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【空猫物語(2)】
「なんだか……不穏な感じ」
稲積は眉をひそめずにいられない。
跳ねる猫を追い、海辺のオブジェを越え、あるときはリビングにでもありそうなソファやテレビ、スツールや食器棚、あるいは食器そのものへと飛び移り、またあるときは旅を象徴するテントや荷物が満載されたリュック、多様なアウトドアグッズを足場とした。あるいは世界中のランドマークをいくつもめぐった。自由の女神、エッフェル塔に凱旋門。タージ・マハル。アンコールワット。万里の長城、金閣寺。マチュ・ピチュの空中庭園。それらを飛び越えるとやがて星々の海が広がり、ロケットや人工衛星をつたって未知なる惑星へと到達した。一定の区画ごと、テーマにそった物々が浮かび、移り変わる風景は猫とゆく旅を稲積に強く思わせた。
しかしそのうち……牧歌的な風景を徐々に侵してゆくこの変化を、なんと言い表したものか。
「ありゃあ……注射器か?」
「散らばってる錠剤は、なんだろう。風邪薬じゃあ、ないよね……」
犬塚と顔を見合わせ、稲積はうめく。浮かぶ物たちへぽつりぽつりと紛れ込み始めた違和感が彼らを苛んだ。
「わ、わっ」
「綾辻さん、手を!」
ストレッチャーに乗る早川の手を握り、身を押し上げると綾辻も周囲を見回し、不安を隠せず眉を寄せる。猫を愛する綾辻であるから、猫の登頂を手助けする心なごませる癒しのひとときを想像したことだろう。そしておそらくその感性は正しく、真っ当であったはずだ。
しかし忘れることなかれ、大衆の好むゲームに倣いながらも、敵はあくまでLoreである。
「っ……にゃんこが上に。あそこの足場を、変質で大きくします……」
「綾辻さん。大丈夫かい」
取り巻く空気感の変化は、彼らの精神へも大いに影響を及ぼしたことだろう。
「大丈夫、です。今はにゃんこを。にゃんこを、送り届けてあげないと……」
「うん。そうだね。でも、無理はしないで」
送り届けた先になにが待つものか。早川はとうにそれが心地のよい幕引きとはならないだろうことを察していただろうから、表情をくもらせたし、綾辻へ返答にもいささかまごついたのだろう。とはいえ綾辻もまた、なかば悟ってはいたに違いない。
「大丈夫……ですよ。珪さん。なにがあっても……珪さんが、いっしょですから」
したたかで、折れぬものだな。微笑みうなずく綾辻が、証してくれるだろう。絆の強きことを。
それを見つめた稲積にしても同じだ。
「ワットがいてくれたらな……」
「おい。つまんねえ心配してんじゃねえ」
あくまでぶっきらぼうで愛想のないことだが、犬塚が言うのも的を得てはいよう。
「あの金髪舶来野郎だって、お前のそばにいんだろ。離れたわけじゃねえ。あいつのことだけ考えてりゃいい、そうすりゃ上手くいく」
「舶来って……古いんだから、犬塚さん」
「ああ?」
不器用に過ぎる労いに己を奮い立たせ、稲積は無理やりに口角を上げ、波形を揺らす心電図へと足をかけた。
「うん。頂上まで、あと少し!」
そうしてたどりついた空間を言い表す言葉は、端的で明確な一語でよいだろう。
シャム猫の姿はもはやなく、簡素なパイプベッドで静かな寝息を立てるひとりの少女を、清潔そうな真っ白のシーツが覆っている。
「病室。だね」
珪がつぶやくと、綾辻は彼の腕を抱き込み、その胸へ顔をうずめた。
白い壁、白い天井。窓の向こうの抜けるような青空には、猫の形をした白雲が気ままな空中散歩を楽しんでいるところだ。
「ふん。やっぱりか」
犬塚が寝そべる少女を見下ろし鼻を鳴らした。少女は山田 エレキの顔をしているが、無論山田その人でないことは明白だ。
「こりゃあ、あいつのLoreってわけだ」
「山田さんの過去なの? これって」
「さあな、知らねえ。知らねえが、たぶん違うな。こいつはゲームってやつなんだろう?」
稲積の問いに、犬塚は肩をすくめる。
此度のLoreは山田に紐づきながら、虚構の世界を我らに見せるようだ。登る道すがら目にした一連の品々、そしてこの白い部屋が、ひとつの物語を浮かび上がらせる。病におかされ身動きままならず、深い眠りへ堕した少女は夢のなか猫となり、かなわなかった願いをかなえる旅に出る。なにからも自由となった少女はあこがれの世界をめぐり、やがて来る終わりへと向かい昇ってゆく。
旅を終えた今、心電図の波形がもはや揺らぐことはない。
「……これが、ゲームなのなら」
「綾辻さん?」
濡れた瞳を揺らめかせ、綾辻はぽつりともらした。
「本当のことじゃないのなら。かなしいにゃんこは、どこにもいないんですよね? 珪さん……」
「そうだね。そのとおりだよ」
良きにしろ悪しきにしろ、物語というやつはときにふれる者の感情を揺さぶる。ゲームというのもまた、人の生み出した娯楽であるかぎり、それは変わらないのだろうな。想像の産物と分かりながら波のごとく押し寄せる情緒をもたらす、類まれな物語の紡ぎ手には畏敬の念を抱かずにいられない。
しかしながら、だ。まことに残念ながら、我らがまねかれた物語の語り手はいささか、野暮なオチを用意していた。
「うん? あれ?」
稲積が指さしたのは、心拍をあらわす液晶の図だ。それが今、にわかに脈打っていた。
「わあ!?」
思わず稲積は跳びはねた。横たわりぴくりとも動かぬはずの少女がかっと目を見開き起き上がり、なんとも無邪気な顔で笑ったので。
「はっはっは! どや! おもろかったやろー?」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
バトル
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
9人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年09月06日
参加申し込みの期限
2024年09月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年09月13日 11時00分
参加キャラクター一覧
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