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雨雲が切れ、濡れた道に午後の光がきらめいていた。
駅前に迎えに来てもらい、黄色いセダンに乗り込んでからまだ数分しか経っていない。
車は道路の上をすべるように走る。
何十年も前の型で、クラシックカーと呼んでも差し支えないだろう。けれど塗装は何度か塗り直され、タイヤも定期的に取り替えられている。雨粒の跡を残したボディはやわらかく輝いて、古さよりもむしろ、長年大切に扱われてきたことを物語っていた。丸いヘッドライトの奥ゆかしい形、フロントミラーや四角いボディの無骨さは、年月の重みを纏った風格さえただよわせている。
助手席の
綾辻 綾花
は、窓から流れ込む初夏の風に身をゆだねていた。小柄な体を包むのは、やや地味目のブラウスとスカートだ。布地は午後の陽射しをうけて、六月らしい穏やかな色合いを帯びていた。
ハンドルを握るのは
早川 珪
だ。雨が上がって日差しが強まったせいか、今日の珪はめずらしくサングラスをかけている。普段は素顔のまま運転する彼だけに、薄い茶色のレンズを通して光を映す横顔は新鮮だった。フレームは飾り気のないシンプルな形で、ハリウッド俳優のような雰囲気だ。普段とちがう精悍さに、綾花は胸の奥が甘く高鳴るのを抑えられなかった。
カーステレオからは昔のJ-POPが流れていた。綾花が小学校に入るか入らないかのころ、しょっちゅうCMで聴いたような曲だ。甘ったるいメロディと平板な歌詞は、懐かしさよりもむしろ気恥ずかしさを呼び起こす。それでも古いカセットテープ特有の丸い音質が、車体の振動と溶け合って、不思議と心地よく響いていた。
女性ヴォーカルのラブソングに変わった。クラスメイトに切々と愛を告白する歌詞だ。サビのメロディはよく街中でも流れていたと思う。
「この曲、聞き覚えがあります。好きなんですか?」
「いや、知らないなあ。実家からもってきたカセットテープを流しているだけだから」
「カセットテープ?」
「うん。学生時代に友達からもらったんだと思う」
ダッシュボードにあったケースを見ると、ボールペンの字で『My Favo
l
ite』と手書きされているのがわかった。筆跡からしておそらく、女性が作ったものだと思われる。惜しむべきは、『Favorite』のスペリングがまちがっていることだろうか。
やっぱり珪さん、モテるんですよね。昔っから。
選曲した彼女の想いは、きっと何ひとつ届いていないだろう。届かないのではなく、受け取る回路そのものが珪には欠けているのかもしれない。
綾花の視線はフロントガラスの向こうの街並みに向けられていた。初夏の光がアスファルトを淡く照らし、街路樹の緑は風に揺れ、光と影とが交錯する。
ふと、以前ふたりで訪れた小さな古書店の前を通りかかった。けれど店構えが変だ。理由はすぐにわかった。
入口には『閉店』の貼り紙があり、扉のガラス越しには棚の影が見えるだけだった。
綾花は息をのむ。あの店で過ごした時間の温度が、ふいに胸に蘇った。
「珪さん、あの本屋さん」
「あっ」
珪も気づいたようだ。速度を落として車を側道に止める。
「見に行っていい?」
「私も、見たいです」
車を降りてシャッターの前に立つ。
『当店は五月末日をもって閉店しました。長年のご愛顧、誠にありがとうございました。』
「なくなっちゃったんですね……」
このごろ書店業界が不景気だとは聞いていた。報道も目にした。だがシーサイドタウン駅前の大型書店はリニューアルして、ブックカフェまでそなえて賑わっている。書店不況の波があるにしても、まだ寝子島には届いていないと思っていた。
それだけに、寂しい。
「珪さんと一緒に行った場所は覚えてるので、もう一度おとずれたかったですね」
少なからずショックを受けているのだろう。綾花のつぶやきに珪は応じない。
「小さなお店だったけど雰囲気が良くて長居しちゃったんですよね」
と言うと、今度は応じた。
「……うん。本当にいい店だったよ。奥の棚には絵本や児童書がぎっしり並んでいて、親子連れが気楽に立ち寄れた。かと思えば、古典文学や詩集も充実してて、背表紙を眺めているだけで時間が過ぎていったのに」
なんていうか、と珪はつぶやきながらサングラスを外した。
あらわになった瞳は、光を受けて琥珀色に揺れているようにも見えた。口もとにわずかばかり笑みを浮かべてはいるが、それが楽しげなものではないのは明らかだった。懐かしさと寂しさ、そして言葉にできない後悔のような影が横顔を彩っている。
「人の温度、っていうのかな。温かみがある書店だった。先月はあまりこっち方面に来なかったものだから……油断してたよ」
行こうか、と告げて車に戻った珪は、それからもしばらく無言だった。
こうして──。
流れゆく街の姿に視線を向け、綾花は思う。
こうして、すべては移ろいゆく。
それでも、珪さんと私の間は永遠だって思いたいです。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年08月13日
参加申し込みの期限
2025年08月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年08月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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