松林は夜のラビリンス｜リアクション

松林は夜のラビリンス

「ええ大人が、子供の前でこんな事したら、あかんやろ？
　お金がないなら、仕事増やしたらええんや。聞いてはる？」
　腕を組んでゴロツキを、懇々と説教しているのは飛鳥だ。半端ない迫力は、さすが長女といったところか。
　ちなみに世平は、来た時と同じように、からかうだけからかったら飄々と帰っていった。今頃は夜食の買い物でもしているのかもしれない。

　ＡＢＣは正座させられている。
　その中に、何故かシスター・ゼシカが混じっていた。
　ゴロツキ達は全員が、彼女のろっこんで負傷（Ｂの股除く）を癒されていた。
「飛鳥さん、この方達も反省なさっているようですし。この辺りで」
「うーん……シスターがそう言わはるなら。でも、二度とこないな事したら、許さへんえ？」
「ははー！」
　ＡＢＣが地面に額をこすりつける。ゼシカは彼等の面を上げさせると、その手を包み込んだ。
「神はどんな罪も許してくださいます。けれど、汝隣人を愛せよとも言っておられます」
　ゴロツキは顔を見合わせる。
「シスター、意味がわからねぇよ……」
　ゼシカは残念な答えにも、柔らかな笑みで答えた。
「よろしければ、わたくしと一緒に神の家で学びませんか？　これは差し上げますわ」
　黒いハードカバーの聖書を手渡して、思い出したように鞄から包みを取り出した。
「布教先のお子さんに差し上げた、手作りクッキーですの。残り物ですけど、召し上がれ？」
　その時の、ゴロツキ共の喜びようと言ったら。無邪気に喜ぶ彼等に、シスターは尚も笑って言った。
「遠慮なさらず、わたくしをムッター……お母さんだと思って甘えてくださいましね？」

　轟は真丸に弟子入りを志願されていた。
　参ったなと頭を掻いた瞬間に、人目の多さから変身が解けて……。
　慌てる轟に、真丸はワケ知り顔で頷く。
「大丈夫、ヒーローは正体を知られちゃいけないんだよね？　僕誰にも言わないよ！」
「ああ、ありがとう。助かるぜ！」
「だから僕を弟子にしてよ！」
　すがる真丸に、轟は考えてから指を立てた。
「わかった。だがヒーローになるには、頭だけじゃなく、体も鍛えなきゃな！
　ちゃんと早寝早起きして、体を動かすんだ。これは簡単なようだが、難しいぞ。出来るか？」
「うん、出来るよ僕！」
「よし、男の約束だ！」
　こうして、ザ・ストレイトに弟子が誕生したのだった。

　飯田家。
　送ってくれた面子に、幸は頭を下げる。
「皆、今日は助けてくれてありがとう」
「いや、飯田が無事で本当に良かった。じゃあ、また明日学校でな」
　踵を返そうとする刀を、幸は呼び止めた。一旦家に引き込み、持って来たのはアルミホイルに包まれた、おにぎり。
「お父さん帰りが遅いから、おにぎりにしてたの。良かったら食べて」
　交換だね、と幸は刀の差し入れのおにぎりを持ち上げる。
　帰り道、気持ち大き目のそれを齧れば、タラコが顔を出す。
　おにぎりは、まだほんのり暖かく懐かしい感じがした。

　真丸や他の女性陣は修の車に乗り込み、それぞれの家に送り届けた。

　すでに人は自分と、運転手だけになった車内で今日の事を思い起こしながら、修は呟いた。
「明日は、ポークステーキにしよう」と。

　　　終

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あとがき

担当マスター：メシータ
ファンレターはマスターページから！

　皆様、お疲れ様でした！　字数との壮絶な戦いをやり遂げた、メシータです。
　ゴロツキＡＢＣは皆様のお力で無事に撃退され、星ヶ丘教会に通うようになったようです。
　真丸もヒーローを目指して、頑張ってウェイトダウンを目指すでしょう。

　それにしてもＢの股間が狙われすぎて、自称Ｂ子になるんじゃないかと思いました（笑）。
　コメディ的でそれも良いかなと思いましたが、今回はヤメました。
　また警察きておりませんが、コメディ的にプレイヤーの皆様の満足度を優先した結果です。ご了承くださいませ。

　このたびは、楽しいアクションをありがとうございました。

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