【七夕】飛べ、天の川！　ラブラブ♪ランデブー！｜リアクション

【七夕】飛べ、天の川！　ラブラブ♪ランデブー！

【私だけを見てほしくて】

「凪ちゃん、どこへ行ってしまったのじゃ……？」

　そわそわと周囲を探し回る夏神。
「凪ちゃん！　凪ちゃん！　いたら返事をするでござる！」
　必死に呼びかける彼の声に応えたのか、背後から小さな手のひらが夏神の手を優しく握った。
「……ここ……いる……」

　魂行凪は無垢な瞳を夏神に向ける。
「凪ちゃん……！　心配したでござるよ！」
「……ごめん……はぐれた……」
　夏神は急いで協力してくれた友人たちに一通り連絡を入れ、感謝の言葉を述べた。
「離れては危ないでござる」
「……心配？」
　魂行は夏神の目をじっと見つめたまま尋ねた。
「私……いなくて……心配……？」
「当然じゃ！」
　夏神は握られた手をしっかり固く掴んだ。
「拙者、もう凪ちゃんを離さないでござる」
　彼の力強い言葉に、魂行は頬を朱に染め上げた。
「……うれしい……」
　夏神も咄嗟に出た自分の言葉にのぼせ上がる気分になった。
「そ、そういえば、ねこったーで珍妙な噂が流れておるな」
　夏神は『恋愛成就のご利益アリ！？』という触れ込みの噂を思い出した。
「なんでも、短冊を吊るすと空が飛べるそうなのじゃ」
「……いきたい……」
　言葉をうまく話せないという障害を抱えており片言でしか会話する事が出来ない魂行。
　しかし、彼女は夏神の手を引っ張り、興味があることを示す。
　夏神もそれを汲み取り、彼女へ笑顔を向けた。
「間近で眺める天の川でござるか……。悪くない。七夕であるから短冊も書き込んで竹笹に吊るすとしよう」
　魂行も無言で頷く。
　早速２人は願いを短冊にかけると、すぐに体が宙を舞う。
「噂は本当だったようじゃな！」
　夏神が感心していると、魂行は右手を差し出してきた。
「……一緒に……」
「うむ、ともに参ろう」
　２人は優雅に天を舞い、厚い雲の中を突き抜けていった。

　夏神零と魂行凪：飛行開始