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芽吹く約束。預けた想いの向かう先
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春霞も薄くなり、徐々に夏の空気すら纏い始める5月。
大型連休も中盤となった今日は、少しばかり強い日差しがエノコロ岬に降り注いでいた。
緩やかな坂道の脇に咲く季節の花と、伸びやかに葉を広げる草木たち。目に映るあちこちで初夏の色が煌めいているのに、ほのかな塩気を含んだ風だけは、どこか春の気分を残したままだ。
ひんやりとした感触は、汗ばみ始めた身体には心地よいけれど……
綾辻 綾花
の気持ちには、少々冷たすぎたらしい。
(5月になったらって言ったけど)
緊張した面持ちで、灯台へと目を向ける。正確にはそのもう少し南側――今は木々の向こうに隠された、優しい音色を奏でている猫恋の鐘のある辺り。
(……今度こそ、提出できるんですよね?)
猫神と天女の伝説になぞらえて、恋人たちの丘とも呼ばれるようになったこの地に、新しく根付き始めている恋人宣誓書。それは土産物屋で買える記念品で、何かを法的に証明するような大それたものではないけれど、綾花はずっと
早川 珪
と提出できる日を待ち焦がれていた。
去年の秋は、
『今の』僕らは恋人じゃない
なんて思わせぶりに諫めて。
ようやっと恋人になれたと思った先月は、
この誓いを小さな思い出ひとつに終わらせたくない
と、真摯に。
それが、珪らしさだと思う。優しいけれど責任感が強すぎるところがあって、こうと思えば真っ直ぐで。
改めて好きだなと、記念品ならと軽んじられなくて良かったなと、誠実に想われていることに幸せを感じたのは嘘じゃない。だけど……それと同時に、素直に喜びきれない自分も確かにいたのだ。
「……寂しかった、です」
思わず漏れた言葉に、トートバッグを抱え直す。
聞き分けのない子供でもあるまいし、言わずにしまっておけば良いものの……黙って、抑えて、小さな棘として心の内に残しておきたくなかった。
(今日の誓いが、小さな思い出ひとつに終わらないって、珪さんが思ってくれるなら)
抱えてきた思いを言葉にすると、小さいと感じていた割に胸の奥へ沈み込んでいく。けれど、幸せで上書きして見なかったことにするのは、やっぱり何か違う気がして。
気まずい沈黙が訪れるかもしれないと、綾花は息を潜めて珪の様子を窺う。でもその顔には後悔はなく――珪の心の内を聞きたいと、少しの不安で瞳を揺らしながらも彼を見つめた。
嘘など暴かれそうな瞳を前に、珪はばつが悪そうに視線を落とし、言葉を探す。
瞬き、僅かに眉尻を下げていたけれど……すぐに小さく頭を振って正面から綾花と向き直った。
「……いっぱい、待たせたよね。ごめん」
教師として崩せない立場もあっただろうし、生徒として守ろうとしてくれていたこともあるだろう。
遠回しに、でもしっかりと伝え続けた好意だって、彼の過去を思えば戸惑わせてしまったはずだ。
「どうして……珪さんは悪くないです。ただ私は、寂しかったって知っておいて欲しくて、それで」
「違うよ。綾花さんの優しさに甘えていたんだ……いろんな理由で、自分を正当化してね」
過去から立ち直れずにいた珪にとって、自分に向けられる好意はどれも同じだった。
相手の気持ちに気づける余裕がなかったことも多いけど、告白をされたところで他人事のように思ってしまうし、数を重ねれば断ることにも慣れ、心を痛める感覚すら少なくなって。
「好きなんだったら思い続けられるとか、いつまでも待ってもらえるだなんて……傲りも甚だしいよね」
前を向き、初めてようやくわかった想いの温かさと、こうして隣を歩けるようになって初めて気づいた、失う怖さ。
決して綾花に思われることは、当たり前ではない。待たせて傷つけたことを謝ったって、手を掴めなかったかもしれないのだ。
「本当に、待たせてごめん……寂しい思いもさせて、ごめん。それでも、待っていてくれて……ありがとう」
ぎこちなく笑う珪は、綾花の許しを請うように手を差し出す。
その手は震えてこそいないけれど、春風にさざめく木の葉が彼の緊張を代弁しているようだった。
「私は……珪さんが好きだっただけですよ」
そっと指先を重ねて微笑めば、2人の間に流れる空気が少しだけ緩んだ気がした。
確かに卒業するのは待っていた。珪に振り向いてもらえる日も、ある意味で待っていたのかもしれない。
でも――ただ大人しく、じっと待っていたつもりもなくて、綾花は続きをどう紡ごうかと考える。
思いを寄せていた3年間、告白をした先月。確かな歩みの中で、改めて珪に伝えたい想いがあるだろうか。
「ねえ、綾花さん……このまま、まっすぐ行くのもいいけどさ」
陽光に照らされた珪は少しホッとしたように笑って、手を握り返す。指先から伝わる温もりに、さっきまでの硬さが互いに解れていくのを感じた。
「少し、遠回りしてみない? ちょっと寄り道しながら……もう少しだけ、話したいんだ」
風がまた頬を撫でる。けれど今度は優しく、春から進もうとしている温かさ。
もう、卒業したてではない。
今日こそ出すのだと、念を入れて約束だってした。
……だからこの『遠回り』は、きっとただの道順のことだけじゃない気がする。
「少しだけ、ですよ?」
草木が太陽に向かって葉を広げるよう、2人で未来に手を伸ばしていくために歩く道。
それは足早に駆けていくものではなくて、大事に踏みしめていくものに思えた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年06月20日
参加申し込みの期限
2025年06月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年06月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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