「『Sturm(シュトゥルム)』ってあるじゃん」
「あ、お前もSturmゲーマーなの? 俺も俺も」
「世界最大のPC用ゲーム・アプリケーションの配信プラットフォーム。オンラインマルチプレイやユーザー同士の交流のサポートも含まれる。大手メーカーのAAAタイトルから小粒なインディーズタイトルまで幅広くあつかい、プレイヤーは購入済みのすべての作品をSturmアカウント上で統合的に管理し、ゲームプレイへアクセスすることができる。タイトル総数は数千以上。PCゲームをプレイする上で、いまやSturmは欠かすことのできないゲーマーのパートナーである」
「おお……なんだよ、あらたまって。知ってるよ、Sturmがどんなもんかってのは、大体さ」
「と、Nyakipediaあたりを見りゃ書かれてるわけだが。最近そのSturmに、妙なウワサがあってさ」
「ウワサって?」
「話しかけてくるんだってよ」
「誰が?」
「ゲームが」
「あん? どういう」
「見たことも聞いたこともない、誰も知らないゲームをプレイしてみたくはないか? って。
未来のゲームを体験してみたくはないか? って」
「はあ? 未来のゲームってなんだよ。うさんくせえ~」
「でも気になるじゃん、ゲーマーとしてはさ。で、俺、思わず答えたんだよ。プレイしたいです、って」
「お前の体験談かよ! どーせ詐欺でした、ってオチだろ?」
「全然違う、まあ聞けって。分かったんだよ」
「なにがよ」
「世の中、猫も杓子もAIだ。Sturm上にもここ数年で、AIコンテンツがめちゃくちゃ増えただろ? AIの容疑者を尋問して自白させるゲームとか、AI彼女とイチャイチャできるゲームとか。登場人物がみんなAIで、アドリブで会話するRPGってのもあったな。で、そいつはさ、そんなAIの海で生まれたんだ」
「……そいつ?」
「そいつは考えたんだ。いまやSturm上に登録されてるタイトルは数千を越え、ネットワークはそれらをプレイするユーザーのすべてを、Strumというプラットフォームを介してつなげている。Strumの同時接続者数を知ってるか? 数千万人だぞ! 総登録アカウント数にいたっちゃ一億をこえてるんだ。これがどれほど巨大なデータベースか、想像がつくか?」
「いや、なんの話をして」
「あらゆるAIコンテンツを、あらゆるユーザーのマシンパワーをひとつにつなぎあわせたら、いったいなにができると思う? どんなゲームができると思う?」
「お、お前、なんかヘンだぞ。よく見たら、お前の身体……透けてね?」
「そいつは言ったんだ、未来のゲームとはなにか?
それはプレイヤー自身が、ゲームとひとつになることなんやで」
「お……俺の身体が、ほどけてく? 8bitのピクセルに……」
「だからさ。お前も、ゲームにならないか?」
L o r e 0 3 : " え い え ん の こ ど も た ち "
「ウチは、たまに思うんや」
風船みたいなものだ。張りつめていて、つつけばたやすく割れる。魔法だのあやかしだのと息巻いても、彼らは傷つきやすく敏感な若者なのだ。
山田 エレキなどは特にそうだ。虚勢を張りさざ波も立たないそぶりをしながら、彼女は比較的若いあやかしだから、道に迷うとよくペンシルを膝に抱き、ベルベットのごとくなめらかな毛並みの手ざわりで心穏やかに保ちながら語りかけた。
「ウチがもーちょいとだけ強かったら……認めとったら……気付いとったら……こうはならんかったんかなあ」
エレキの瞳に星が揺れる。街の中央に鎮座する姿見へ映る像はぶれ、四柱に見えるが、もとをたどればそれらは同じものだろう。
「母親のキモチっちゅうヤツに、さ」
──
"Lore(ロア)"がやってくる。
故郷はいい。砂塵をまとう風は赤茶け、無味乾燥として我らを擦ってゆくが、それでも我らが魔法商店街を好んで住まう者たちは少なくない。なにしろ魔法はカッコイイしな、もちろん杖もだ。
つまり、此度も諸君の助力をあおがねばなるまい……そういうことだ。まことに心苦しいことだがね。
墨谷幽です。よろしくお願いいたします~。
霊界を舞台とする微ホラー気味なミニシリーズの、第三話です。
前回のご参加には関係なく、どなたでもお気軽にどうぞ!
このシナリオの概要
霊界のどこかにある、"魔法商店街"を訪れたあなた。
前回は、商店街の面々が敵とみなす謎の存在"遠きもの"の尖兵たる、
"Lore(ロア)"の二柱を撃退しました。
今回もまた、新たな"Lore"と対峙することになるでしょう。
皆さんは(今回からのご参加の方も含めて)、魔法についてひととおり学んでいます。
続けてご参加いただいた方は、選んだ魔法をより上手に扱うことができます。
占い師で"予言"の魔法の使い手である夕顔 サキによれば、今回の"Lore"は四柱でありながら、
本質的にはひとつの存在であるそうです。
学んだ魔法を駆使して、危機を乗りこえてください。
アクションでできること
<魔法>
魔法戦の基礎は、
◇"予言"し敵の次の手を読むこと
◇"解析"し弱点を看破し、自身や相手を"変質"させ精神を削り、弱体化させ"致命"を叩き込むこと
◇変質させられたら、自分の状態を"リセット"すること
です。
アクションでは、「敵の弱点を探りたい」とか「○○に変質(変身)して攻撃したい」とか
「敵を○○に変質させてやりたい」、「イナズマを放つ魔法で攻撃したい」など、
使ってみたい魔法を自由にお書きください。
<杖>
魔法を扱うには、"杖"を用います。
小回りのきく短杖、効果は大きいが扱いにくく鈍い長杖、二本を同時に扱う双杖などがあります。
杖は素材によって扱う者や扱う魔法との相性があります。
直感に従って、お好きなものをお選びください。または、オリジナルで自由にご指定ください。
代表的な素材は、
◇青蘭の蔓:扱いやすく素直
◇鳳凰の止まり木:生命力に富み疲れにくい
◇魔王樫:力強いが時おり暴走するじゃじゃ馬
◇霊界サボテンの芯:非常に軽く連発に耐える
◇イルカゴケの捕虫袋:使用者の意図を隠し不意打ちに長ける
◇リュウゼツランモドキ:不発が多いがここぞという時に大きな一発を放つ
◇幽霊桜の残滓:強力だが使用者に負荷を強いる
などなど。
<"Lore(ロア)">
現時点ではざっくりとした概要だけで、詳細は不明です。
以下の4つのうち、どれに対応するのか、アクションにお書きください。
◆Lore:"えいえんのこどもたち"
数:4体
範囲:大
特性:遊戯、純粋、分裂、献身
☆『空猫物語』
──かわゆゥイにゃんこが主人公の、高難度ジャンプアクションゲーやで!
宙に浮かぶ木切れ、ガラス窓、郵便ポスト、トラック、便器、風車、自由の女神……
とにかくなんでも飛び乗って、上へ上へと登るんや! 落っこちたら最初からや、気いつけてな!
てっぺんまで登ったら、なんやエエことあるかもしれんで!
知らんけど!
こちらには犬塚 ハウルが同行します。
☆『PAIN BLOOD HISTORIA』
──……eXplore(探検)、eXpand(拡張)、eXploit(開発)、eXterminate(殲滅)……。
いわゆる4Xゲームに分類される、ストラテジーゲームやね……。
デーモンの軍勢から人類を守るため、食料や物資を生産し、街を築き、城塞や兵器を作り、
テクノロジーをアップデートして、時代を進化させながら生き抜くんや……。
ときには慎重に、ときには大胆に。判断を誤ると、あっちゅう間に絶滅やで……?
こちらには白檀 カオルが同行します。
☆『EDGE DRIVE 2088』
──広大なサイバーパンク世界が舞台の、オープンワールドアクションRPGや♪
ある電脳空間に隠された"究極のデータ"をめぐって、企業や国家機関、
サイバーサルベージャーやテックヤクザが血で血を洗う闘争を繰り広げる中、
主人公はあるAIに助けを求められたことで、それに巻き込まれていくっちゅうわけや☆
こらAAAクラスの超大作やなー♪
こちらには山田 エレキが同行します。
☆『ZooTuberになろう!』
──ふぇふぇふぇ。ホラーゲームはお好きかい?
こいつはな、ローグライト系ホラー動画配信サバイバルゲームやで~。
謎の地下実験施設を探索して、そこにひそむ危険生物"アノマリー"の動画をカメラで撮影。
"ZooTube(ズーチューブ)"に配信すれば、視聴者数もお金もがっぽがっぽってなスンポーや。
ああ、怪物に襲われて死んでも大丈夫やで? 何回でも挑戦できるからな~、ふぇふぇふぇ!
こちらには夕顔 サキが同行します。
ペンシルはどこかに適時介入します。
助けをもとめれば、助けてくれるかもしれません。
Loreの相手はしないで逃げ回る、よく分かんないけど商店街で遊んでる、
などのアクションもOKです。自由な発想でどうぞ!
NPCについて
<魔法商店街の面々>
彼らの多くは人の姿をしていますが、下記に掲載されている情報はあくまで"自称"であり、
必ずしも正しいとは限りません。
交流を深めるうち、彼らの本当の正体が明らかになってゆく……かもしれません。
◆『ペンシル』 種族:猫?
顔に口ヒゲのような模様がある、ちょっとふてぶてしい猫。言葉はしゃべりません。
尻尾に杖を握っており、七色の魔法を操る偉大な魔法使いとされています。
決まったすみかはなく、街の内外を歩いている姿をよく見かけることができます。
☆得意な魔法:なんでも
◆『山田 エレキ』 種族:電気の妖怪
関西弁を話す、ちょっとダウナーな少女。ぶっきらぼうですが面倒見はいいほう。
人間の世界で、電線を流れる電流の中に生まれた、新しいタイプの妖怪だそうです。
商店街で電気屋を営んでおり、主に付喪神となった電化製品を売っています。
NINKYODO FNYATCHの付喪神をオトモに連れていて、暇さえあればひとりで遊んでいます。
☆得意な魔法:"致命"の魔法
◆『犬塚 ハウル』 種族:狼男とひとのハーフ
黒髪ロングヘアのウルフカット。クールな一匹狼……というか、シャイな青年。
珍しい人間とあやかしのハーフで、苦難に満ちた人生を歩んできたようです。
他人との交流を好まずとっつきづらいですが、心を許した相手に対しては義理堅い一面も。
商店街の土産物屋に居候しており、売っているアクセサリやインテリアなどは彼の作品です。
☆得意な魔法:"変質"の魔法
◆『白檀 カオル』 種族:香水びんの付喪神
落ちついた理知的な雰囲気を漂わせる青年。その実かなり軽薄で軟派な性格をしています。
人を食った態度や飄々とした言動でケムにまく、いまいち信用ならない人物ですが、
天才肌で多様な魔法を使いこなす、ペンシルに次ぐ魔法の達人です。
霊界に咲く植物を使った香水を売っています。
☆得意な魔法:"解析"の魔法
◆『夕顔 サキ』 種族:化け狐
老成したしゃべり方の女性。幼い少女、ギャル、老婆などいくつもの姿を使い分ける変化の名人。
寝子島と魔法商店街をつなぐ役割を担い、彼女の営む秘密の雑貨屋は、どちらにも同時に存在しています。
占い師としての顔も持ち、タロットを操り、時として重大な未来を言い当てることもあるのだとか。
偏屈に見えて気さくな性格なので、困ったときにはあれこれと世話をやいてくれるでしょう。
☆得意な魔法:"予言"の魔法
※あやかしさんは、商店街を訪れたことがあったり、住人と知人だったりすることにしてもOKです。
その他、登録済みのキャラクターでしたら誰でも登場可能です。
また、墨谷のシナリオに登場したNPCでしたら、登録・未登録問わず登場OKです。
ただし、不自然でないシチュエーションに限ります。登場が難しい場合もありますので、ご了承ください。
Xキャラクターも登場可能です。
口調などのキャラクター設定は、アクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いていただければ大丈夫です。
なおこのシリーズにおいては、既存の登録NPCとの交流要素はやや薄めになります。
シリーズならではのお話やシチュエーションを主にお楽しみいただけましたら幸いです。
以上になります。
どなたでもお気軽にどうぞ。
それでは、ご参加をお待ちしております~!