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ヒゲ猫ペンシルと、魔法商店街のはじまりの香り
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【異聞】
はじめに目を潰す。常道だな。
「やはり炎に弱いようだ。みんな、火の"致命"を目に集中して攻撃を」
「さ、下がってください~!」
綾辻の声に飛び退いた八神のまさに立っていたところを大ムカデの連なる足が薙いでゆく。巨躯は縦横に動き回り気を抜けばすぐさまつぶされピザ生地のようになるだろう。ずいぶん昔に花緑青駅へ出向いた時に口にしたが、あれは実にウマイ。
山を相手にしているようなものだ。八神のいかに観の目といえどすべてを把握することはできまいが、綾辻の予言とそれにともなう早川の迅速な対応、初瀬川の的確な解析や佐和崎の変質による牽制も相まって、連携はうまくいっている。
「すまない、助かる!」
八神の両碗、杖と一対の前腕覆いが真価を発揮する。霊界イスノキの特性を活かし魔法の源をそこへ蓄積し、高めて一気に放つのだ。幾度にもわたる試行が功を奏し、作り出した真空の刃は弧を描いて飛翔し、大ムカデの右の複眼に深く傷を刻み込んだ。見事だ。
咆哮が赤い空へととどろく。はてムカデという生き物はあのように声を上げる声帯を持つものだろうか。つまりそれが"Lore"だ、虫であって虫でない。ムカデであってムカデでない。見たままでは計れぬがゆえに、その真の姿を見とおすため"解析"の魔法が必要不可欠だ。
「ワット、犬塚さん、変質と解析を続けよう! きっと効いてる!」
「おっけーだよお。だいぶ像が揺らいできたねえ」
稲積の変質魔法は巧みだ。犬塚の薫陶も生きている。大ムカデの巨山めいた身体すべてを変質させるにはいたらないが、"Lore"の平静を叩き揺らがせるのに十分な威力があった。
ブラックウッドと犬塚のなにやら確執めいたぎこちなさが目下、稲積の悩みの種であるようだが。
「ワット。そんなに犬塚さんを警戒しなくても大丈夫だってば」
「別に、気にしちゃいねえよ」
ぶっきらぼうな犬塚にブラックウッドもつまらなさそうに目をそむける。
「僕も。べつに警戒とかしてないし?」
「もー、意地張って……」
まあ吐いたツバは飲めぬというところが男には少なからずあろう。しかし片や生徒、片や弟子の危機とあってはその矜持をいっとき捨てるもいとわずというのが男でもあろうか。
「柚春!!」
「危ねえ!!」
「わっ……!?」
大ムカデの吐き出した酸液から、ブラックウッドが稲積をかばい、犬塚が巨木の幹を変質させ壁とし阻んだ。ブラックウッドの腕の中に丸くなって収まり、稲積はいささか恍惚にひたるようにして言ったものだ。
「なーんだ。けっこう仲よしじゃない」
「いや、べつに?」
「そんなんじゃねえし。けっ」
素直になれないのもまた、男の不器用か。
初瀬川と佐和崎は場の流動へ柔軟に対応している。
「……ん! 見つけた、あそこの鱗はひび割れてて変質させやすいかも!」
「分かったわ、理緒ちゃん!」
うら若き乙女が見上げんばかりの大ムカデを相手にこの立ち回り、頭が下がる。さぞ心中己を叱咤しなぐさめていることだろう。
「ゴリゴリにHP削れば、致命魔法もとおるでしょ。RPGのラスボス戦といっしょね!」
「って理緒ちゃん、ゲームじゃないんだから」
……存外ノリがよいがともかく、その甲斐あって彼女らの連携と解析は成果を上げていた。
「! またぼやけた!」
「ムカデが一瞬……違う虫に? ううん、あれはなに? 人……? それとも?」
"Lore"は形を保てなくなりつつあるようだ。いやそもそも確たる形質などあってなきがごとしかもしれないが、ともかくムカデの巨体は蠕動するように青白い幻像を揺らめかせ始めた。
「……待って。どこかで見たことがある、あの人」
稲積が言うと佐和崎もうなずき、犬塚は目を見張った。
「ウソだろ。なんで……あのひとが……」
彼女のいまわの際にたくされたふたつの願いが真っ向衝突し合った。ヤツを許せ。生きのびろ。ヤツを許せ、生きのびろ。ヤツを許せ……それらが相反すると塵ほども思わなかったのだろうか、彼女は?
楽天的な女だったからな。楽天的で、すこやかで朗らかで、実に魅力的な女だった。おお、男を惑わす芳醇にして馥郁たる香りよ!
だがそれはそれ、だ。
「悪いが……つぶすぞ、虫よ。プチっとな」
できれば彼女の貫く博愛を継いでやりたい思いもあったが、なにしろ余裕がない。右腕は喰いちぎられ臓腑を食い破られ、顔面の半分ほども失い、足だって折れている。両方だぞ、両方! 吾輩が希代の魔法使いでなければ、どうなっていたことか。
どうにかできるとの信頼あってこそ彼女は吾輩にたくしたのだろうが、事ここにいたり、約束を反故にする決意を固めた。
生きのびねばならない。どんな形であっても。我が魔法商店街は生まれたてで、薄殻におおわれた卵よりももろい。ちょうどよいゆで加減となるまでには相応の時を要するだろう。いずれふたたびおとずれる"Lore"との闘争やら化かし合いやらに、吾輩の力がまだ必要なのだ。
「……どうして?」
「ひとつになりたかっただけなのに」
「どうして」
「食べたら、なくなっちゃった……」
「いやだ」
「どうして」
「ゆるさない」
ああ、さぞ不服だろうな。大ムカデよ。幾千幾万の群れどもよ。暴食の名もなき蟲神よ。
「あれは……」
「あのニオイは、わたしの」
「おれの」
「彼女は、僕のものだ」
彼女は美味であったか? そうだろうな、誘われたのだろうな、あの香りに。どうしようもなく、抗いようもなく。
だからなんだと言うのだ? 吾輩はよろこんでおまえを滅ぼそう。苦しむ間も与えずに……それがあの香りをともにした者への、せめてもの情けというものだ。
「きゃ……」
ごうと逆巻く風に髪をなびかせ、早川の胸にすっぽりとおさまりながら、綾辻は目を細む。
「よく分からなくなってきたな」
片手に杖、片手に綾辻を抱き込みながら、早川が眉を寄せる。
「これは白檀 カオルさんにまつわるLoreだと聞いていたけど、どういうことだろう。さっきまぼろしの中に見えた人は……」
「はい。たしか、墨小路 綾麻呂さん。この街をつくった人でしたよね」
ふたりもあの肖像を見たらしい。魔法の訓練の合間にはたいそう仲むつまじく、街中をめぐっていたものな。
「本当に白檀さんに関係ある"Lore"なのだとすると、どうして墨小路さんが?」
「昔、どこかで会っていたとか? 知り合いだったのかな?」
綾辻や早川の推察や考察はなかなかに鋭い。書物にふれ物語にふれるがゆえにだろうか。
「それとも……あれはもしかして、白檀さんの記憶じゃない……?」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
9人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年01月17日
参加申し込みの期限
2025年01月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年01月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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