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禍語<マガタリ>
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【心の闇】
「いれろ」
すぐに立ち去ればよかった。そうすべきだった。しかし往々にして、すべきときに実行できないのが人間であるとも思う。そうでなければ、この世にすれ違いやいさかい、争いごとなど起こるまい。
「いれろ。いれろ。はやく」
などとつまらない思考は場をしのぐ手段とならない。
月原 想花
は流水に惑う木の葉のごとき心持ちで、つい足元から届く声へ耳を傾けてしまった。良くない対応だった。
「いれろ。いれろ。いれろ。いれろ」
「あの。な……なにを?」
マンホールだ。日本中、ことに主要都市ならあちこち見受けられるだろう、図柄の刻まれたマンホールだった。寝子島流に波乗りサンマさんなど描かれたマンホールのフタが少しばかりずれて開いており、その隙間から声が届くのだ。
男の声だった。女の声で、子どもの声だった。しわがれた老人の声で、幾重にも反響しつかみどころがなかった。想花は地下に伸びる広大で深淵な空間を思い浮かべ、とこしえに住まう闇の住人の節くれだった手足や溶け落ちた頬肉を想像した。
「…………」
「あれ。あの、もしもし? 誰か……いますか?」
なぜ立ち去らなかったのだろう。いかにも尋常でない、怪奇との邂逅だ。無視して歩み去ればよかった。そうすべきだった。
しかし想花は対話を試みてしまった。なぜだろう。まだ初夏であるとも思えない、この猛暑に頭が茹っていたのだろうか。たしかにふらふらとするし、水分補給もしばし忘れていた。熱中症気味であったのかもしれない。
それにどうにも、奇妙なのだ。想花は往来へ屈みこみ、足元のマンホールの隙間がわめく声に応対しようというのに、まるでいない者のように、行き交う誰も想花へ目を向けようともしないのだ。
「はやく」
「だから、なにを……?」
「いれろ。
青空を滑空する雄々しき翼を。まじないがたなごころより炎雷出でて緑の小鬼を討つ様ときたら。勇ましき美丈夫の筋骨隆々、闇より這い出せし悪の真髄を一刀両断。麗しき乙女の涙は王冠となり頭頂へ戴けば獅子王咆哮す、されど欲深く蛇の女王に巻かれ大渦の底へ真っ逆さま、スクロールに刻まれし星霜の巡りに獄炎は天へと舌を伸ばし、さあいざ今よと解き放たれる氷の刃の凛々しさを捧ぐはいまだ無垢なるかの酒場の娘
」
思わずぽかんと口を開けた。この羅列はなんだろう。ポエムだろうか。持ってまわったような言い回しには一応にして一連の流れがあるように思えるが、声が言わんとするところはさっぱり分からない。
「……? ??」
目を白黒させていると、響く声はさらに勢いを増しながらほとばしった。
「
少女身に纏うは先祖伝来の胸当て肩鎧、青きレオタードは風を切り疾駆する一角獣の背に乙女騎士の剣の閃き、振るうNix glacieの霜烈吹き荒び刃と成す! 轟! 轟と荒れ狂い氷獄竜のブレスがごとし! 怨敵仇敵仮面騎士、鋭迅にして重厚万鈞の斧は謂れなき憎悪に焦がれ颶風巻き上げ苛む、悪鬼の旗の翻り闇黒背負いし巨躯へといざ立ち向かう。嗚呼! 嗚呼! 極低温の貫き
いれろ」
「……あの。ちょ……ちょっと待って」
想花は狼狽を隠せなかった。思い至ったからだ、声の言わんとするところへ。
ぼうと灯った。頬は紅潮し、眼鏡のレンズが己の発する湯気でくもりそうだった。
「
双星相極す、冷禍と闇獄の饗宴高まりし黄昏の空は輝きの涙を零す! 地鳴り天哭き雷鳴嘶き岩峰は炎噴き上げる! 朱に染まる浅海のほとりにてひとひらの命さえうち捨て挑まんとする我らが乙女の研ぎ澄まされし霰刃は遂に遂に真芯を穿つ、嗚呼! 嗚呼、崩砕し暴かれたる仮面の内より垣間見るその面こそは求め求めた、往昔の友の名残りよ……
いれろ。はやく」
「……えっと……」
紡ぐべき言葉には思い当たるものがあるものの、口にするのははばかられた。往来の関心は自分にないとはいえ、結局のところ世に出ることなく埋もれた一節であったから。
それでも、今を置いてほかにあるまいと思い直すと、想花は意を決し、目を伏せ、声に乗せてマンホールへと落としこんだ。
「……りゅ。竜は天高く舞い上がると、旅立った。二度とふたたび、王国へ姿を見せることはなかった……」
がこん、とひとつ音がした。おそるおそるに目をひらくと、フタは完全に閉まっている。声も気配もすっかり失せ、かわりに眉をひそめた通行人が、怪訝そうな顔を浮かべてこちらを見下ろしていた。
「っていう話なんですけど……」
「ふうん? なんだかよく分からないわねえ」
和菓子屋の店先に腰かけた青年は、ごまだんごをくわえながらに疑問を呈した。オカルト話が聞きたいというから語って聞かせてやったが、お気に召さなかっただろうか。
「穴の中のヤツが延々口走ったその大言壮語がなんだっていうの? どうしてあなたはそいつのほしい答えが分かったの?」
「それは……その」
もごもごと口ごもる想花を、青年は不思議そうに見やる。
だんごと茶の代金を持つという条件で話すことになったのだから、口に出さないわけにもいくまい。
「……あの声が語ってたのは、言葉こそ難解でもったいぶった言い回しだったけど、内容はぜんぶ、その。ぼくが中学生のときに書いてて、途中で放り投げた小説とまったく同じだったから……誰にも見せたことなんてなかったのに」
いわゆるひとつの、黒歴史であったらしい。
青年は腕組みし、ひどく真剣な顔をして、大仰に、しかし力強くうなずいた。
「それは、コワイ話ね……月村さんでも、それだけはどうにもならないわね。おおコワイ」
誰の心にも、秘密の闇が潜むものなのだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
9人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年07月02日
参加申し込みの期限
2025年07月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年07月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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