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ヒゲ猫ペンシルと、魔法商店街のはじまりの香り
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【はじまりの香り】
"Lore"はあざむく。時に、"Lore"自身がそうとは気づかぬままに。求められるまま役割を演じずにいられぬのだ。これまでに見てきた"Lore"たちを思い返してみるといい、彼らは己を知らぬからな。それが彼らにとって哀れなることか……あるいは、知らぬことこそ幸福であるのかも。時にそう思う。
だからこそ、つまびらかとせねばなるまい。彼らは望まれてそう生まれてきたが、無知なるも罪だ。そうでなければ一体誰が、彼女の魂を救ってくれるというのだ。
「サキ。これも"Lore"……なんでしょうか?」
「そうなのだろうね。手の込んだことさ」
倉前に夕顔、ふたりの吸い込まれた香水びんの中は広かった。というより彼らの体躯がびんに釣り合うよう縮んだのだろう。
ガラスが霊界の赤い空を照らし返し、艶やかにかがやく。美しい。あの日見た彼女の微笑みと同じくして、心とらわれずにいられない。今も昔も変わらずな。
「カオルさんは、香水びんの付喪神……」
ヤツの顔を思い浮かべたようだが、倉前は思いもよらぬことを言った。
「どこ行ったんでしょうね、カオルさん。あのひと、ウォルターさんにちょっと似てるところがあるから、気になるんですよねえ」
「……そうかい? あたしゃそうは思わなかったけど」
「そうですよ、軽いノリの裏でなにか隠してそうなところとか、いつも楽しいことを企んでそうなところとか。本人にそう言ったら否定されそうだし、言いませんけど」
「なるほど。白檀のやつもそこはおんなしかもね」
「でしょう?」
外面でなく心の内をそう評したのだろうが、意外なことだ。ヤツを……親しきブラックウッドになぞらえそのように言い表すとは。
これだから寝子島の者たちは面白い。魂の在りようとでも言うのか、時に思いもよらぬ物事の尺度を教わるものだ。
「ていうか、サキ。今、"予言"してみたとですけど……」
「いいね、あんたも勘がはたらくようになったじゃないか。そら、聞こえてきた。腹をすかせた連中の声が」
言霊を弄するなら、むしがみは虫噛みとも通じ、虫食み食い破る。現れたこぶし大のゾウリムシの群れは、言わずもがなかね? 尽きぬ食欲に突き動かされ、眼前のエサに向かい邁進するのみ。
つまり彼らの儚い命も風前のともしびということだ。
「うわあ、来たきた! えーとまずは"解析"を」
「のんびりやってるヒマは無いよ。右から来るよ!」
予言をはたらかせるも、事ここに至り群れの右から来るも左から来るもなかろう。そこらじゅうを埋めだした虫どもに、夕顔も"致命"の狐火を放つ。
「まったく、あたしゃこの手の魔法は苦手なんだけどねえ」
「とにかく逃げましょう、このままじゃ虫のエサですよ!」
「逃げるったって、どこへだい」
びんの内は広いといっても限りがある。出口はまたたく間に虫どもに埋め尽くされ、八方ふさがりとはこのことか。やれやれ。
「あっ……ペンシル! 助けに来てくれたとですか」
「こりゃまた、タイミングがいいね」
高貴なるペンシルのなめらかな毛並みを堪能するも良かろうが、残念ながらその暇もなさそうだ。ペンシルが優雅な所作で星型の杖を振ると、虫どもは次々に弾けて霧散する。
とはいえ焼け石に水というものか。
「助かるよ、ペンシル。その調子で外まで連れ出しちゃくれないかねえ」
「あっ、ちょっと待ってください! その前に!」
ペンシルと夕顔が杖を振る間、倉前は解析を試みるらしい。なかなか肝が据わったものだ。彼の敬愛するブラックウッドと同様、頼りになるではないか。
イルカゴケの捕虫袋をあしらう優美な倉前の杖がひとつ翻る。ごうん、と香水びんは脈動するように揺れた。
「……彼を、責めないであげてね」
避けがたい死に向かいながらもなお、彼女は美しかった。その美の終わりをせめて見届けようと沸き立つ諦観の念を振り払い、問うた。
「なぜだ!? なぜ……やつを許せと!? なぜ!」
「香りが彼を惑わせただけ。誰が悪いわけでもない。仕方がなかったの」
「しかし……ああ、君は」
「泣かないで。今は無理でも、きっといつか、許してあげられる。だって、これからもずうっと憎しみだけが続いていくだなんて、そんなの悲しすぎるから……」
これで終わりなどと。世界が閉じてゆく。血の気が失せ、抱き寄せた彼女から流れ出てゆくものを途方に暮れながら見つめた。
「わたしはもう助からない。さあ、あなただけでも」
「そんなことを言うな! 必ず助けるから、だから」
「内側から食い破られてしまったわ。わたしの中にはもうなにもない。けれどね、苦しみも絶望もないの。だって、あなたがそばにいてくれたから」
「……そんな。ああ」
よほどにいかめしい顔をしているのだろう。彼女はしきりに笑いかけた。痛ましく胸をしめつける笑みだった。
許せるものか。ああ。許せるものか、彼女の香りに誘われたなどと。戯言だ。ヤツはそうするべくしてそうしたのだ、決まっている。そうでなければ、ああ、そうでなかったなら吾輩は、どうすればいいというのだ? どうしろというのだ?
「ふふ……自慢のおヒゲが乱れてしまったわね。ちゃあんと整えて……ほら。ね、これでいつもの男前……」
「頼む。いかないでくれ。カオル。白檀 カオル、我がうるわしの香木よ。蜜花よ」
それっきり、彼女が二度とふたたび言葉をつむぐことはなかった。
香水びんの外に虫どもはおらず、相変わらずの赤茶けた土に乾いた風が吹き荒ぶ。
「綺麗な女性でしたね。さっき見えたのは……過去? 誰かの記憶、でしょうか?」
「ああ。解析の魔法が見せたのだろうさ」
倉前は腕組みをして眉を寄せていた。誰に問うべきか定まらぬ疑問はするりと風に溶けてゆく。
「それに、あのりっぱな口ひげの人は、どこかで見たような……」
「墨小路 綾麻呂。魔法商店街を拓いた男さ」
「あ、そうか。あの肖像画のひとですね」
「希代の魔法使い。霊界紳士。口ひげが自慢で、みなに伯爵と呼ばせていたよ」
夕顔は……察したろうな。街に住まう者のなかでは付き合いも長い。
彼女はひどく苦々しく笑んだ。
「そうかい。伯爵、あんたは……」
ああ、そうだな。ともにこの街を築き上げてきた。無責任な伯爵が姿を隠してからは、街の顔役としてもつとめてくれた。
「カオル、と。呼んでいましたよね」
「ああ。そうだね」
「白檀さんと同じ名前? 同一人物? いや……」
その名を聞くたび、胸にさわやかな香りがよみがえる。懐かしく、かぐわしい蜜のような。深く芳醇な香木を焚くような。
「今のが白檀 カオルさんだとすると……魔法商店街に住んでいる白檀さんは、いったい誰なんです?」
そうだな、倉前よ。まったくそうだ。
そこが肝要というわけだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
9人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年01月17日
参加申し込みの期限
2025年01月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年01月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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