ヒゲ猫ペンシルと、魔法商店街の無邪気な子どもたち｜リアクション

ヒゲ猫ペンシルと、魔法商店街の無邪気な子どもたち

　人間もあやかしも、生きてゆく。生きねばならない。そこにどんな違いがあろうか。
「ごめんな。ごめん……ごめんな」
　彼らが予言し、解析し、変質させ、致命にて貫くさまを、山田はにじむ瞳に雫をこぼし見つめた。膝をつき、祈るように両の手をかたくして、ただただ見ていたよ。
　己のすべてを許すことはかなうまい。時を必要とするだろうし、すべてまっさらと癒えることもあるまい。しかし傷あとはいくらか小さくなったろう。きっといつか振りかえり、ふたたび歩き出す記憶の礎となろうほどには。
「……ちゃんと母ちゃんになれなくて……ごめんな……」
　少女は哀惜の苦味を知った。ほとばしりこぼれ出る涙の熱さを知ったのだ。しばし膝をつき、嘆き暮れるのかもしれない……しかしほどなく立ち上がるだろう。少女には両手にあまるほど、導き支える仲間があったから。

　──さて。心せよ、諸君。
　見よ。姿見へひときわにまばゆく強く映り込む星を。我らを睥睨する万の瞳、その象徴たる妖光を。
「ああ。"遠きもの"が、あんなに近く」
　これよりは諸君……いや、吾輩もまた、ゆめゆめ気を抜くまいぞ。
　我が魔法商店街を覆う暗澹たる怪事は恐怖を運び、諸君を、我々を狂気へいざなうだろう。陳腐と心得ながらもこう述べよう、時が来たとな。
「もうすぐ会えるね。くふふ」
　愛すべき赤茶けた砂塵よ、霊界のくもり空よ荒ぶる風よ、存分に逆巻け。この時のため、吾輩はみっともなくも長らえてきたのだ。波風のひとつも立たねば味気なかろう？　花も散らねば、虚しいではないか？
　なあ、そうだろう？　君は賑やかなことを好んだ。いかなる結末であれ、騒がしくむかえるとしようじゃないか。虫の音もかき消すほどにな。
　なあ……カオル。

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あとがき

担当マスター：墨谷幽
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　墨谷幽です。『魔法商店街』のお話、リアクションをおとどけいたします。
　今回はちょっぴり魔法要素はひかえめかも。

　私がゲームをよくネタにするのはもちろんゲーマーであるからなのですけれど、今回は魔法やら霊界やらあやかしやらといったものをあつかうこのシリーズで、あえてこれを取り上げたくて。
　携帯電話やスマホ、インターネットが普及した今は、そうしたものにまつわる現代ならではの妖怪とか、都市伝説のお話を目にすることも増えました。たのしいですよね。
　霊界のあやかしにもきっと現代っぽいやつがいろいろと生まれて、増えていくんだろうなと思い、ならゲームのあやかしってどう？　なんて、登場させてみたくなったのでした。

　さて、次回が（たぶん）最終回です。
　よろしければ最後まで、お付き合いいただけましたら嬉しいです。
　今回もご参加いただきましてありがとうございました！
　次のシナリオも、よろしくお願いいたします～！

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