「あんたら……なにした?」
「なにしたんや!? まさか……まさか、あそこへ行ったんか?」
「あの祠を、壊したっちゅうんか……!?」
「なんてこと。なんちゅうことを」
「死ぬぞ。あんたら……いや、あんたらも、わしらもや。もう遅い、もう終わりや」
「わしらみいんな、おぎしりさまに、食われちまうんや。生きたまま」
L o r e 0 4 : " お ぎ し り さ ま "
「お侍さま! まこと、あれを祓うと申されるか!? あ、あのように巨きな……!」
「案ずるな!」
「しかし、あれは……あれではまるで、山だ」
「見てくれの図体なぞにまどわされるでない。しょせんは蟲畜生よ、たわいもなし」
「しかし、しかし! いかにして祓われると……!?」
「射って、刻んで、捨てるのみよ。目にもの見せてくれようぞ!」
L o r e 0 4 : " 三 上 山 の 大 百 足 "
「やあ、ひさしぶり! ただいま。かえってきたよ」
「えっ? お前だれだ、って……ははは、ひどいな。ぼくだよ。×&あ▼bイ・$ンミ_9*じゃないか。忘れちゃったのかい?」
「まあ、ちょっと遠くにいってたからな。無理もないさ」
「それより、きみにおみやげがあるんだよ。これが、とっても美味しい卵でさ」
「ほら、これだよ。全部きみのものさ」
「さあ、ひと飲みに。遠慮するなよ、ぼくときみの仲だろう?」
「ははは、一気にいきすぎたかい? くるしいかい? 大丈夫だよ」
「すぐにかえるからさ」
L o r e 0 4 : " か え っ て く る "
実際、ままならないものだよ。いかな魔法の使い手も、人生を意のままに操ることなどできやしない。己も他者もな。
「見なよ。姿見に星が光り出した。やれやれ」
「っちゅうことは……」
「また連中が現れるってことか。けっ」
夕顔 サキも。山田 エレキも、犬塚 ハウルも。
彼らの人生に、吾輩がなにをしてやれたというのだろう。重く背負わされた宿命というやつをいくらか軽くしてやったとすれば、それは諸君のおかげというものだ。
吾輩はちょいとばかり、きっかけを用意してみただけ。気まぐれにな、ただそれだけのことなのさ。
「こういう時はよ。いつも思うんだよ」
「なんや、犬塚。アンタらしくもない、殊勝な顔しくさって」
「うるせえ。思うんだよ、おれはよ。こんな時、あの人がいてくれたら……ってよ」
……彼らの人生に、いくらかでも責任を持つべきだろうか? 価値ある魔法のみならず、もっとこう、情というものでもって寄りそうべきかね?
まいったな。数百年にわたり積み上げてきた我が魔法の研鑽の、この世には通じぬことばかりだよ。
しかしだ。別に慈善家を気取ろうなんてつもりはない。
なあ、教えてくれ。吾輩は、ヤツにもそうすべきなのだろうか?
「ふん? 白檀はどうしたね、姿が見えないが」
「さあな、しらねえよ。どっかでサボってんのか、あるいは……」
──ああ。
遠きものが見ている。
"Lore(ロア)"が正体をあらわす。
「あるいは、今度のLoreはあいつの……ちゅうことか?」
「かもしれないね。ああ、ペンシルも来たようだよ」
教えてくれ。君は今でも、同じことを頼むのだろうか。
吾輩はそうすべきだろうか。君の望みを叶えるべきか。この胸をえぐるくそったれな記憶と向き合い、ヘドを吐くむかつきにも耐えろというのか。ああ、聞くまでもなかったな。
まったく、君の博愛にはいつだって泣かされてきたものだ。
さて、諸君。
おそらく最後だ。これまでの経験から察するに、此度の一連のLore出現はひと区切りとなるだろう。次は50年後か、100年後か、はたまた……ともかく生者たる諸君らはその頃ヨボヨボのじいさんばあさんになってるか、あるいは生きちゃいまいさ。
決着を着けてくれ。吾輩にはできなかったことを。
白檀 カオル! 我らと諸君の出会いはおそらく、ヤツと、そして彼女の因縁を断つためにあったのだ。
そして最後には、あの物見高い星へ向かって聞いてやろうじゃないか。「おい! そんな遠いところから眺めて、いったいなにが楽しいんだ?」とな。
L o r e 0 4 : " な も な き む し が み "
墨谷幽です。よろしくお願いいたします~。
霊界と魔法のミニシリーズ、第四話。今回が最終回となります。
ガイド本文はがっつり前回からの続きとなっておりますけれど、
少しでもご興味を持っていただけたなら、ご参加はどなたでもお気軽にどうぞ!
このシナリオの概要
霊界のどこかにある、"魔法商店街"を訪れたあなた。
商店街の面々が敵とみなす謎の存在"遠きもの"の尖兵たる、
"Lore(ロア)"を撃退してきました。
今回をもって、"Lore"の出現はひと段落となり、魔法商店街には一時の平穏が訪れるでしょう。
無事に撃退することができたならば、ですけれど。
皆さんは(今回からのご参加の方も含めて)、魔法についてひととおり学んでいます。
続けてご参加いただいた方は、選んだ魔法をより上手に扱うことができます。
学んだ魔法を駆使して、危機を乗りこえてください。
なお、占い師で"予言"の魔法の使い手である夕顔 サキは、今回の"Lore"の出現を予見できなかったとのこと。
この"Lore"は、前回までのものとどこか、なにかが違うようです。
アクションでできること
<魔法>
魔法戦の基礎は、
◇"予言"し敵の次の手を読むこと
◇"解析"し弱点を看破し、自身や相手を"変質"させ精神を削り、弱体化させ"致命"を叩き込むこと
◇変質させられたら、自分の状態を"リセット"すること
です。
アクションでは、「敵の弱点を探りたい」とか「○○に変質(変身)して攻撃したい」とか
「敵を○○に変質させてやりたい」、「イナズマを放つ魔法で攻撃したい」など、
使ってみたい魔法を自由にお書きください。
<杖>
魔法を扱うには、"杖"を用います。
小回りのきく短杖、効果は大きいが扱いにくく鈍い長杖、二本を同時に扱う双杖などがあります。
杖は素材によって扱う者や扱う魔法との相性があります。
直感に従って、お好きなものをお選びください。または、オリジナルで自由にご指定ください。
代表的な素材は、
◇青蘭の蔓:扱いやすく素直
◇鳳凰の止まり木:生命力に富み疲れにくい
◇魔王樫:力強いが時おり暴走するじゃじゃ馬
◇霊界サボテンの芯:非常に軽く連発に耐える
◇イルカゴケの捕虫袋:使用者の意図を隠し不意打ちに長ける
◇リュウゼツランモドキ:不発が多いがここぞという時に大きな一発を放つ
◇幽霊桜の残滓:強力だが使用者に負荷を強いる
などなど。
<"Lore(ロア)">
現時点ではざっくりとした概要だけで、詳細は不明です。
"Lore"はいくつかの形態を持つようです。以下うちどれに対応するのか、アクションにお書きください。
◆Lore:"なもなきむしがみ"
数:1体~無数
範囲:極大
特性:暴食、盲信、虚偽、無垢
☆群れ
蟲の群れ。人を食う。
小さなものから、人間大のものまでさまざま。
自ら"変質"し多様な姿へと変わります。
こちらには山田 エレキが同行します。
☆香水びん
荒野に転がった香水びん。
甘い香りで瓶の中へと誘う。近づくと瓶の中へ吸い込まれてしまう。
中では"予言"や"解析"が効きにくいようです。そしてかさかさとうごめく気配が……。
こちらには夕顔 サキが同行します。
☆大百足
街をまるごと覆うほどの巨大なムカデ。
あまりの巨体にいずれの魔法も聞きづらいですが、
特に"致命"はよほどに弱体化させなければ通用しないでしょう。
こちらには犬塚 ハウルが同行します。
ペンシルはどこかに適時介入します。
助けをもとめれば、助けてくれるかもしれません。
Loreの相手はしないで逃げ回る、よく分かんないけど商店街で遊んでる、
などのアクションもOKです。自由な発想でどうぞ!
NPCについて
<魔法商店街の面々>
彼らの多くは人の姿をしていますが、下記に掲載されている情報はあくまで"自称"であり、
必ずしも正しいとは限りません。
◆『ペンシル』 種族:猫?
顔に口ヒゲのような模様がある、ちょっとふてぶてしい猫。言葉はしゃべりません。
尻尾に杖を握っており、七色の魔法を操る偉大な魔法使いとされています。
決まったすみかはなく、街の内外を歩いている姿をよく見かけることができます。
☆得意な魔法:なんでも
◆『山田 エレキ』 種族:電気の妖怪
関西弁を話す、ちょっとダウナーな少女。ぶっきらぼうですが面倒見はいいほう。
人間の世界で、電線を流れる電流の中に生まれた、新しいタイプの妖怪だそうです。
商店街で電気屋を営んでおり、主に付喪神となった電化製品を売っています。
NINKYODO FNYATCHの付喪神をオトモに連れていて、暇さえあればひとりで遊んでいます。
☆得意な魔法:"致命"の魔法
◆『犬塚 ハウル』 種族:狼男とひとのハーフ
黒髪ロングヘアのウルフカット。クールな一匹狼……というか、シャイな青年。
珍しい人間とあやかしのハーフで、苦難に満ちた人生を歩んできたようです。
他人との交流を好まずとっつきづらいですが、心を許した相手に対しては義理堅い一面も。
商店街の土産物屋に居候しており、売っているアクセサリやインテリアなどは彼の作品です。
☆得意な魔法:"変質"の魔法
◆『白檀 カオル』 種族:香水びんの付喪神
落ちついた理知的な雰囲気を漂わせる青年。その実かなり軽薄で軟派な性格をしています。
人を食った態度や飄々とした言動でケムにまく、いまいち信用ならない人物ですが、
天才肌で多様な魔法を使いこなす、ペンシルに次ぐ魔法の達人です。
霊界に咲く植物を使った香水を売っています。
☆得意な魔法:"解析"の魔法
◆『夕顔 サキ』 種族:化け狐
老成したしゃべり方の女性。幼い少女、ギャル、老婆などいくつもの姿を使い分ける変化の名人。
寝子島と魔法商店街をつなぐ役割を担い、彼女の営む秘密の雑貨屋は、どちらにも同時に存在しています。
占い師としての顔も持ち、タロットを操り、時として重大な未来を言い当てることもあるのだとか。
偏屈に見えて気さくな性格なので、困ったときにはあれこれと世話をやいてくれるでしょう。
☆得意な魔法:"予言"の魔法
※あやかしさんは、商店街を訪れたことがあったり、住人と知人だったりすることにしてもOKです。
その他、登録済みのキャラクターでしたら誰でも登場可能です。
また、墨谷のシナリオに登場したNPCでしたら、登録・未登録問わず登場OKです。
ただし、不自然でないシチュエーションに限ります。登場が難しい場合もありますので、ご了承ください。
Xキャラクターも登場可能です。
口調などのキャラクター設定は、アクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いていただければ大丈夫です。
なおこのシリーズにおいては、既存の登録NPCとの交流要素はやや薄めになります。
シリーズならではのお話やシチュエーションを主にお楽しみいただけましたら幸いです。
以上になります。
どなたでもお気軽にどうぞ。
それでは、ご参加をお待ちしております~!