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予定していた古書店に着いた。
当初からの目的地、週末しか開かない小さな店だ。ドライブデートといっても古書店を目指すというのが、自分たちらしくていいと綾花は思う。
コインパーキングに車を駐め、住宅街の細い道を抜けると、白い壁に蔦のからまる古びた建物が見えてくる。
控えめな看板には『古書 月舟』と記されていた。
かつて一度
、訪れたきりだが、その印象は鮮明に残っている。
「着きましたね」
わかっていることだが確認せずにはいられなかった。綾花の意思が伝わったか、
「うん。今日はやってるみたいだ」
と珪もしっかりとうなずく。
ホームページやSNSはおろか、そもそもインターネット上に情報のない店だ。開いているかどうかは、足を運んでたしかめるしかない。最初の遭遇からして偶然だった。倉庫かと思った建物が、れっきとした店舗だったのだから。
木製のドアを押すと、馥郁たる紙の匂いがふたりを迎えた。昼下がりの光が細い窓から差し込み、棚に並ぶ本の背を照らしている。
古書店は、一般の書店とはルールが異なる。並び方に決まりはなく、店ごとの個性が色濃く反映されるのだ。
入ってすぐはベストセラー、そのすぐ近くには雑誌……といった定石は古書店にはない。希少本を最前列に飾る店もあれば、大量の歴史書で迎撃してくる店もある。特定の出版社の小説ばかりで目が回りそうになる店、在庫の半分がアイドル雑誌という店、BL同人誌では追随を許さない店だってあるのだ。
そして『月舟』といえば、写真集だ。
綾花は真っ先に写真集のコーナーへ足を向けた。並んだ本の中に、思い描いていた名前を見つけ、思わず声を詰まらせる。
「こ、こ、こ、これ……!」
まさか現存しているなんて。
棚から引き抜いたのは、有名な猫写真家の絶版写真集だった。
表紙に描かれたにゃんこの無邪気な瞳がこちらを見返してくる。めくってみると、本当に素敵な写真ばかりで失神しそうになる。
写真のレベルは高く、写真家も有名なので売れる要素はあったと思うのだが、不幸にして出版社が倒産し、全国に本が流通することはなかったという。写真家は別の出版社を当たろうとしていたようだが、話が実現する前に亡くなってしまった。ゆえに本作は文字通り幻の一冊となった。知る人もそう多くはない。
綾花はこの写真集をずっと探していた。前回来店時は見つからなかったし、インターネットの情報でもヒット数はゼロだった。
ところが今日、しかも店に来るなり見つかったのだ。まるで本が、綾花を待っていたかのように。
「即買いです」
そう言って両腕で抱きしめるように写真集を抱える綾花を、珪は少し驚いた顔で見ていたが、すぐに口元をほころばせた。
「電撃作戦だね」
などと不思議な表現で評価する。
かくいう珪もまた、まもなく詩集の棚に足を止めたのだった。古びた背表紙を指でなぞりながら、ある一冊を取り出す。
「これ……学生の頃に図書室で読んだ詩集だ」
声がわずかに昂(たか)ぶっていた。
「もちろん絶版だよ。ほとんど部数が出回らなかったからね。その後文庫で再版されたけど、いくつかの詩が割愛されていたから。原本で見つかったのは幸いだ」
珪の声がはずんでいる。
とにかく買うことを優先したくて、結局、その日はほとんど店内をめぐることもなくレジに向かった。綾花も、珪もだ。
それぞれに手にした本を抱えて店を出ると、外はまだ初夏の陽射しに包まれていた。
「新しい場所に行くのもいいですけど、こうして前に来たお店をまた訪れるのも楽しいですね」
にゃんこ写真集を胸に抱きしめながら、綾花が目を細める。
「そうだね。同じ店でも、前とはちがう発見があるから」
珪はそう答えつつ、腕に抱えた詩集の背表紙を親指でなでた。
「見つけた本を一刻も早く自分のものにしたくて、なんだか逃げるように出てしまいました」
綾花は小さく肩をすくめると、思い出したように顔を上げる。
「──あ、そうか。これが、珪さんの言うところの……電撃作戦、ですね」
「作戦成功といったところかな」
ふたりは思わず顔を見合わせ、声をそろえて笑った。
笑い声に初夏の風がまざり、帰り道は来たときよりもずっと短く感じられた。
「珪さんも素敵な本に出会えてよかったです。まだ行ってないコーナーも、次は一緒に見てみたいです」
「絵画集の棚なんかも、今度はのぞいてみようか」
何気ないやりとりが、綾花にはたまらなく愛おしい
「……珪さんと一緒に来れてよかったです」
気持ちがあふれ、自然に口をついて出る。
歩調を合わせて車に戻る途中、綾花はそっと心の中でつぶやいた。
デートのたびに、珪さんの新しい魅力に気付いてる気がします。いままで知らなかった一面や、優しさに……。
サングラス姿。
閉店してしまった書店への想い。
ドゥームメタル。宇宙船。
彼のなかにあるという心の壁。
そして、古書店での電撃作戦。
「ありがとうございます」
思わず小さな声が漏れた。珪には聞こえなかったかもしれない。
「急いで出てきちゃったから、夕食までまだ時間があるね。海岸線でも流そうか。砂浜のコンディションによっては、波打ち際まで出てもいいし」
彼の優しさを当たり前だと思うことはきっとない。だからこそ、毎回こうして胸を高鳴らせてしまうのだ。
私も、同じくらいドキドキさせたい。珪さんにしか知られない私の魅力、あるのかな……。
陽のかたむきはじめた街を、黄色いセダンはふたたび走り出す。助手席の膝の上には、にゃんこ写真集の心地よい重み。
たしかなものを抱きしめて、綾花はそっと目を閉じた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年08月13日
参加申し込みの期限
2025年08月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年08月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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