信記録。ラムダを追ったものどれを見ても読んでも。
ラムダはレジスタンスと揃いのナノスーツを着て、知らない人間たちとともに戦っていた。怯えたような表情も多かったが、レジスタンスに無理矢理やらされているのではないと直感した。まれにだが笑顔も混じっていたから。
その笑顔が、ファイの心臓を針で刺すように痛めつけた。
……どうして?
ラムダちゃん、どうしてあんなところにいるの? どうして、私のいない場所で笑ってるの!?
怒り。
嫉妬。
痛み。
それらが溶け合い、ファイの中で異形の情熱に変わっていく。
レジスタンスなんてどうでもいい。みんな、壊してやる。
だからファイはそう決めた。
歯を食いしばり、唇の端を上げる。涙と笑みの境界が曖昧になる。
ラムダちゃんを連れ戻す! あんなとこにいるの、似合わないもん!
だいじょうぶ。だいじょうぶだよ、ラムダちゃん。いま行くからね。
小径はやがて狭くなり、木立が押し寄せるように密集する場所へとつながった。ファイはぴょんと段に乗り、身をかがめる。世界は一瞬だけ静止した。木々の陰に、無機的な造形が並んでいたから。
センチネル──重装甲型の量産機が、無表情に幅を塞いでいる。鋼の甲冑は重厚で、砲塔が黙して並ぶ姿は門番そのものだった。量産型同様の没個性な少女の顔がついているが、アンバランスなことこのうえない。数は少なくなかった。三、四体か、いやもっといるかもしれない。
この道を見つけたのは、私が最初じゃなかった、ってことだね。
発見者はおおかた、新参者のオメガだろう。抜け目のない女だという話だ。
えへん、と仰々しく空咳してファイはセンチネルの前に姿を見せる。
「通してくれる?」
これで道は開く、と思いきやアンドロイドたちは、聴力がないかのように動かなかった。
「……通さないって言うの? 私、ファイだよ、蘭紋〈オーキッド〉の」
あきれた、と言わんばかりのため息交じり。ふざけた問いかけだったが、やはり相手は動かなかった。
電子音で回答が来た。ファイにはわかる。[あなたを通すことは、デルタ様の命令にありません]と言っているのだ。
「ふぅん」
と何気なく返すも、ファイは目を吊り上げていた。
「そーかー、私の言うこと、聞けないって言うんだー。だったら」
ファイはリボンを解いた。赤い紐がするりと手の中に収まる。ひらりとファイが振ると、空気を切る鋭い金属音が立つ。すでにリボンは、ただの布ではなかった。
「壊して通るしかないよねっ!」
プレゼントの入った箱を開けるような口調。
次の瞬間、リボンが閃光のように走った。硬化したリボンがしなり、センチネルの装甲を易々と切り裂く。金属片が散り火花が跳ねるたび、ファイのリボンは形を変える。刃から鞭へ、そしてまた刃へと自在に様相を転じていった。
これを受けてセンチネルは反撃に転じた。[軍令違反と判断します]的な戯言を並べ立てるが、ファイはまったく聞いていない。
センチネルのひとつが巨腕を振り上げた。ファイは軽く跳び上がり空気を踏みしめた。空気を足場として〈硬化〉させたのだ。
ファイの能力は、接触するものすべてを硬く変えてしまうこと。リボンであろうと空気や水であろうと、ファイにとっては武器となり壁や足場となる。わずか数秒という制限があるがそれで十分、見えない階段を駆け上がるように宙を舞い、センチネルの背面からリボンを振るう。
「やっぱり、空を歩くって気持ちいいっ!」
リボンの先端で弧を描くと、その刃がセンチネルの装甲の継ぎ目に突き刺さった。金属同士が摩擦する音が耳障りな音を立てる。しかしそれもつかの間、剣先は思ったより滑らかに入り、センチネルの表面に小さな亀裂が走る。瞬時に装甲が割け、青色灯の服従回路が砕け飛んだ。
「さあ、次はどの子?」
そこからはもうファイの独壇場だった。ファイは新体操選手のように身体をひねり、回転し、跳躍する。ほどけた髪が放射線状にひらく。まるで花、満開の花。だが散らばる花弁は、切断された金属の破片だ。
やがて突破口がひらくもファイは止まらなかった。
すべて、片付けるつもりだ。
目の前に立つすべてが、ラムダを奪った世界の象徴に見えたから。
微笑みながら、リボンを投げる。
螺旋のように舞い、複数のセンチネルを貫く。鋼が砕ける音が連鎖し、爆風が森を震わせた。
「よーくわかった?」
リボンをくるくると巻き戻しながら、ファイはセンチネルの一機に微笑した。
「私に逆らったら、ただじゃすまないんだから」
返答はない。
「……って、もうみんな死んじゃったか」
くすくすと笑う。爪先で、砕けた装甲を蹴り飛ばした。
待っててね、ラムダちゃん。今度こそ、絶対に連れて帰るから。
荒れた山道を進む彼女の足取りは、やはり軽い。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
前回シナリオ
[TOS] 戦蘭の世紀
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年08月29日
参加申し込みの期限
2025年09月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年09月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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