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ヒゲ猫ペンシルと、魔法商店街のはじまりの香り
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【まことなる】
大ムカデの目をつぶし、甲殻を穿ち牙を折り、触角を、足を、尾を棘を断つ。初瀬川の解析が甲虫の突くべき弱点をつまびらかとし、佐和崎が変質により脆弱を増す。八神の放つ真空がひらめき引き裂き、綾辻と早川が息を合わせ練り上げた致命の熱戦で貫く。ムカデが苦悶に身をよじった先には、稲積にブラックウッド、犬塚らが仕掛けたハッカ仕込みの櫓が針のむしろもかくやと待ち構えていた。
「……倒れるぞ!」
長大にして巨大なムカデがもたげた身を傾けていくのには年経た霊樹の切り倒されるさまを想起する。ゆっくりと、とほうもない衝撃をもって大ムカデは倒れ伏し、巻き起こった砂塵の嵐に彼らが目を覆った瞬間に……記憶が決壊した。文字どおりに流れ出したのだ。
暗く落ちくぼんだ目をして、しかし才気ある若者と出会った直後のことだ。犬塚を迎え入れ、魔法商店街に吹きこまれた新たな風に乗り、吾輩はふたたび旅へ出ることにした。"遠きもの"は常に姿見を通じてこちらを覗いている。幾たび"Lore"がおとずれようとも耐え凌げるくらい、強固にして盤石な態勢を気づかねばならなかった。設備、人材、新たな魔法……あるいはそのすべてをな。
北の雪妖街で身を切るような寒さと彼らのもてなしの望外なあたたかみを堪能し、夜の古城では吸血鬼と狼男の抗争に巻き込まれた。あやかし遊園地では珍妙なマスコットの付喪神たちに多大な歓待を受けた。あれは愉快だったな。たまたま知り合った魚妖に一方的かつ激しい思慕を寄せられ辟易としたこともあったな。なんだかんだと楽しい男だったが、今も息災だろうか。
彼女、白檀 カオルとは、そんな旅のさなかに出会った。安っぽいあやかし酒場にゴーストウィスキーはなく、いささかふてくされた心持ちでブラッドワインを飲みほした時だった。一目ぼれ……いや一鼻ぼれなどと言うだろうか? 一瞬にして、忘れられないあの香りの虜となった。ああ、吾輩のサンダルウッド。離れがたく美しき徒花よ。
われわれは実にウマが合った。真逆の性質がかみ合ったのだろうな。おしゃべり好きで奔放な彼女。かぐわしく鼻腔を刺激してやまない香水びんの付喪神、白檀 カオルとの出会いに吾輩は生涯感謝を捧げるだろう。誰に? 神とやらか、それともホトケか? 誰だっていい、とにかくわれわれはすぐに恋人同士となった。
「素敵なおヒゲね、紳士さん。いつもそう? それともたまたま今夜は特別にめかしこんできたのかしら」
「君と出会うために丹精込めて、ね。信じられるかね、今は本当にそう思えるんだ」
「いいわね、きざなのも好きよ。男の子は格好つけていなくっちゃね」
屈託なく笑う彼女はその香りとともに吾輩の心をわしづかみにした。
男の子か。彼女の前で吾輩は実に純朴な幼子のごとしでね。たじたじだったよ。
どこまで語ったかな。ああ、そう、彼女との出会いは衝撃的だった。
ただ、彼女とそう長い時をともにしたわけではない。濃密だったがね、朝焼けを眺めながらふたりで飲んだコーヒーくらいに。
鮮烈に出会い、残り香をひとひら吾輩の内へと残し、彼女は去った。
「きっといつか、許してあげられる。だって、これからもずうっと憎しみだけが続いていくだなんて、そんなの悲しすぎるから……」
あやかしを食い散らし、ひとに暴虐の限りを尽くし、時にあがめられ信仰の対象となったりもする。神などと呼ばれても、実際のところ虫妖は単純な生き物だった。畏怖と畏敬をもたらす巨躯やひとの想像を越える強靭、生態を神と呼称、分類するというだけのことだ。喰らい、増え、広がるだけの存在だ。
彼女の香りが、そいつを惹きつけた。
「……けれどね、苦しみも絶望もないの。だって、あなたがそばにいてくれたから」
実に虫らしく、ヤツは彼女のなめらかな内側へするりと入り込み、食い破った。
もともとヤツを誅滅せんとしたわけではなかったのだよ。吾輩は慈善家ではなくあくまで、ともに魔法商店街に生き、慈しみ、守ってくれる誰かを求めていただけだ。だが彼女は暴威を振りまく神のごとき巨虫をどうにかなだめられはしまいか、どこかよそへ追いやることはできないかと提案したのだ。慈悲深いことに……だが結局あのうるわしい博愛が虫をも瓶底へ招き入れ、彼女自身を滅したのだ。
しかし、残酷な成り行きも分かるだろう? 彼女を失ったからとてヤツが鎮まるわけでもなく、そして吾輩は生きねばならなかった。
それはそれは、壮絶な魔法戦となったとも。ヤツの眉間へつばをつけた一矢を叩き込み絶命させるに至ったころには、吾輩の四肢は千切れとび臓腑のほとんどを失っていた。吾輩を構成せしめる要素の実に七割が虫妖のはらに収まっていたのだ、いまいましいことにな。
彼女のいざなわれた場所へ吾輩もこのまま向かうのかと思うとこれが存外気分は良かったが、何度でも言うように、吾輩自身がそこへゆくわけにはいかなかった。
つまり……分かるだろう? ひともあやかしも、時に変わらねばならない。大胆な変革を受け入れねばならぬことがある。魔法を修めていて良かったと安堵した瞬間だったな。
千々に千切れた吾輩の切れ端を集めて別のものへ変質するにあたり、さてどのような姿になろうかと少し考えた。このような大魔法はそう幾度も行使はできまい、この選択が後の吾輩を決定づけるだろうと分かっていた。
そこでふと、思い出したわけだ。酔ったカオルと肩を組み歩いた路地に見つけた成りたての猫又へ、彼女がたいそう愛らしい猫なで声を上げていたことを。
「……ペンシル」
魂の変質を、我ながら実に上手くやってのけたよ。綾辻が吾輩を呆として見やり、つぶやいたくらいにはな。気が付かなかったかね? それとも心のどこか、そうではないかと考えがよぎったことがあったかね?
どちらでもいいさ。これで猫暮らしも大いに気に入っているのでな。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
9人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年01月17日
参加申し込みの期限
2025年01月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年01月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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