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九龍 シーサイド・アンダーグラウンド
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【昇華】
人になる、とはいかなることでしょう。
桜井 ラッセル
も、今や『
八幡 かなえ
』の名を得た
晴月
も、その本質こそ理解しながらも、あれこれと付随する感情や性質の変化にまでは気が付いていなかったのです。あらためて考えてみれば、当たりまえのことではありました。彼女は、晴月はもはや、風の精ではないのですから。
『ねえ、この子桜井くんの彼女じゃなかったっけ? シーサイド九龍のほうに行っちゃったみたいなんだけど……』
不幸中の幸いでした、顔見知りがその姿を目撃しており、なおかつ彼女にラッセルへNYAINで知らせてくれる程度の親切心の持ち合わせがあったことは。
木天蓼大学でできた友人のひとりである彼女によれば、晴月と思しき人影は周辺一帯でも後ろ暗い噂によって認識されがちである、かのシーサイド九龍の路地へと消えていったというのです。できれば少しばかり追いかけて声をかけ、可能ならば引き戻してほしかったところですけれど、もちろんちょっとした顔なじみ程度の相手にそんなことまでお願いすることはできません。
『教えてくれてサンキュー、行ってみる!』
ラッセルはアトリエを飛び出すとタクシーを拾い、シーサイドタウンへと向かいます。
シーサイド九龍。寝子島の暗部。明かされぬアンダーグラウンド。そこで起きたいかなるいさかいも事件も世につまびらかとなることはなく、闇に葬られるばかり。スネに傷を持つ者たちが常にたむろし、暗躍し、寝子島に起こるあらゆる犯罪の温床ともなっている……と挙げればキリがないくらい、ロクでもない噂には事欠かない場所です。
まさか自分が身をもって、その真偽を確かめに向かうこととなろうとは。ラッセルはごくり、唾を飲み込みます。学生時代には日常・非日常問わず数多のトラブルに巻き込まれ、荒事もいくつか経験してきましたけれど、だからといって慣れるということもありませんでした。
それに。
「ろっこん使って駆けつける、なんて芸当ももう、できなくなっちまったしな……」
神なる魂はいまだ身の内にいくらか宿っているようですけれど、今やそれを自らの意思で具象化することはかなわなくなってしまいました。カナリアとなって風に乗り、猛禽となって大空を駆け抜けた日々へ、ラッセルはどうしようもなく寂寥とともに思い馳せました。ああ、雲よ。風よ、青空よと。
「っと、ここで降ります! 釣りはいいッスから!」
投げつけるようにして料金を支払うと、ラッセルは一目散に胡乱なビル群へと……飛びこみかけて、
「このナリじゃ、浮いちまうかな……?」
ちょうど目の前を、派手な色柄のシャツを着たチンピラめいた男たちが歩いてゆくのを見かけ、ラッセルは手近な古着屋へと駆け込みました。郷に入っては郷に従うべきとの判断から、彼もまたド派手なシャツを上着代わりに羽織り、胸元を開け、おさげ髪をほどいてぞろりと流すと前髪を上げ、自分なりのヤンキー・不良・チンピラスタイルを体現することにします。明るいシーサイドタウンの街並みには浮いてしまうとしても、シーサイド九龍の暗がりにならば多少なり溶け込むことができるでしょう。
「よしっ……待ってろ、晴月」
葉月の胸に芽生えた、それはきっと最初の感情だったのでしょう。
「……あ……う」
「聞いてる? お嬢ちゃん。だから、向こうにいい店があってさ。そこで茶でも飲みながらさ、ゆっくり親睦を深めましょうってね。そう言ってんのよ、分かる?」
いかにも、な男でした。いかにもチンピラ。いかにもな下衆。ほの暗くうらぶれた路地に似つかわしい、アンダーグラウンドの住人。
「い……いや」
「嫌? そう? まあ最初はそうかもな、けど時間が解決してくれるさ。ものは試しってやつだ、とりあえず行こうぜ。細かいことは店入ってから考えりゃいいからさ」
「い、嫌。イヤ!」
晴月の両手が空を押しました。ひゅるりとそよ風も吹かず、男は怪訝そうに首を傾けただけ。
「あん?」
「あ……わ、私、風の精で……風が……でも、もう」
「風邪引いてんの? そりゃいけない、俺の部屋来いよ、薬あっから。いやいや安心しなって、そんな怪しくない、ギリギリ合法のやつだから……」
「晴月!!」
駆けてくるラッセルの姿を認めるなり、葉月の表情は感情の爆発によってまばゆく輝きました。
彼女の手を引っつかみ、やみくもに走り抜け、裏路地からシーサイドタウンの大通りへの脱出を果たした直後。
「こ……こわかった。ラッセル……私、こわかった……!」
「ああ、うん。よし、もう大丈夫だから」
泣きじゃくる恋人をなだめ、髪をなぞり背を撫でてやるうち、ラッセルはようやくにして気づいたのです。
以前であれば風を吹かせて、つまらないチンピラのひとりやふたり、あるいは三人四人など吹き飛ばしてしまえたはず。
人に『成る』とは、そういうこと。己を守る鎧も敵を貫く武器も投げ捨て、残されたのは裸の心と、恋しい人を抱きすくめるための生身の両腕だけ。
「……ラッセル」
「ああ、もう怖くないぞ。大丈夫か?」
「その服と髪。かっこいいけど、似合わない。ラッセルじゃない」
「……言われなくても、もうやらねーよ」
前髪を下ろして、ほうと深く息を吐き、ラッセルは彼女のなめらかな髪をなぞります。
今はただ、思うのです。空を舞う風も翼もいらない。ただこの腕の中、ぬくもりひとつあればいい。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
ホラー
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
8人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年04月20日
参加申し込みの期限
2025年04月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年04月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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